発表から5年間あたためてきたあのケースがついに発売!?
SilverStoneの“顔役”に気になる新製品情報を直撃質問!アスキーだけで「SilverStone Expo 2021」開催してみた
2021年06月18日 17時00分更新
高品質電源「Decathlon」シリーズが登場
より大容量の小型電源もリリース予定
続いて、電源ユニットの新製品についてもお聞きした。SilverStoneの電源はよく言えば質実剛健、悪く言えば地味なモデルが多い印象だ。しかし、電源の製造を始めて15年間という長い期間、大きなトラブルがないという信頼性の高さ、ATXだけでなくSFXやTFXなど小型電源もラインアップに加えている幅広さ、毎年新製品を発売するという積極性は、自作PCファンにとってうれしい部分と言えるだろう。
次に登場する新製品として、高い電源変換効率となる80 PLUS Gold/Platinum認証の「Decathlon」シリーズが発売される予定という話だった。
「Decathlonシリーズの大きな特徴は、ハチの巣のような独特な形状の吸気口になっていることです。これはエアフローを不規則にすることにより動作音を抑え、静音効果が期待できるようになっています。SilverStoneの電源は内部コンポーネントの密度が高く、1リットル当たりの出力が高いという傾向にありますが、このDecathlonシリーズも同じで、80 PLUS Platinumのモデルで奥行きが150mm、Goldのモデルで140mmと、一般的な電源と比べ10mmほどコンパクトになっています」(Tony Ou氏)
同じDecathlonシリーズなのに、80 PLUS PlatinumとGoldとでサイズが異なることが気になったので、内部がどう違うのかを質問したところ、使用するICはもちろんのこと、そもそもの設計からして異なるため、中身は全く別モノとのことだった。
もしかすると中身は共通で、テスト結果によって選別しているのかとも考えていただけに、この回答に安心できた。
電源全体の話になるが、SilverStoneの電源はケーブルが着脱可能なモジュラー式のものが多い。このモジュラー式には、すべてのケーブルが着脱できるフルモジュラー式、マザーボードやCPUへのケーブルだけが直に生えているハーフモジュラー式の2方式があるが、それぞれどのようなメリットがあるのだろうか。Tony氏に伺ってみた。
「SilverStoneのケースは昔から小さい製品が多く、ケーブルが直に生えているとスペースの余裕がなくなり、入りきらないものがありました。また、組み立て時にケーブルがジャマになりやすかったこともあり、フルモジュラー式の電源を作りました。ただし、すべてのケーブルをモジュラー化するとコストが高くなってしまうため、コストを抑えたハーフモジュラー式を後から出しています。最近ではコストの差が小さくなってきているので、今後はほとんどがフルモジュラー式になっていくでしょう」(Tony Ou氏)
電源の新製品はDecathlonシリーズだけでなく、小型のSFXでありながら850W出力という「Pinnacleシリーズ」、さらに小型のFlex ATXで600W出力(従来は500Wが最大)という「FX600 Gold」なども予定されており、特に小型PC自作を好む人にとって注目の製品となってくれるだろう。
その他のPCパーツにも新製品!
特殊な構造の静音ファンや、M.2用SSDケースを用意
PCケースや電源といった比較的大きなものだけでなく、小物類も多数ラインアップしている。中でも新製品として注目したいのが、特殊な形状の羽根を採用したファンだ。
これは羽根にサメ肌のような凹凸が刻まれているもので、これにより、風量の増加、騒音の低減を実現しているとのこと。
「サメ肌のような細かい凹凸があるので、『Shark Force』という仮称で呼んでいます。この羽を採用したモデルとして、まずは180mmの大型ファンでRGB LEDを搭載した『AP180i』が、続いてLEDのない120mmや140mm、160mmサイズの製品を出す予定です。ファンの新製品はこれ以外にも、ASUSのHYDRANODEに対応し、ケーブル1本でファンへの電源供給もLEDの制御も可能な140mmファン『Air Penetrator 140i HYDRANODE(AP140i-HN)』、15mmと薄型の120mmスリムファン『Air Slimer 120(AS120)』などを予定しています。Air Slimerは薄くても風量が増加していているので、小型フォームファクターケースに最適です」(Tony Ou氏)
SilverStoneは周辺機器にも力を入れており、その1つにUSB外付けSSDケースがある。特に、高速なNVMe対応のM.2 SSDは発熱が大きくなりがちなだけに、冷却性能が重要となる製品だ。
新製品として紹介されたのが、「RVS03」と「MS13」という2つのモデル。どちらもM.2対応で、しかもSATAとNVMe(PCIe接続)のどちらにも対応しているというのが特徴だ。
「多くのM.2用SSDケースはSATA、もしくはNVMeのどちらかにしか対応しておらず、間違えて購入して使えないということがありましたが、このSSDケースならどちらの方式にも対応しているので、迷わず使えるというのがメリットです。しかも、最大10GbpsのUSB 3.2 Gen 2対応と高速なので、NVMe対応SSDの速度を十分に引き出せます」(Tony Ou氏)
ちなみに、どちらのモデルも基本的な機能は同じだが、RVS03はツールフリーで組み立てが簡単なこと、MS13の方はコンパクトなうえRGB LEDを搭載しているというのが大きな違いとなる。また、MS13は書き込み禁止用のスイッチを備えているというのが珍しい。