「リカバリも迅速、簡単」Veeamシニア・グローバル・テクノロジストにその特徴を聞く
「Veeam Backup for Office 365」最新版の目玉はTeams対応
2021年01月05日 08時00分更新
Veeam Softwareが2020年12月3日(米国時間)に一般提供開始した「Veeam Backup for Microsoft Office 365 v5(以下、VBO v5)」。この最新版では、新たにコラボレーションツール「Microsoft Teams」専用のバックアップ/リカバリ機能を追加するなどの機能強化が図られている。
「新型コロナウイルスの感染蔓延に伴うリモートワーク/在宅勤務機会の増加で、Teamsを利用する企業が非常に多くなった。したがって、そこでやり取りされるメッセージやデータの保護も非常に重要度を増している」。Veeamでシニア・グローバル・テクノロジストを務めるアンソニー・スピテリ氏は、VBO v5の価値をこう語る。
今回はスピテリ氏に、最新版VBO v5におけるTeams対応機能の詳細や、そのほかの機能強化ポイントについて聞いた。
Teams専用のバックアップ/リカバリ機能を新たに追加、監査にも活用可能
スピテリ氏は、「Veeamは『仮想環境のバックアップ製品』でよく知られているが、実はOffice 365向けバックアップ市場のリーダーでもある」と語る。実際にVeeamの提供する各プロダクトの中では、VBOが最も高い成長率を誇るという。Office 365上にあるデータの保護はユーザー企業側の責任であり、業務継続を考えるうえで欠かせないものとなっている。
そんなVBOの新版、v5の“目玉機能”だとスピテリ氏が語るのが、Teams専用のバックアップ/リカバリ機能の追加である。
前バージョン(v4)では、Teamsの一部データ(メッセージやファイル)は「Exchange Online」「SharePoint Online」「OneDrive for Business」の各バックアップ内に分散して保護されるかたちだった。今回はTeamsのAPIとフル統合した“Teams専用”のバックアップ機能となり、メッセージやファイルに加えて、Teams上のチームやチャネル、タブ、設定といったメタデータも簡単にバックアップできるようになっている。バックアップ先も、Azure BlobストレージのほかAWS S3やIBM Cloudなどのクラウドオブジェクトストレージ、さらにオンプレミス環境と柔軟に選択できる。
中でもスピテリ氏が強調したのが、データのリカバリ作業も迅速かつ簡単にできるようになった点だ。VBO v5ではTeams専用の復元ツール「Veeam Explorer for Microsoft Teams」が追加された。従来からあるExchange用やSharePoint用のExplolerツールと同様に、このツールを使ってTeamsバックアップデータ内の閲覧/検索/復元ができる。特定のチームやチャネル、あるいは特定のファイルなど粒度の細かい復元が可能だ。
Teams用のExplorerツールが追加されたことで、高度なeディスカバリにも対応できるようになったとスピテリ氏は説明する。Teamsのあらゆるコンポーネントに対して粒度の細かな検索を行うことができ、監査業務の中でデータのリカバリやレプリケーションもクイックにできると語る。「これは法務やコンプライアンスの業務で、とても便利に使えるはずだ」(スピテリ氏)。
スケーラビリティやパフォーマンスも改善
VBO v5の機能強化点はTeamsへの対応以外にもある。スピテリ氏は、たとえばスケーラビリティやパフォーマンスの大幅な改善も図られていると説明する。
たとえばVBO v5では、1台のVBOバックアップサーバーに対し最大50台のバックアッププロキシを接続できる。これにより、従来比で5倍規模のバックアップインフラまでスケール可能となった。また、ローカルのバックアップリポジトリからオブジェクトストレージへのデータマイグレーションは2倍高速になったと発表されている。
「リカバリ処理の改善も図った。特にSharePoint Onlineは非常に大きなシステムであり、なおかつ大量の小さなファイルを扱うためチャレンジングだったが、マイクロソフトと共同作業を行ってリカバリ処理の最適化を行っている」(スピテリ氏)
なおプロキシサーバーに関しては、これまでVBOバックアップサーバーと同一ドメイン配下になければならなかったが、新たにワークグループ配下でのプロキシ展開にも対応した。これにより、プロキシサーバーをDMZ環境にもセキュアに配置できるようになったと、スピテリ氏は説明した。
またジョブスケジューラでは、業務時間内を避けてバックアップ処理を実行するために、ジョブ実行を許可する時間帯の設定に加えて開始時刻の調整機能が備わっている。
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VBO v5は2020年6月に主要機能がアナウンスされていたが、「その後の顧客やパートナーからの反応は非常に良いものだった。『早くv5を触ってみたい』という声が多く聞かれた」とスピテリ氏は語る。
「もともとOffice 365向けにVBOを導入していた顧客企業でも、新型コロナウイルスの感染蔓延に伴ってTeamsの利用が増えている。他方で、最近になってTeamsを使い始めたという企業も多いだろう。すでにある市場、そして新しいユーザーが牽引するかたちで、VBOがますます成長していくことに期待している」(スピテリ氏)
ほかのバックアップ製品と同様に、VeeamではVBOにおいても無償版(Community Edition)を提供している。これはOffice 365の10ユーザー、10チーム、SharePointデータ1TBまでを保護できるエディションであり、その範囲内であれば永続的に利用できる。スピテリ氏は、まずはこの無償版や30日間評価版を活用して、多くの企業にVBOを試してみてほしいと語った。