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鉄板&今が旬なパーツを性能検証!! 第36回

冷却性能の要はファンにあり! 人気の高級ファン4モデルをチェック ~夏に備えたPC冷却ガイド~

2021年07月05日 13時00分更新

文● 藤田 忠 編集●北村/ASCII

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280mmラジエーターに取り付けて冷却性能を比べてみる

 各ファンの冷却性能を見るべく、ARCTIC製オールインワン水冷ユニット「Liquid Freezer II 280 Rev.4」を使ってテストしていこう。ラジエーターサイズは140mm×2の280mmのため、Noctuaの120mm→140mmファンマウンター「NA-SFMA1」を使って取り付けている。

 ファン回転数は、PWM制御時にスタート回転になることが多い30%回転または、スペックの最低回転が30%を上回る場合は、スペック最低回転に設定したほか、50%回転、80%回転、100%回転(スペック上の最大回転に調節)に固定した状態で、4.55GHz動作にオーバークロックしたRyzen 9 5900Xで「OCCT:CPU」(データセット:大、テストモード:エクストリーム、負荷タイプ:一定)を15分間実行している。

 計測データは、「HWiNFO64 Pro」を使ってCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))を記録し、テスト後半5分間の推移と5分間の平均温度を、回転数ごとにまとめている。なお、ARCTIC「Liquid Freezer II 280 Rev.4」標準搭載ファンも一部だが参考値として入れている。

120mmファンは、120mm→140mm変換アダプターを使って、ラジエーターに取り付けている

900rpmの「XPG VENTO PRO 120」が良い感じ

 PWM制御時の最低回転に近い回転数では、ADATA「XPG VENTO PRO 120」がダントツ。最低でも900rpmで回転する仕様なので、当然ではあるが5分間の平均温度は唯一の140mmモデルとなる、Thermaltake「TOUGHFAN 14」にも勝る60.18度になっている。耳につく、うなり音というネックも900rpmなら問題なく、PWM制御によるポン付け、静音運用との相性も良さげだ。

 変わっていまひとつの結果だったのがCooler Master「MasterFan SF120M」で、平均温度は68.23度に達している。この後の回転数で挽回できるか注目したい。

回転数最低時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の推移

回転数最低時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の5分間平均

1000rpmでは140mmも含めて横並びに

 続いては、各ファンの回転数が、ほぼ並ぶようになる50%の回転数に固定した状態を見ていこう。

回転数50%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の推移

回転数50%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の5分間平均

 Noctua「NF-A12x25 PWM」、ADATA「XPG VENTO PRO 120」、Thermaltake「TOUGHFAN 12」は、ほぼ横並びで平均温度は、58度台後半になっている。残念なのは、低速時にいまひとつだった「MasterFan SF120M」で、ほかのモデルに一歩及ばず、CPU温度は63度後半で推移。平均温度はプラス4度アップの63.65度になっている。

 また、「NF-A12x25 PWM」、「XPG VENTO PRO 120」、「TOUGHFAN 12」は、今回のなかで唯一の140mmファンとなる「TOUGHFAN 14」より低い温度を示しているのもポイントだろう。

80%回転動作でさらに温度はダウン

 最後は80%と最大回転時だ。まずは回転数が1600rpmや1700rpmになる80%から見ていくと、全体的に回転数1000rpmから平均温度が2~3度ダウンしている。「NF-A12x25 PWM」、「XPG VENTO PRO 120」、「TOUGHFAN 12」の優秀3モデルは、ここでも、お団子状態になっている。

 140mmの「TOUGHFAN 14」以外は、騒音値も34~36dBA台と悪くないので、マザーボードやユーティリティーを使って、最大回転数を80%に設定して運用するのもありだろう。

回転数80%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の推移

回転数80%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の5分間平均

 続いて40dBAを超える騒音値になるスペックの100%回転時を見ていこう。100%時は回転数が2150rpmになる「XPG VENTO PRO 120」が優秀で、テスト中の温度は55度台に抑え込んでいる。

 「MasterFan SF120M」は、400rpm増した分の効果がしっかりと出ているが、そのほかはラジエーター側の限界か、アップした回転数ほどの効果は出ていない。環境次第だが、騒音値を考えると使うメリットはあまりない。

 なお、「NF-A12x25 PWM」のテスト後半に温度が1度ほど上がっていく現象は?だが、計測を行なった2回とも同じ傾向だったので、そのまま採用している。

回転数100%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の推移

回転数100%時のCPU温度(CPU(Tctl/Tdie))の5分間平均

用途や搭載する場所に合わせて選ぼう

 静音、冷却性ともに価格に相応しい性能を発揮するNoctua「NF-A12x25 PWM」、ADATA「XPG VENTO PRO 120」、Thermaltake「TOUGHFAN 12」に、性能はいまひとつだが、クールな見た目のCooler Master「MasterFan SF120M」。

 個人的には、「NF-A12x25 PWM」と「TOUGHFAN 12」がイチオシ。最大回転数を制限する付属ケーブル使えば、風量と静音性のバランスが良い回転数で運用できるので、PWM制御まかせのポン付けでも、高い静音性と冷却性を発揮するだろう。

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