燃費が良くて、走りは意外と硬派!?
イグニッションボタンを押してエンジンをスタート。イマドキのコンパクトカーは静かなモデルが多いのですが、コールドスタート時は、エンジンの動作音が想像していたよりも室内に響くことに驚きます。ですが、エンジンが温まれば静かになるばかりか、停止時はアイドリングストップを搭載していないにも関わらず、まるで動作していないかのような静けさに。これはヤリスでも感じていたのですが、この3気筒エンジンのアイドリング時における静粛性は驚くものがあります。
このパワーユニットの驚きは、アイドリングだけにとどまりません。パワフルでありながら燃費がよいのです。試乗のほとんどは一般道だったのですが、メーター読みでリッター24kmを記録! ヤリスと比べると若干落ちますが、軽自動車をゆうに上回る低燃費です。走行モードは、ノーマルとPWR、ECOの3種類。どうやらシフトタイミングとアクセルペダルの開度などが変わるようで、PWRにすれば心持ち軽やかさが増す傾向に。システム出力116馬力は、高いシャーシ剛性に対してアンダーパワーに感じますが、普段乗りではこの位が扱いやすいように感じます。
乗り味は意外と硬派で、少し空気圧を下げたいと感じるほど。不快ではありませんが、細かな振動が体に伝わってきます。ですが高速道路のつなぎ目などの大きな振動はしっかりと吸収しますし、何よりシャシー剛性の高く、1クラス上の「ミニハリアー」と言いたくなるほどのシッカリ感。
このシッカリしたシャシーのおかげで、ハンドリングはSUVにしては面白いほう。ヤリスのようなすばしっこさは無理な話としても、思ったよりもシャープにインに切れ込みます。最近のトヨタ車は、ホントに走りが楽しめるようになりました。
SUVらしくヤリスより視界は良好。ヤリス比でアイポイント60mm高は伊達ではありません。さらにAピラーが立っていることも起因してか、視界はより開けているように感じます。その一方、走行音はヤリスと比べると大きめの印象を受けました。もう少し静かなクルマを、という場合は上位グレードをお選びください、なのでしょう。なにせSUVだけで9車種もラインアップしているのですから。
【まとめ】ヤリスクロスに死角はないかも
使い勝手のよさに加えて、走りもイイ。それでいながら試乗車の車両本体価格が約260万円(税込)。オプションを入れた価格が約320万円ですから、お買い得感は高く、街でよく見かけるのも納得です。試乗の感想を一言で表すなら、「ヤリスクロスに死角ナシ」。乗ればのるほど、トヨタの恐ろしさを感じたヤリスクロスでした。
この連載の記事
-
第495回
自動車
電気があれば何でもできる! 電動ポルシェ「パナメーラ」と「タイカン」の個性の違いを解説 -
第494回
自動車
芸能人御用達のゲレンデがEVに! メルセデス「Gクラス」の実力をオフロードで検証! -
第493回
自動車
アウトドアテイストのスズキ「スペーシアギア」は、ジムニー顔で車内の開放感がキモチイイ! -
第492回
自動車
食わず嫌いは良くない! シボレー「カマロ」は左ハンドルで古さを感じるも良質なFRクーペだった -
第491回
自動車
ボルボの電動SUV「EX30」は価格と性能のバランス良し! 乗って実感したオススメポイント5つ -
第489回
自動車
サーキット向けのアルピーヌ「A110S」はフランスらしいデザインと上質さで街乗りも楽しい -
第489回
自動車
アストンマーティン「DB12」はラグジュアリーと最高性能を両立させて究めた1台 -
第487回
自動車
Hondaのセダン「アコード」はすべてが適度でちょうどいい! 5つの魅力を紐解く -
第486回
自動車
これぞ王道! これぞ本流! BMWの魅力を凝縮したSUV「X5」は最高の1台と断言する -
第485回
自動車
1000万円対決! ポルシェ「マカンT」とアウディ「SQ5」似て非なる2台をあらた唯と徹底比較 -
第484回
自動車
日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞のHonda「FREED」の魅力と買いのグレードはコレだ! - この連載の一覧へ