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最新パーツ性能チェック 第365回

新仕様の補助電源は次世代への布石か

RTX 30シリーズの最終兵器、GeFore RTX 3090 Ti登場!消費電力や実際のパフォーマンスは?

2022年03月29日 22時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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Ampere世代の最終兵器「GeForce RTX 3090 Ti」
これをいま出す意味は何か?

今回レビュー用に無理を言ってお借りしたZOTAC製ハイエンドカード「ZOTAC GAMING RTX 3090 Ti AMP EXTREME HOLO」。本稿解禁10時間前時点で「国内販売価格はNVIDIAの発表した価格に近いものになりそう」とのこと(ZOTAC談)

 2022年3月29日、NVIDIAはAmpere世代の新たなフラッグシップGPU「GeForce RTX 3090 Ti」の販売をグローバルで解禁した。RTX 3090 Tiは今年1月のCESで存在が発表され、1月末には詳細な情報が開示されるだろうとなっていたが、その後続報がないまま今日を迎えていた。

 今回NVIDIAが発表した北米予想価格は1999ドルから。日本国内では32万7800円からという価格設定になっている。フラッグシップだけにお値段も凄いが、TITAN RTX以上の性能を秘めたGPUとしては、順当な設定ではないだろうか。

 NVIDIAはRTX 3090 Tiを“TITANクラスの圧倒的なパフォーマンスを備えたBFGPU(Big Ferocious GPU”と称しているが、実はこの謳い文句はRTX 3090とまったく同じだ。ただ、RTX 3090 Tiは“フルスペックGA102”であり、Ampere世代においてはこれ以上のものは出てこない。つまりAmpere世代の最終兵器なのである。

RTX 3090 TiにはフルスペックのGA102が使われる。RTX 3090との差分はSM(赤枠)2基分が有効化されているだけに過ぎない

 だが、なぜ今このタイミングで最終兵器を投入するのか?これはAMDがRadeon RXシリーズのマイナーチェンジ版(RX 6x50系)を出すから、という理由が真っ先に思いつくが、筆者はNVIDIAの戦略的な製品ではないかと考えている(後述)。

 今回のレビューはNVIDIA主導のレビュープログラムが存在しない。そのため、AICパートナーからのカードを調達できるかがレビューできるか否かを決定している。筆者は幸運にもZOTAC製のハイエンドファクトリーOC版「ZOTAC GAMING RTX 3090 Ti AMP EXTREME HOLO」を試す機会に恵まれた。リードタイムが1週間もない状況下での作業であったため深掘りはできなかったが、この最終兵器がどの程度のパフォーマンスを備えているかを検証してみたい。

100mm径のファンが3つあるだけにカードは約356mm×150mmと巨大。まさに威容としか言いようがない

裏面は一面バックプレートであり、背面のロゴとラインは個別にライトアップできる。ZOTAC製OCカードといえば独自のチップ(PowerBoost)がつきものだが、この製品では外している

厚みも圧巻の3.5スロット分。ビデオカード以外に拡張カードを組み込みたい人は十分に気をつけなければならない

RTX 3090 Tiカードに共通(全製品確認したわけではないが)している要素として、補助電源コネクターがPCI Express Gen 5準拠の「12VHPWR」仕様になっている。Micro-Fit 12ピンに4ピンを追加した専用コネクターだ。左側にも空きパターンはあるが、こちらは12VHPWRとは異なるようだ

製品に同梱されていた8ピン×3を変換するアダプター。カード側は12VHPWRではなくRTX 30シリーズのFEでお馴染みのMicro-Fit 12ピン仕様になっている。分岐数以外はFounders Edition同梱のケーブルと同じ作り

TGP 450W設定と12VHPWR導入の意味

 では、RTX 3090 Tiのスペックを確認していこう。RTX 3090と同様に1万基を超えるCUDAコアと、24GBものVRAMが利用できることがRTX 3090 Tiの強みとなる。4Kや8K環境におけるゲーミング、あるいは動画編集やCG作成といった用途向けのGPUという点も同じだ。

 RTX 3090と比較すると、CUDAコアの差はわずか256基(SM2基ぶん)しかないが、ブーストクロックとメモリーのクロックは大幅に引き上げられている。特に4K/8KゲーミングにおいてはVRAMの帯域が肝になることが多いため、メモリーデータレートの向上は性能向上に直結する。ただし、増分はCUDAコアで2%、メモリーデータレートで7%と小さいので、性能向上に過度の期待は禁物だ。

RTX 3090 Tiと、既存のGA102ベースGPUのスペック一覧

今回検証に使用したZOTAC製カードを「GPU-Z」でチェックしてみた。10752基のCUDAコアに24GBのGDDR6Xメモリーを備える

ファクトリーOCカードのハイエンド品では、TGPが引き上げられていることが多い。しかし、今回のテストカードのTGPは450Wと、NVIDIAの定格通りだった

 RTX 3090 Tiの一番の特徴は、RTX 3090で350WだったTGPが450Wまで大幅に増えていることだ。NVIDIAのいうTGPは実使用時におけるカードの実消費電力(筆者はこれをTBP:Total Board Powerと呼び分けている)の平均値にほぼ等しくなる。つまり、RTX 3090 Tiを使う場合、PCI Expressの補助電源とスロットから450W前後供給できることが前提となる。

 そして、ここからが最も重要な事なのだが、RTX 3090 Tiは補助電源コネクターが従来のPCI Express用の6ピン/8ピンではなく、ATX 3.0で新たに導入されるPCI Express Gen 5(正確を期すならPCI Express Card Electromechanical Specification Revision 5.0)用の「12VHPWR」コネクターが使われている。これはNVIDIAのFounders Editionだけの話ではなく、AICパートナーからのカードでも共通となる。

 ATX 3.0の電源ユニットについての詳細は割愛するが、簡単に言うとPCI Express Gen 5準拠とすることで、カードの消費電力(TGP)が最大600Wまで許容される。さらに、超短時間(100µs〜100ms)であればカードの消費電力を電源出力の1.2〜2倍まで使える。追加の4ピンは電源ユニットがどこまで電力を供給できるか判断するためのピンだが、変換ケーブルを使う際はこの4ピンは使わない。

ATX 3.0仕様の電源ユニットのデザインガイドからの抜粋。1000W出力の電源の場合、100µsは2000Wの出力が出せるようにしようという表。GPUが瞬間的に大電流を使おうとした時に追従できるようにする仕様だ

新たに加わった4ピンは、起動時に使える電力を調整する役目を担っている。sense0と1が両方ともGNDに繋がっている場合にのみ、起動時は375W、ドライバーが起動してからは600Wの出力を引き出せるようになる、という表

 NVIDIAが今回初めて12VHPWRを採用した事実は、次世代GeForce(Ada Lovelace)がPCI Express Gen 5に対応することや、次世代GeForceでTGPが450W以上のものが出てくることを強烈に示唆している。次世代GeForce投入前に12VHPWRを採用することで、他のパーツメーカーが準備したり検証したりする時間的猶予が生まれる。次世代GeForceローンチ時に12VHPWR対応電源ユニットが揃っている必要があるので、電源規格の先取りをしておこうという戦略的な位置付けの製品が、RTX 3090 Tiなのである。

 とはいえ、筆者もまだ12VHPWRを搭載した電源を入手するには至っていないので、今回の検証は普通に8ピン×3→Micro-Fit 12ピン変換ケーブルで行っている。

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