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山根博士の海外モバイル通信 第548回

サムスンとノキアも低価格5Gスマホを投入、5G普及を後押し

2021年06月01日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII

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ノキアも5Gスマホの低価格化に乗り出した

 5Gスマートフォンの低価格化が進んでいます。シャオミは日本で2月に「Redmi Note 9T」を投入しましたが、価格は税込み2万1600円。これはキャリア価格ですが、筆者の住む香港では1599香港ドル、約2万2600円で販売されています。つまりRedmi Note 9Tの日本価格は「キャリアが無理して安く売っている」のではなく、グローバルのSIMフリーモデル価格とほとんど変わりません。

海外でもSIMフリーで2万円台のRedmi Note 9T

 コスパ重視のモデルを次々と出すシャオミですが、5Gの格安モデルは各国の5G加入者増を大きく後押しするものになるはずです。そもそもハイエンドスマートフォンを買う層は価格が高くても購入します。「それなりに機能があり、ライトユース対応の低価格なスマートフォン」を求め、「でも5Gにも少し興味ある」というユーザーに、シャオミはRedmi Note 9Tで応えているわけです。

 すでに中国では2000元以下、3万円台半ば以下の5Gスマートフォンが次々と登場しています。中国では5Gスマートフォンの累計販売台数が2億7000万台を超えており、人口約14億に対して5Gスマートフォンは20%弱普及しています。シャオミなどが低価格5Gスマートフォンを出したことで、ここまで売れているのです。

 一方、中国以外のメーカーも5Gスマートフォンの低価格化を進めています。サムスン電子は2020年秋に「Galaxy A42 5G」をグローバルで約4万円台で発売し、今年に入ってからは「Galaxy A32 5G」を日本を含む各国に投入。香港ではSIMフリーで2698香港ドル、約3万8000円で販売されています。なお日本発売のGalaxy A32はキャリア販売のため3万円台前半の価格が実現できているのでしょう。

3万円台の5Gスマホ、Galaxy A32 5G(左)と、Aシリーズ最初の5Gモデル、Galaxy A42 5G(右)

 Galaxy AシリーズはフラッグシップのGalaxy Sシリーズ、Galaxy Noteシリーズとは別のカジュアルモデルのラインで、価格はより安価です。しかしサムスンはこのGalaxy Aシリーズ以外からもさらに低価格な5Gスマートフォンを出してきました。中国で5月に発表された「Galaxy F52 5G」は1999元(約3万4000円)という、中国メーカー各社の普及価格帯の5Gスマートフォンを意識した価格で登場しています。

打倒中国メーカー5GスマホとなるGalaxy F52 5G

 Galaxy F52 5GのスペックはSnapdragon 750Gにメモリ8GB、ストレージ128GB。6.6型型ディスプレー(2408x1080ドット)を搭載しリフレッシュレートは最大120Hz。カメラは6400万画素+800万画素+200万画素+200万画素で、フロントカメラは1600万画素。そしてバッテリーは4500mAh。サムスンの低価格モデルはスペックを落としがちですが、ディスプレー解像度やカメラ性能は価格を考えるとコスパ度はかなり高いと言えます。Galaxy F52 5Gは中国市場を本気で狙ったモデルなのでしょう。

ディスプレーは解像度も高くリフレッシュレートも120Hzに対応する。コスパの高いモデルだ

 さて中国市場で本気の5Gスマートフォンを出したサムスンに対し、ノキアブランドのスマートフォンを展開するHDM Globalは「Nokia X20」を349ユーロ(約4万6000円)で5月に発売しました。3万円台の価格は出せなかったものの、1年前に投入したノキア初の5Gスマートフォン「Nokia 8.3 5G」が599ユーロ、約8万円でしたから大幅な値下げです。

ノキアからも低価格5Gスマートフォン「X20」が登場

 Nokia X20の主なスペックはSnapdragon 480、メモリー6 or 8GB、ストレージ128GB、6.67型(2400x1080ドット)ディスプレー、4570mAhバッテリー。カメラは6400万画素+500万画素+200万画素+200万画素、フロントカメラは3200万画素。これまでのノキア上位モデル同様、カメラはカールツァイスと提携しています。

6400万画素カメラはカールツァイスのものを搭載

 ノキアは2021年4月から製品名のナンバリングを従来の「1桁数字+小数点以下1桁」から、「シリーズを表すアルファベット1文字+2桁数字」とわかりやすいものに変更しました。この4月に発表されたモデルはこのX20に加え、「X10」「G20」「G10」「C20」「C10」の一挙6機種。製品はミドルレンジからエントリーモデルに集中しています。いずれSnapdragon 800番台を搭載する「X30」あるいは「X50」なんて上位モデルも出てくるのかもしれません。

モデル名を一新したノキアの新しいスマートフォン

 低価格モデルが使い物にならなかったというのは数年前の話であり、今ならばライトユースなら3~4万円台のスマートフォンで不満が出ることはないでしょう。また通信料金が安くなったことで、SIMカードを複数契約しスマートフォンを2台、3台と持つことも楽にできるようになりました。サムスンやノキアの低価格5Gスマートフォンはライトユーザーの5Gへの最初の1台になるだけではなく、ヘビーユーザーのサブ端末としても十分使えそうです。1年後にはさらに低価格化が進み、1万円台の5Gスマホも各社から多数登場しているでしょう。

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