松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第120回
迷いすぎたら「iPhone 12 Pro」を選ぶのもあり:
アップル「iPhone 12 mini」未来を感じる超コンパクト
2020年11月10日 16時00分更新
●フルラインアップ
iPhone 12 miniに触ると、この小ささに最先端が凝縮された、あるべき姿のように感じます。一方、iPhone 12 Pro Maxは、過剰とも言えるディスプレーサイズと、光学・コンピューティングの双方で進化したカメラ性能の高さが際立ちます。同じ軸で比較できないため、明確な結論を下すことができないのです。
むしろ、iPhone 12やiPhone 12 Proの方が、選びやすいぐらいです。
iPhone 12は、miniだと文字が小さくなりすぎそう、という筆者世代以上の人にとって、6.1インチの余裕あるサイズはありがたいのです。あるいは、スマホでの映像視聴が多い若い世代にとっても、iPhone 12 miniよりiPhone 12の画面サイズを取った方が快適に過ごすことができるでしょう。
裏を返せば、スマートフォンを見る時間を減らしたいという人は、iPhone 12 miniでスマホの画面を小さくし、映像視聴などはタブレットやテレビなどのデバイスを使う、写真はちゃんとカメラを持ち歩く、という脱スマホ気味のライフスタイルの取り方も、1つの選択肢と言えるでしょう。
一方、写真やビデオをアクティブに撮りたいが、Maxはデカすぎる、高すぎる、という人には、6.1インチのiPhone 12 Proがちょうど良い、となります。LiDARスキャナを生かしたオートフォーカスの高速化や望遠レンズによるポートレート撮影などは、Proモデル共通のメリットです。
そしてカメラ性能を何よりも最優先とするなら、iPhone 12 Pro Max一択となります。またiPhone 12 miniとは逆の理由、つまり仕事もコミュニケーションもエンタメも、すべてスマホにまとめた方がシンプルだと考えるなら、そのiPhoneをできるだけ大きな画面サイズにしておくべきでしょう。
ここまで整理してくると、2020年のiPhoneのうち、どれが自分に最適か、が見えてくるのではないでしょうか。
スタンダードなiPhone 12が広い守備範囲を張るのかと思いきや、意外と狭い点に気づかされます。サイズがちょっとでも大きい方が良い、小さい方が良いとなると外れるし、サイズはいいけどカメラにこだわりたいとなると、同じ6.1インチのiPhone 12 Proになります。その意味で、迷いすぎたらiPhone 12 Pro、という選び方も間違っていないのではないか、と思いました。
個別の機能やボディの魅力について、また連載で掘り下げていきたいと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
この連載の記事
-
第317回
Apple
アップル初のApple Parkでの開発者イベント、初公開の「Loop Building」とは -
第316回
Apple
「Mac Studio」アップルの多様すぎる接尾語について考える -
第315回
Apple
アップル「Mac Studio」登場で生じる、ラインアップへの疑問 -
第152回
Apple
アップル「MacBook Pro」ポート増加は敗北なのか -
第151回
Apple
iPhone分解アートと、Appleが目指す未来 -
第150回
Apple
アップル新型「MacBook Pro」どの構成で買うべきか -
第149回
iPhone
アップル「iPhone 13」4つの魅力 -
第148回
iPhone
アップルiPhoneラインナップから浮かび上がる2つのこと -
第147回
iPhone
アップル製品ラッシュふたたび? -
第146回
iPhone
アップルはiOS 15で「時間の支配権」をユーザーの手に取り戻させようとしている -
第145回
Apple
アップル新型「iMac」驚きの電源 - この連載の一覧へ