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最新パーツ性能チェック 第331回

GeForce RTX 3060速報レビュー!VRAM 12GB&Resizable BAR対応のメインストリームGPUを検証

2021年02月25日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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GPGPUと仮想通貨マイニングで差は出るか?

 これ以上のゲーム検証は続報をお待ちいただくとして、次はRTX 3060の技術的なトピックである仮想通貨マイニング対策について、簡単に検証していきたい。RTX 3060に実装されたハッシュレート制限は、Ethereumマイニングにターゲットを絞ったものだと解説したが、本当にEthereumのハッシュレートが渋くなっているのかをチェックする。Ethereum以外の仮想通貨もマイニングし、ハッシュレートとGPUの関係をみれば、ハッシュレート制限がどういうものなのか見えてくるはずだ。

 今回はEthereumとErgoの2種類の仮想通貨をマイニングしてみた。EthereumとErgoはnanopool.orgで配布している「nanominer-cuda11」を使用した。パラメーターはデフォルト設定のままで10分マイニングし、その際の平均ハッシュレートを比較する。同時にツールが報告するGPUパワー(≒GPUの消費電力)も比較する。

仮想通貨マイニング時のハッシュレート

仮想通貨マイニング時のGPUパワー

 このグラフを見ると、確かにRTX 3060のハッシュレートは他のGPUに比べて下がっている。また、この傾向はEthereumだけでなく、Ergoにも適用されているようだ。NVIDIAの謳う“Ethereumマイニングのハッシュレートを制限”というのは、単にEthereumをマイニングしているかどうかという訳ではなく、もっとディープな部分の動きを見て制限を行なっていることが分かる。そしてGPUパワーのグラフから明らかな通り、ハッシュレート制限はパワーリミットを大幅に引き下げることで実現しているようだ。

※記事掲載当初、本検証におけるBitcoinマイニング時のデータも記載しておりましたが、筆者の認識の誤りによるもので、Bitcoinマイニングのデータではありませんでした。Bitcoinマイニング時の数値、およびその考察は誤りとなります。記事内容を訂正し、謹んでお詫び申し上げます。(2021/5/27 21:00 編集部追記)

 しかしこのハッシュレート制限機能は本当にマイニング以外のGPGPU用途には影響が出ないのか? そもそもRTX 3060のGPGPU性能が低いだけではないのか? という疑問も出てくる。そこで「LuxMark」および「V-Ray Benchmark」を利用し、GPUを利用したレンダリング処理時の性能を比較してみた。

「LuxMark」のテスト結果。シーンは“Hall Bench”を使用した

「V-Ray Benchmark」のテスト結果。結果はスコアーだが、正確にはCUDAが“vpaths”、RTXが“vrays”という単位になる

 これらの結果を見ると、RTX 3060のGPGPU性能は決して悪くない。特にV-Ray Benchmarkでは、CUDAでRTX 2060 SUPER FEのおよそ86%増のスコアーを出しており、CUDAパフォーマンスが欲しいユーザーにとっては極めて魅力的なGPUといえる。

 もちろん、VRAMのアクセスパターンが仮想通貨マイニングに酷似していれば、ドライバーにより性能が絞られてしまう可能性は十分考えられる。だが制限機能はドライバー側の実装なので後からでも修正が効く。この点は高く評価すべきだろう。

まとめ:やや割高感もあるがRTXシリーズの新ベースライン
ただ問題は出荷状況にある

 今回の速報レビューはここまでだ。まだ見ておきたいゲームの性能も残っているし、詳細なTBP(Total Board Power)の分析も残っている。そしてDaVinci Resolve等のクリエイティブ系アプリでVRAM 12GBがどの程度効くのか等についても続報でお届けしていきたい。

 今回検証した範囲で言えるのは、RTX 3060の性能はRTX 3080や3070登場の時のようなインパクトは感じられない(RTX 3060 Tiレビューの時も同じことを書いた記憶があるが……)ということ。その理由はCUDAコア数があまり増えてないためもあるし、メモリーバス幅が192bitと狭く、描画処理のスループットを支えるROPユニット等も少ないためである。

 3DMarkではRTX 2060 SUPER相当の性能だったが、ゲームではRTX 2060 SUPERを大幅に上回るシーンも見られた。だがRTX 3060に買い換えるメリットを感じたいのであれば、RTX 2060がボーダーラインとなるだろう。RTX 2060から比べると、VRAMも倍増し、DXRのパフォーマンスも大きく向上する。RTX 2060ではかなり設定を下げなければならないようなシーンでも、RTX 3060ならマイルドな設定下げ程度で対応できるだろう。GTX 1660やGTX 1060(あるいはそれ以下)ならば、圧倒的な性能差を感じることができる。特に高フレームレートでのプレイを期待しているゲーマーや、DXR対応ゲームを楽しみたいゲーマーにはオススメだ。

 しかしRTX 3060の最大の懸念は、価格と今後の入荷状況だ。様々なコストが上昇している情勢とはいえ、RTXシリーズ入門用のGPUとしてはまだ割高な印象は拭いきれない。そしてGPUの入荷状況がRTX 3060の登場で劇的に改善するとは考えにくい。仮想通貨マイナーによる買い占め圧が緩和される可能性があるとはいえ、旧世代のGPUも再供給という噂の流れる状況を一変させる力があるとは考えにくい。

 世界的に新型コロナウイルス対策による行動制限が解除されるまでは、RTX 3060も既存のRTX 30シリーズ同様に入荷は渋くなるという読みをした方が無難だ。つまり、今後さらに製品価格も上昇することを警戒せねばならない。RTX 3060が欲しければ見た瞬間に買え、が筆者からできる最良の助言だ。

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