若い世代を中心に「コミュニケーションの不自由さをデジタルツールで解消」
「コロナ禍でテクノロジーの便利さを再認識」が6割強、Dropbox国内調査
Dropbox Japanは2021年7月29日、同社が実施した「コロナ禍におけるテクノロジー利用動向調査」の結果を発表した。プライベート/仕事の両面で、コロナ禍を通じてテクノロジー利用にどのような変化が生じたのかを明らかにすることを目的とした調査。人どうしの接触が制限されるコロナ禍において、デジタルやクラウドのテクノロジーを使って人間関係を維持し、生活を充実させようとする行動が多く見られたという。
同日にはDropbox Japan アジア太平洋・日本地域統括ソリューション本部長の岡崎隆之氏が出席した記者説明会が開催され、同調査結果を解説したほか、7月21日に発表したDropboxの新機能などを紹介した。
コロナ禍によるコミュニケーションの不自由さをテクノロジーで補う
今回の調査は2021年5月7日~9日、全国の18~69歳の男女を対象としてインターネット調査で行われた。回答者数は2000名。なお、調査回答者の86.2%が今年のゴールデンウィークを「家族もしくは1人で過ごした」と答えている。
岡崎氏は、この調査を通じて「3つの発見があった」と述べる。多くの人が「コロナ禍でテクノロジーの便利さを再認識した」こと、主に若年層が「デジタルでコミュニケーション制約の解消を図った」こと、そして「『ニューノーマル』時代におけるクラウドサービスの可能性」が見えたことの3つだという。
まず「テクノロジーの便利さを再認識した」については、コロナ禍以後の意識変化についての設問を紹介した。
その回答を見ると「スマートフォン、タブレット、パソコンなどのデバイスの便利さを改めて認識した」(63.8%)が最も多く、「デジタルではない、リアルな体験の大切さを感じた」(50.2%)、「家族や友人、恋人など人とのコミュニケーションの大切さを感じた」(60.1%)を上回っている。特に学生層では「便利さを改めて認識した」率が高く、84.2%にも及んでいる。性別/年代別で見ると、女性の20代以下と30代が高かった。
「Dropbox Businessを導入いただいている大学からも、コロナ禍でリモート授業をせざるを得ない状況になったことで、以前よりもさらにDropboxの利用シーンが増えたという声を聞いている」(岡崎氏)
「コミュニケーションの制約をデジタルで解消した」については、まず「人とのコミュニケーションに不便、不自由を感じるか」という設問から紹介した。不自由を感じることが「ある/ときどきある」回答者の割合は、全体では51.5%。特に不自由を感じている層としては学生(68.4%)、女性/20代(63.0%)であり、これは前述した「デバイスの便利さを実感した」層とも重なる。
コミュニケーションに不便、不自由を感じている回答者は、具体的にどうやって改善を図ったのか。プライベート/仕事に分けて回答を得た結果、プライベートでは「コミュニケーションツール(LINE、Slack、Teams、WeChatなど)の活用」(42.1%)が、仕事では「特にない」(47.5%)を除けば「メールの活用」(27.1%)が最多となった。
これを回答者の属性ごとに詳しく見ると、プライベートで「コミュニケーションツール(LINEなど)の活用」を図ったのは、特に女性/20代(53.4%)が多い。加えて20代以下の若い世代は、男女とも「ビデオ通話システム(Zoom、Skype、Google Meetなど)の活用」も積極的に行っていた(男性30.3%、女性32.2%)。
一方で、仕事のコミュニケーション改善については、男性/40代、50代が「メールの活用」(各37.3%、38.2%)、男性/20代以下、30代が「ビデオ通話システムの活用」(各42.4%、36.7%)や「コミュニケーションツールの活用」(各32.3%、33.3%)を牽引するかたちだった。学生層では「ビデオ通話システム」(50.0%)、「コミュニケーションツール」(38.5%)の活用が大きい。
クラウドストレージの「活用」はまだ広く進んでいない
コロナ禍を通じたこうした状況変化の中で、Dropboxのようなクラウドサービスがどのように貢献できているのか。そうした視点からは「『ニューノーマル』時代におけるクラウドサービスの可能性」が見えたとする。
