発表から5年間あたためてきたあのケースがついに発売!?
SilverStoneの“顔役”に気になる新製品情報を直撃質問!アスキーだけで「SilverStone Expo 2021」開催してみた
2021年06月18日 17時00分更新
世界的なコロナ禍の影響により、多くのイベントが中止・延期され、PC業界の新製品情報などもつかみにくくなっている。オンラインに切り替えて開催されることも多くなったが、メーカー担当者と直にやり取りできるイベントと異なり、製品の細かい部分が見えづらい、目玉商品以外の情報が少ないといった不満もある。
PCケースや電源ユニットを得意とするSilverStoneが毎年春と秋に日本で開催していた新製品発表イベント、「SilverStone Expo」も開催されず、寂しい思いをしている自作PCファンも多いことだろう。
そんな中、SilverStoneの新製品についてインタビューする機会にめぐまれた。オンラインでのインタビューとはいえ、SilverStoneの顔役とも言えるTony Ou氏に、今後発売予定の数多くの製品を紹介していただける貴重な機会。今回は「SilverStone Expo 2021」と(勝手に)銘打って、その中から特に気になる情報をお伝えしよう。なお、今回紹介している発売前製品の仕様は記事制作時点のものであり、今後変更される場合がある点にはご留意いただきたい。
90度回転の「RAVEN」や縦長の「ALTA」など
ユニークな新ケースは要チェック!
いきなり個人的な話で申し訳ないが、SilverStoneを意識するようになったのは2000年代半ば、オーディオ機器のようなHTPC(Home Theater PC)用ケースを多数作っていることを知ってからだ。ヘアライン加工のあるアルミのフロントパネルを採用するなど、他社とは比べられない程クオリティーが高く、そして高級感のあるデザインで、多くの人を魅了していた覚えがある。
最近の自作PCは、ゲーミングPCが注目されていることもあってハイエンド指向が強く、ケースはタワー型が主流。HTPC用はその数を減らしてしまっているが、SilverStoneのラインアップには、今でもしっかり残っている。
今後このHTPC用ケースはどうなるのか、新製品の予定はあるのかを質問したところ、色々と準備しているとのことだった。
「HTPCは数年前と比べ落ち着いた市場となってきましたが、SilverStoneのシェアは市場で1位。これからも力を入れていきます。今準備しているのは、Mini-ITX向けの『Milo』で、スリムながらも高性能が目指せるよう、330mm長で3スロットのビデオカードも装着できるよう設計されています。またATX電源が搭載可能な『Grandia』という製品では、HTPC用ケースでありながら240mmラジエーターの水冷クーラーを内蔵可能にしました。より高性能なPCを、HTPC用ケースで組めるようになります」(Tony Ou氏)
もちろん、SilverStoneのPCケースはタワー型も人気が高い。
特に印象深いのは、マザーボードを90度回転させ、通常背面に来るインターフェースを上部へと移動した「RAVEN」シリーズだ。底面に180mmの吸気ファンを2つ装備するという独特なレイアウトを採用し、熱された空気が上昇するときに外気を吸い込むという煙突効果との相乗効果で、静音性と高い冷却性能を両立したことから注目を集めた。
2014年に発売されたRV05を最後にシリーズが途切れてしまっているが、実は、2016年のCOMPUTEX TAIPEIで新モデルを発表していたものの、発売に至らなかったそうだ。また、2019年のCOMPUTEX TAIPEIでも試作機が展示されていたが、こちらも発売されていない。
「RAVENは初代モデルで大きく評価されたこともあり、SilverStoneにとっても特別なケースです。その時々のトレンドを取り入れようとした結果、CPUやビデオカードの発熱量の増加、ライトアップ機能、水冷クーラーへの対応などが必要となり、現在の新作RAVENには最初の試作から3回ほどマイナーチェンジを繰り返すことになりました。最大の特徴は、420mmのラジエーターにも対応できるようにしたことです。もちろん90度回転させたRAVENの構造はそのまま継承しています。今回の製品はハイエンドユーザー向けとなりそうですが、『開発に6年もかけてこの程度か』と思われないよう頑張ります」(Tony Ou氏)
最後は少し冗談めかしていたものの、自信があるからこそ、後継モデルの発売を予定しているのは間違いない。これは、期待しない方が難しい。
もう1つ紹介しておきたいPCケースが、「ALTA G1M」という縦長なモデルだ。これはRAVEN同様マザーボードのインターフェースが上部に来るレイアウトで、Micro ATXサイズのマザーボードに対応。360mmと大きなラジエーターの水冷クーラーや、ハイエンドのビデオカードを搭載可能なスペースが確保されているPCケースだ。
スペックから聞くと大型ケースだと思ってしまいがちだが、高さはあるものの、奥行きが意外と小さいという印象だ。
「今までのPCケースで培ってきたノウハウを活かし、サイズを小さくしながら、大型の水冷クーラーやビデオカードを搭載できるようにしたのが特徴です。SilverStoneの悪い癖なのですが、内部をキツキツにしたがるため、組みにくいというのがあります。今回のALTA G1Mもキツキツになっていますが、側面はもちろん背面のパネルも取り外せるようにして、内部へのアクセスはしやすいよう設計していますから、そこまで組みにくくはありません」(Tony Ou氏)
なお、エンジニアがホコリを非常に嫌っているそうで、側面パネルや底面、上部など、穴が開いている部分には基本的にフィルターが装着されているとのこと。こういった部分にこだわっているのが、SilverStoneらしさと言えるだろう。