最新パーツ性能チェック 第348回
NVIDIA Reflexでシステムレイテンシーを短縮
第11世代Core対第4世代Ryzen!ゲームの操作遅延が短いのはどっち?
2021年06月24日 11時00分更新
Reflexに対応していないゲームではどうか?
ここまでの検証ではReflexに対応しているゲームだけをピックアップしてきた。最後にReflexに対応しないTPS系ゲーム「OUTRIDERS」でも試してみよう。画質は「ウルトラ」、DLSSやモーションブラーはオフとした。ライトマシンガンを500発撃った時のシステムレイテンシーを計測した結果の散布図から見てみよう。
OUTRIDERSの検証シーンはこちら
(c)2021 Square Enix Limited. All rights reserved. Developed by PCF Group S.A. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd. OUTRIDERS is a registered trademark or trademark of Square Enix Ltd. People Can Fly and the PeopleCan Fly logo are registered trademarks of PCF Group S.A.
OUTRIDERSはReflexのデータがないため、すべてのCPUを1つの散布図にまとめたが、これまで見てきたゲームと比べて、全体的にシステムレイテンシーが非常に大きい。また、散布図の上側(レイテンシーが長いほう)に外れ値がいくつか見られる。
では、このデータをもとに作成したヒストグラムを見てみよう。
どのCPUも山の形状は似たような感じで、範囲も似ている。強いて言えば、6コア/12スレッドのCore i5-11600KとRyzen 5 5600Xは、75ms以上〜80ms未満にピークがあり、そのピークの高さはほかのCPUよりも高い。これはPCゲームにおいてはコア数が多いほうが必ずしも有利ではないことを示している。ちなみに、筆者の経験だと「Horizon Zero Dawn」のように、8コアよりも6コアCPUのほうがフレームレートが安定しやすいゲームもあるぐらいだ。
このヒストグラムのデータから、平均値などを割り出したのが次のグラフだ。
散布図の通り、OUTRIDERSのシステムレイテンシーは時折大きく外れた値が出る傾向があるため、最大値は大きなブレがある。一方、平均値に注目すると、最短はRyzen 5 5600X、次いでCore i5-11600Kが低い。ただし、最長のRyzen 7 5800Xと最短のRyzen 5 5600Xで比べても約3msと微々たる差である。
では、この差は統計的に意味があるのか、t検定にかけたマトリクスを見てみよう。
横軸のRyzen 5 5600Xに注目すると、縦に水色マスの○が並んでおり、ほかの条件すべてに対して、有意にシステムレイテンシーが小さいことを示している。つまり、今回の検証ではRyzen 5 5600Xが最もレスポンシブな結果をもたらすと言える。とはいえ、そのアドバンテージはかなり小さいものだが……。
まとめ:第11世代Coreプロセッサーと第4世代Ryzenのシステムレイテンシーの差はごくわずか、「誤差」と割り切るか「有意な差」と捉えるかはプレイヤー次第
以上で第11世代Coreプロセッサー対第4世代Ryzenのシステムレイテンシー比較は終了だ。競技性の強いRainbow Six Siegeなどのゲームでは、システムレイテンシーはもとより小さいが、Reflexを有効にすることでさらに短縮できた。Apex LegendsではReflexを有効化することで10ms近く短くなったが、VALORANTでは2ms程度の短縮で止まるなど、ゲームによる効果の程度も確認できた。
そして、今回の本題である「第11世代Coreプロセッサーと第4世代Ryzenのどちらがシステムレイテンシーで有利か」だが、「ゲームにより異なる」と言わざるを得ない。Rainbow Six Siegeでは第11世代Coreプロセッサーが有利で、OverwatchやVALORANT、Apex Legendsでは第4世代Ryzenが優位に立つ。また、OUTRIDERSでは8コアCPUよりも6コアCPUのほうがシステムレイテンシーが短くなる。そして、Core i9-11900KのABTはABT無効時に比べて有効な時もあったが、不利になることもある。つまり、その差は「ゲームによる」のだ。
また、競技性の強いFPSゲームにおいて、第11世代Coreプロセッサーと第4世代Ryzenのシステムレイテンシーの平均はせいぜい2msと小さい。これを「無視できる差」と考えるなら、第11世代Coreプロセッサーであろうと第4世代Ryzenだろうと、どちらを選んでも問題ないと言える。この2msの差を縮めるためにCPUやマザーボード、あるいはPCを丸ごと刷新するぐらいなら、もっと大きなアドバンテージが得られるReflexを有効化したほうが良いだろう。
しかし、この2msの差は射撃時だけではなくゲーム中のすべての瞬間に影響する。ゆえに、「わずかな差ではあるが無視はできない」と考えることもできる。 プレーヤーの実力が拮抗している場合、1フレームでも優位な状況に立ったものが勝利するゲームもあるだろう。より有利な状況でゲームに臨みたければ、よりシステムレイテンシーを短くできるCPUを選ぶのはごく自然な流れとも言える。どちらを選ぶかは貴方次第だ。

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