■重量2kg未満ならマキタ「TW300D」が優勝
まず最強がいいと言ってもクラスがある。インパクトレンチのクラスは「差込角」の太さ。ソケットを装着する四角い軸のサイズで、9.5mm、12.7mm、19.0mmと各種あって、太くなるほどトルクレンジが高くなる。
普通車のホイールナット用ソケットは12.7mm。一番売れているクラスで製品数も多い。その12.7mmの主な製品のカタログデータをスプレッドシートに入れて、まずその優劣を比較した。その際に使った表がこれ。
手で持つ工具で重さは重要だ。大きなモーターを使えば大きなトルクを得られるが、それだけ重くなり取り回しも悪くなる。そのバランスの分かれ目が2kgくらいで、メーカーもそこで線引きしているように見える。そこで2kg以下をライト級、2kg以上をミドル級と分けてみた。ちなみに重量はセット販売時に付属するバッテリー込み。価格はバッテリー・充電器を除く本体のみだ。
そして「トルク重量比」と「トルク価格比」という指標を立てた。読んで字の如く、前者は重量1kgあたりのトルクで、数字が大きいほど軽くてトルクフル。後者はトルク1Nmあたりの価格で、数字が小さいほど安くて力持ちという事になる。
この指標の正しさを示すように、ライト級での売れ筋はマキタのTW300Dらしい。まずもって絶対的な価格が安く、トルク重量比、トルク価格比も良好。普通車のホイールナットが相手なら、300Nmもあれば余裕だ。18Vでこれだけ高性能な工具があっては、36Vも大変だ。ちなみにマキタは全機種2020年発売の新製品。対してどの機種も発売から時間が経っているハイコーキはデータ比較では厳しいが、このクラスでは特に劣るわけでもない。そろそろモデルチェンジする機種もあるだろうから、機能や性能の向上に期待するなら新製品を待つのも手だ。
メーカー独自の機能で面白いのは、ボッシュ「GDX18V-200C」シリーズの「2in1」という差込軸。四角軸の真ん中にドライバービットが挿せる6.35mmの軸受があり、12.7mmのソケットと共用できる。DIY工作とタイヤ交換を1台で済ませたい人には超バリューフォーマネー。別売チップの装着でスマホと接続できる「コネクト機能」も使えるが、使用状況データのモニターがメインで、いまのところハイコーキのようにトリガーフィールや回転数のカスタマイズには対応していないようだ。
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