格段に使いやすくなったマルチタスキング
iPadOS 15で実現したユーザーインターフェースの進化の中で、もっとも効果的だと思われるのが、これから紹介するマルチタスキングに関する部分だ。マルチタスキングに関する機能そのものについては、これまで大きくは変わらない。
しかし、以前にはマルチタスキングを利用するためのインターフェースが、あまり直感的とは言えず、ややトリッキーな操作が必要だった。そのため、マルチタスキング自体が十分に活用されていなかったのではないかとも思える。新しいユーザーインターフェースは、これまでよりもずっと直感的だ。macOSのような、自由なサイズで柔軟にオーバーラップできるウィンドウシステムに親しんできた人は、それなりの慣れが必要だろう。それでも、いったんコツをつかめば、1つの画面上で複数のアプリを違和感なく使い分けられるようになるだろう。
まず、まっさらな状態からアプリを起動すれば、これまで通りアプリのウィンドウが画面全体を覆うフルスクリーン状態で開く。このとき、よく見ると、画面の上部中央には「…」のように、横に3つ並ぶドットが表示されている。これは、厳密に言えばボタンではなく、ここにメニューが隠されていることを示すマークと考えられる。
そのマークをタップすると、3つのボタンが並んだ小さなメニューがオーバーレイ表示される。これを「マルチタスキングメニュー」と呼んでいる。いちばん左のボタンは、1つのアプリのウィンドウをフルスクリーン表示するもので、いわばマルチタスキング表示をオフにする。真ん中のものは、画面を左右に分割して2つのアプリの画面を表示するSplit Viewを選ぶ。いちばん右は、同様にSlide Overを選ぶもの。これらの表示方法自体は、iPadOSに以前から備わっているもの。
Split View、またはSlide Overを選択した場合には、起動中のアプリのウィンドウはちょっとだけ縮小され、その左端だけが画面の右端からはみ出した状態になるまで移動する。さらに、画面の中央上部には、Split ViewまたはSlide Overモードが選択されていることを示すとともに、この段階で別のアプリを起動するような指示も表示される。
指示に従って別のアプリを起動すると、ここで初めてSplit View、またはSlide Overの表示が完成する。画面を左右に分割したり、片方をフルスクリーンの上にオーバーレイとして表示するマルチタスキング表示となる。
Split View表示では、2つのアプリの境界を左右にドラッグして、アプリの表示面積の比率を自由に変更することも可能だ。また、Split View表示からSlide Overに変更することもできる。そのためには、まずSlide Over表示にしたい方のアプリウィンドウの中央上部の「…」マークをタップし、レイアウト選択のオーバーレイを表示する。
ここで、右端のSlide Overボタンを選べば、レイアウトは即座にSlide Overに切り替わる。
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