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松本典子の「Azure Logic Apps」超入門 ~AI編~ 第10回

別途送られてくる通知メールからAIがパスワードを抽出、zipファイルを復号してOneDriveに保存

メールで届く添付ファイルの暗号化を自動解除するLogic Appsを作ろう

2020年10月06日 08時00分更新

文● 松本典子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 こんにちは、Microsoft MVP(Azure / Business Applications)の松本典子です。業務で添付ファイル付きのメールを送信する際、添付ファイルを暗号化zipにして送付し、後から別メールでパスワードを送る手順を取っている会社も多いと思います。

 今回は、そのような形で送られてきた「パスワード付きzipファイル」のパスワードを自動的に解除(復号)し、暗号なしzipファイルとして特定のOneDriveフォルダに保存する仕組みを、「Azure Logic Apps」を使ってノンコーディングで作成する方法をご紹介したいと思います。

 なお、本稿はLogic Appsワークフローの作成サンプルを示すことを目的としています。ご自身の会社の運用、セキュリティルールに合わない場合は利用を控えてください。また、説明を簡素化するため、受信する添付ファイルはすべてzip化され、パスワードがかかっている前提としています。

0. 作成手順の全体像

全体の仕組み

 今回の仕組みを作成する手順は以下のとおりです。

  1. LUIS(Language Understanding)の登録と設定
  2. Cloudmersiveの利用準備
  3. ExcelとOneDriveフォルダの準備
  4. Azure Logic Appsワークフローの作成

 zipパスワードの通知メールからパスワードの文字列を抜き出すために、マイクロソフトの自然言語処理AIサービスである「LUIS(Language Understanding)」を使います。また、zipファイルのパスワード解除処理は、Cloudmersiveが提供しているクラウドサービスを利用して実行します。

1. LUIS(Language Understanding)の登録と作成

 上述のとおり、パスワード通知メールからパスワードの文字列を抜き出して利用するため、Azure Cognitive Serviceの1つであるLUISを利用します。LUISの利用開始時には「LUISポータル」と「Azureポータル」の2カ所で設定を行う必要があります。筆者のブログ記事にLUISの設定についてまとめたものがありますので、こちらも参考にしてください。

 LUISポータルでアプリを新規作成し、今回は次の図にあるようなテキストを学習させました。このトレーニングによって、LUISはメール文中にあるどの文字列がパスワードなのかを推測できるようになります。

LUISに学習させたテキストの例

 筆者は今回のサンプルテキスト(学習データ)を自分で作成しましたが、実際に届くパスワード通知メールの文面やパスワードの形式は多様です。実際のメールからパスワード通知部分の文面をコピー&ペーストし、さまざまなパターンでLUISをトレーニングすると、推測の精度はさらに向上するでしょう。

2. Cloudmersiveの利用準備

 zipファイルのパスワード解除は、Cloudmersiveが提供する「Decrypt and remove password protection on a zip」サービスを利用します。なお、Cloudmersiveではウイルススキャンサービス「Scan a file for viruses」も提供しているので、これも一緒に利用しましょう。

 なお、Cloudmersiveサービスの利用にはユーザー登録が必要です。前回記事の「2. Cloudmersiveの利用登録」を参考にしてください(今回も登録するのは「無料プラン」です)。

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