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Windows Info 第239回

ChromiumでないEdgeは消えるが、IEはまだまだ無くならない

2020年08月30日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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Microsoft 365がIEサポートを終了するだけで
IE自体のサポートが終了されるわけではない

 先週、「IE終了」的な話題がいくつか出た。実際には、MicrosoftがMicrosoft 365(昔のOffice 365)でのサポートを止めるという話であって、実際には、IE11はWindows 10に同梱されているし、これからも入っているはずである。まあ、あと5年は現役でしょう。

 元のブログ投稿はこちら。

●Microsoft 365 apps say farewell to Internet Explorer 11 and Windows 10 sunsets Microsoft Edge Legacy
 https://techcommunity.microsoft.com/t5/microsoft-365-blog/microsoft-365-apps-say-farewell-to-internet-explorer-11-and/ba-p/1591666

 内容としては、今年の11月30日で、Microsoft TeamsのウェブアプリはIE11のサポートを終了して、来年の8月17日には、残りのMicrosoft 365のアプリもIE11をサポートしないというものだ。IEの開発元と同じMicrosoftだが、話はあくまでMicrosoft 365に関してのもの。IEそのものとは関係ない。それよりも、Edge Lagacyのサポートが来年の3月までってのも気になる。

マイクロソフトのBlogで発表されたMicrosoft 365におけるIE11サポートの終了計画。あくまでもMicrosoft365がサポートしなくなるだけで、IE11が終わるわけではない

 そもそもChromium版でないEdge(これがEdge Legacy)は、IEを置き換えるものとして、Windows 10とともに登場した。コードネームはSpartan、勇ましい名前だが、IEよりも先に終わってしまった。「いつまでも年寄りが大きな顔してんじゃねぇよ」と挑んだ若者が返り討ちって感じか。

Windows 95ではウェブブラウザは別売りだった

 IE(Internet Explorer)は、最初はSpyglass社のNCSA MosaicベースのブラウザをOEMする形で登場した。Spyglass社は、NCSA(米国立スーパーコンピューター応用研究所)で開発されたNCSA Mosaicのソースコードをライセンス販売していた。マイクロソフトはこれを購入して、最初のIEを作った。ちなみにMosaicを作った開発者(マーク・アンドリーセン)はNetscape社を創業してNetscape Navigatorを開発した。そういう意味では、最初の「ブラウザ戦争」は、兄弟げんかのようなものだった。

 IE 1.0は、Windows 95の別売りパッケージであるWindows 95 Plusに含まれていた。筆者はこのPlusを購入したので、最初のIEを“買った”のだが、その後無料になる(できればあの金を返してほしい)。この頃、マイクロソフトは大きな混乱の中にいた。そもそも、Windows 95の開発中にインターネットの商業利用が普及し、大学や研究機関に所属していなくても、インターネットにアクセスできる時代に移行した。

 Windows 95を開発していた頃のマイクロソフトは、インターネットをAOLのようなパソコン通信ネットワークのようなものだと思い込んでいた。なので、自分たちでネットワークサービスを始めれば、インターネットなんて「イチコロさ」みたいな発言があった。ビル・ゲイツがマジでそういう発言をしているのを聞いて、筆者はもうダメかと思った。

 しかし、さすがはマイクロソフトである。正しく状況を認識し、Windows 95が登場するまでには、TCP/IPの通信スタック(WinSock)やIEを用意し、インターネット接続ができるようにした。ちなみにマイクロソフトがインターネットに対抗してつくったサービスがMSN(Microsoft Network)で、最初のWindows 95には、専用クライアントが付属していたが、すぐに方向転換した。そういう事情もあって、Windows 95の初版には、ウェブブラウザが同梱されず、別売りパッケージに入っていたのである。

 しかし、ウェブブラウザに関しては、ゼロから開発では間に合わないと、社外から調達することにした。マイクロソフトは、なんでもとにかく自社ブランドにしないと気が済まない。C言語が流行ったときも、当時の著名なコンパイラであるLattice社の製品をOEMしてMicrosoft-Cという名前で販売した。

 なにせ、WindowsをコンパイルするのにCコンパイラがないとどうしようもなかったからである。データベースだってSQL Serverは、SybaseからのOEMだったし、PowerPointは会社ごと購入した(しかも、オリジナルはMac用)。中には疑問に思うものも少なくなかった。たとえば、ウェブオーサリングソフトのFrontPageやCG製作ソフトのSoftimageなどである。

 とにかく、こうして登場したIEだったが、最初の大きな変化は、IE3である。このIE3からマイクロソフトの開発したコードが大部分を占めるようになるのと同時に、ActiveXが導入された。ActiveXとは、当時流行したVisual BASICのCOMコントロールの名前を変えたもので、プログラムを作る部品(COMコンポーネント)をスクリプトから制御する仕様である。

 これを使うことで、ブラウザ側のスクリプトから機械語プログラムであるActiveXコントロールを制御できるようになり、ブラウザやスクリプト言語では不可能なさまざまな機能拡張が可能になった。また、このとき、マイクロソフトは、JavaScriptに対抗して、Visual BASICベースのVBScriptまで作った。これは、Windows 10でも、Windows Scripting Host(CScript.exeなど)に残っている。

 そして、劇的に変化したのはIE4だ。なにせ入れると、Windows 95のデスクトップがウェブブラウザーになる「Active Desktop」やWindows ExplorerがIE化するなど、Windowsともども大きく変化した。ただし、よくエラーを起こしてエラー画面になっていることも少なくなかった。Windows XPまでは利用できたと記憶する。

 このIE4は、WindowsのアプリケーションにHTMLレンダリングエンジンをもたらした。Tridentと呼ばれていたHTMLレンダリングエンジンは、MSHTMLというソフトウェアモジュールになっていて、アプリケーションから呼び出すことができた。このため、アプリケーションは、ウィンドウの中をHTMLで表現することが可能になった。

 今では当たり前のような話だか、当時、将来的にはアプリケーションはすべてウェブブラウザとインターネット側のサーバの組み合わせで実現できるようになる、と考えられていた。まだ、クラウドといった用語が普及する前の話である。しかし、問題は、ブラウザのJavascriptなどのスクリプト言語では、どうしても処理性能が上がらず、簡単なことしかできなかった点にある。その1つの解法がJavaであり、ActiveXであった。

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