Slackが教育機関向けウェビナーを開催、それぞれの活用法やメリット、留意点などを紹介
オンラインキャンパスの運営者3名が語る「Slackの価値」
2020年10月23日 08時00分更新
関西学院大学:学生を授業運営に巻き込むことで活性化
最後に、関西学院大学で講師を務める向井光太郎氏が、コロナ禍の学生と大学の情報共有などにおける課題と、その解決策としてのSlack活用について講演した。
向井氏の専門はマーケティング。教育の理念として掲げるのは「Connected Study」だ。外部と積極的につながって学び、外で得た人脈や知識を大学の中に持ち込んでいくことを心がけているという。
だが今年は、コロナによって大学と学生との物理的なつながりを持つことができなくなった。そこで、教学システム(本来は休講や補修授業の際に使うオンライン講義システム)を全学生向けに使い、オンラインで授業を始めた。
「教学システムは、あくまでも全学生の学習をサポートするものなので、コロナ・ハザードでアクセスが集中しダウンすることもあり得ると考えていました。そこで、オンライン上での教室(居場所)の設定を検討し始めました」(向井氏)
まず、授業はZoomを使うことで教学システムの負荷を下げるメドは立った。しかし、万が一この両方が落ちたときには、学生と大学をつなぐ手段が何もなくなってしまうと思い、Slackの導入を決めたという。
Slack導入後、向井氏はさっそく自分でワークスペースを作り、授業の資料を整えた。授業は外部の企業から講師を招いて行うことも多いが、講師や所属企業、団体との連絡も全てSlackの中で完結させている。
「Slackは、学内と外部の方とをつないで授業を作っていく際にも非常に使いやすい。また学生だけ、講師だけなど、参加者を自由に設定して切り替えながら話を進めることができるのもいいところです」
また、授業はZoom一辺倒で進めるのでなく、例えばSlack上にスライドを細切れにして載せて解説を入れたり、次回の告知を行ったりすることで、学生からのコメントも集まり授業が活性化しているという。
「少し先に予定している授業のアイデアを募集するチャンネルを作ってみると、学生からいろいろな企画が集まってきました。作り込んだものを学生に与えて、これを使ってくださいというのではなくて、とりあえず箱を作ってそこに授業のコンテンツを入れていきながら、学生といっしょに作っていく形ができてきました」
Slackは、大学のオフィシャルなシステムからも情報を集めて流すことができ、仮に一部の連絡手段が途絶えたときでもカバーできる。リモート環境で、学生が情報を得られずに孤立することを避けるためにも有効だと向井氏は言う。
「学生は今、厳しい状況下にあります。ある授業はオンラインだが別の授業は教室に集まるなど、さまざまな状態で学ばなければいけない状況です。学校側は、24時間×7日態勢で対応してあげることが必要で、Slackはそれに適したツールだと思います」
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3名の講演後に行われた質疑応答では、学生の利用に関するルールの詳細や、誹謗中傷の書き込みを防ぐための対策など、参加者から具体的な質問が多く寄せられ、教育関係者のSlack導入に対する関心の高さをうかがわせた。