●iPhoneの教訓とは
少し上の世代の人にとっては「iPodの教訓」と言った方が良いかもしれませんが、「iPhoneの教訓」とは何だったのでしょうか。
いずれのデバイスも、登場当初、優れたユーザーインターフェイス(クリックホイールや、マルチタッチディスプレー)、製品登場時には隠されていた背後に隠れたサービスの存在(iTunes Music Store、App Store)、他社がその戦略に気づくことができず、デバイスそのものの評価、すなわち登場した時代からすれば稚拙とも言えるスペックの議論に終始しているうちに、キャッチアップできないほどの大きな差をつけられ、市場が取られてしまったという話です。
あらゆる分野で活用され、ある種の共通言語にもなっているデザイン思考も、乱暴に言えば「どうすればiPodを作り出せるのか」という議論に見えますし、韓国や中国の企業は表層的なデザインをアップル製品に近づける努力を惜しみません。
この点は知的財産権の裁判にもなりました。ただ、斬新なインターフェイスを導入した際に「アップルが正しい」ことの証明にもなるため、Samsung以外にそこまで真剣に反論せず、フォロワーを増やす戦略をあえて採っているようにも見えますが……。
少し過剰とも思えるほど、iPod、そしてiPhoneにやられてしまうことにおびえているのが、現在の世界中のメーカーの心理なのかも知れません。アップルがどんな取り組みをしているかは別にして、アップルが新しい市場に参入するとき、次のiPhoneを作らせてはならない、という警戒心の強さが、逆に注目度を高める結果になっているのではないでしょうか。
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