「大切な情報・データを保管する際に重視する点」としては、「必要なときにいつでも保管した情報・データを閲覧・利用できる」(56.1%)、「長期にわたって保管ができる」(55.8%)、「情報・データを紛失してしまうことがない」(51.9%)、「情報・データが外部に漏れることがない」(50.8%)の4項目を、半数以上の回答者が選択した。
「アクセスがしやすく、長期保管もしやすいといった点で、(ユーザーが求める要件と)クラウドとの親和性は高いのではないかと考えている」(岡崎氏)
ただし、現状はまだクラウドサービスの活用が広く進んでいるとは言えないようだ。たとえば、「Webサイトのやアプリのパスワード管理」については「紙に書き残す」(49.1%)、「自分で記憶する」(38.7%)といった“アナログな手法”が主流だ。
また、情報・データの保管方法をデータの種類別に見ても、「写真や動画」や「家族・友人知人の連絡先」「個人の予定表、メモ」は「スマートフォンの内部ストレージ」(各62.7%、66.0%、45.9%)に、「仕事で作成した資料」は「パソコンのHDD/SSD」(48.9%)に保存する回答者が多かった。
それでは、Dropboxのようなクラウドストレージはどのように活用されているのか。利用している/していた回答者への質問では、PCやスマートフォンの故障に備えた「データやファイルのバックアップ」(58.0%)や、「データやファイルを中長期的に保管しておくため」(40.4%)という回答が多かった。「保管」目的が中心であり、クラウド本来のメリットを生かした「活用」という段階には至っていないと言える。
「その一方で『新しい使い方』も出てきている。若い方、学生を中心に、『PCやスマホの内部ストレージを整理し、容量を空けるため』(39.8%)、『データやファイルをほかの人と共有・やり取りするため』(30.6%)といった使い方も広まってきているのかなと見ている」(岡崎氏)
幅広いユーザーのDropbox利用を促すために新機能を追加
幅広いユーザーに「大切な情報・データの保管先」としてクラウドストレージを活用してもらうためには、より使いやすく便利で、なおかつ安全性や信頼性が担保されたサービスを提供していく必要がある。
そのためのDropboxの取り組みとして、岡崎氏はまず、スマートフォンカメラの撮影写真や動画を即時クラウドに同期する「カメラアップロード」、紙書類の撮影(スキャン)に特化した「Dropbox Scan」、機密度の高いドキュメント保存のために管理を強化した「Dropbox Vault」、ユーザーのパスワードを一元管理する「Dropbox Passwords」といったアプリ、機能を紹介した。
また安全性や信頼性についても、セキュリティやコンプライアンス、プライバシー、透明性といった部分で積極的な取り組みを行っており、さらにユーザー自身でも安全性を強化するために、2段階認証の仕組みや「セキュリティチェックツール」を提供していることを紹介した。
さらにDropboxでは7月21日、仕事とプライベートの両面でユーザーの作業を支援する複数の新機能を発表している。岡崎氏は、主にプライベート向けの機能強化について紹介した。
まず、これまで有料プランでのみ提供していたカメラアップロード機能を、無料プラン(Dropbox Basic)も含む全ユーザーに提供開始した。バックアップするアルバムを指定できるようになったほか、バックアップが完了した写真をスマートフォン上から削除してストレージ容量を節約することもできる。アップロードの速度も改善している。
Dropbox Passwordsでは、これまでのアプリ版だけでなくブラウザ拡張版も提供し、Webサイトでメールアドレスやユーザー名、パスワードを自動入力して操作を簡素化する。また、クレジットカードやデビットカードの情報も保存できるようになった。こちらも全ユーザーに提供される。
Web版のインタフェースも改良された。画面左のフォルダナビゲーションに「すべてのファイル」が追加されてフォルダの階層構造がわかりやすくなったほか、画面右の詳細ペインも変更されて、詳細情報がわかりやすく表示されるようになった。また、ほかのアプリケーションを使うことなくファイル形式を変換できる機能(JPEG→PNGなど)も追加されている。
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