ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第579回
Tiger Lakeの内蔵GPU「Xe LP」は前世代のほぼ2倍の性能/消費電力比を実現 インテル GPUロードマップ
2020年09月07日 12時00分更新
Xe LP利用するのはTiger Lake、DG1、SG1の3つ
さて、ここからもう少し具体的な話を。Xeには4つの製品カテゴリーがあり、このうちXe LPは最初のものがTiger Lakeに搭載された。またハイエンドであるXe HPCはPonte Vecchio向けにもう具体的なスペックが決まっているようだが、間に入るハイエンドグラフィック向けのXe HPGや汎用GPUであるXe HPに関しては、まだ“in the lab”という段階であり、具体的なスペックも公開されていない。
Xe LPであるが、これを利用するのはTiger LakeとDG1、それとSG1の3つである。連載577回でも少し触れたが、DG1はCES2020で明かされた、ゲーム開発者向けのビデオカードである。
ではSG1は? これはCDN(Contents Delivery Network)などで利用されるサーバに搭載するためのものだ。昨今はCDNといっても以前と異なり動画配信の比率が大幅に高くなっている。
ところが動画配信の場合、複数のビットストリームを生成して回線状況にあわせて自動的に変更したり、複数のコーデックに対応するなどのニーズが要求されるため、これをCPUで処理していると間に合わない。こうした用途向けに、GPUとしての性能は最小限(そもそもGPU的な要求がほとんどない)ながら、Media Sliceを強化した外付けタイプのカードをSG1として提供するという話であった。
実際この市場にFPGAを突っ込んだり専用アクセラレーターを開発する話はよく聞くところで、例えばEUは最小限だけどMedia Sliceが10個くらいあるような、GPUというよりも限りなく動画エンコーダー/デコーダー/トランスコーダー向けの製品が手頃な消費電力で提供されれば、ニーズは高いだろう。まだSG1のスペックなどは明らかにされていないが、多分そう遠くない時期に投入されると思われる。
Tiger Lakeに搭載されるXe LPは
Gen11のほぼ2倍の性能/消費電力比を実現
次はTiger Lakeの話だ。GPUのスペックは連載577回にまとめてあるが、Gen11とほぼ同じエリアサイズおよび消費電力で、ほぼ2倍の性能/消費電力比を実現したとする。
Subsliceは6つで、おのおのが16EUを搭載するので合計96EUである。またTexture Unitは最大48 Texels/clock、Pixel Backendは24Pixels/clockでの処理が可能となっている。
連載577回のスライドでは3次キャッシュが3.8MBになっているが、アーキテクチャー的には3次キャッシュは16MBまで搭載可能であり、おそらくはダイサイズとの兼ね合いなどから3.8MBに削減しての実装となったと思われる。ただ、どうしてこんな半端な数字なのかちょっと聞いてみたいところである。
動作周波数は連載577回で、最大1.65GHzあるいは1.85GHzあたりまで引っ張れると説明したが、Core i7-1165G7のスペックを見ると1.3GHz止まりになっており、あまり上まで引っ張る感じになっていないところだ。
実際のところ、あまり動作周波数を引き上げてもメモリー側が追い付かないので、このあたりでバランスを取ったのかもしれない。
Media Sliceは1個だけ搭載されるが、MFX/SFCともにダブル実装で、従来比2倍のスループットとされる。
ちなみにHot Chipsでは説明が省かれたが、Architecture DayではDisplay Engineの詳細も公開されている。
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