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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第128回

2021年、アップルの「HDR対応」が注目のワケ

2021年01月06日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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●見込まれるテクノロジー

 では、どんなディスプレーのテクノロジーを用いて、iPadやMacをHDR対応していくのか。

 まず単純に考えて、有機ELディスプレーが挙げられます。既にiPhoneやApple Watchに採用しているディスプレーで、テクノロジーとしては2015年からの付き合いです。完璧ではありませんが、画面の焼きつきを抑える実装を施しており、他社製品に比べても耐用年数を延ばしているようではあります。

 iPhoneに近いフォームファクターを持つiPadに有機ELディスプレーを搭載するアイデアは、そう遠くない現実解にも思えます。ただし、これまで2021年後半と言われていた有機EL版iPadは、2022年へと遅れているとの情報も出てきています。

 またMacについては、有機ELディスプレーを採用しにくい事情として、最上部のメニューバーの存在があります。ずっと同じ位置に同じ表示が出続けているため、これは焼きつきの原因になりえます。

 そこで新しいディスプレー技術として注目されているのがミニLED、マイクロLEDといった方式です。アップルも技術企業を買収して研究しているとされるこの技術は、微細なLEDを敷き詰めるディスプレー方式で、有機ELのような発色の良さ、省電力性、高コントラストを実現しながら焼きつきが少ないという特徴があります。

 ただし1画素ずつが発光するタイプは非常に高額になってしまうため、ミニLEDをバックライトとして用いるバックライト型から製品化がスタートしています。デルやASUSなどがプロ向けのバックライト型ミニLEDディスプレーを発売していますが、4K・32インチクラスで価格は40万円〜60万円。そう考えると6K・32型のProDisplay XDRは意外とお手頃なんですよね……。

 価格の問題はありながら、バックライト型ミニLEDの採用で、MacのHDRビデオ対応は実現できそうです。例えば13インチの上位モデル、16インチ、そしてこれから発売するiMacに対してこのディスプレーを採用しながら、Apple Siliconの処理能力をさらに加速させると、非常に魅力的な製品になりそうだと思いますが、いかがでしょうか。

 

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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