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Windows Info 第239回

ChromiumでないEdgeは消えるが、IEはまだまだ無くならない

2020年08月30日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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新たにChromeに対応する開発コストを考えると
IEは多分もうしばらく無くならない

 IEが当面無くならない理由の1つは、このActiveXにある。ChromeやChromium版Edgeも外部プログラムと通信できるようになったが、セキュリティの関係からかなり制限がある。e-Taxのサイトは、ようやくChromeの拡張機能でマイナンバーカードを使ったログインをサポートしたようだが、FeliCa系のサービスだとNFCリーダーをアクセスするためにIE11が必要なものがまだある。今さらChromeまでサポートする気や予算があるのかどうか。いずれ対応するのかもしれないが、それまではIEが必要ということになる。

 IEを必要とする多くの社内サービスなどが存続している理由もActiveX関連である。IEは確かにHTMLレンダリングのクセが強く、かつては、ブラウザ個別に対応する必要があったが、この点は緩和されている。すでにIEは過去の存在なのである。いまだにIEが必要なんて条件を付けているサイトはおそらく10年ぐらい前から更新していないものだけだ。

 ブラウザから外部のソフトウェアを呼び出せる仕様は、セキュリティ的にみるとリスクが高い、ウェブブラウザの拡張機能としてJavaが廃れたのは、セキュリティ的な問題のためだろう(もっとも、Java陣営が自滅したってのもあるかもしれないが)。Chromeも拡張機能を作れば、Native Messagingを利用して特定の実行ファイルとのデータ交換が可能ではある。USBデバイスを接続する話もある。

 だけど、ActiveXを置き換えるには、まったくのゼロから始める必要はないかもしれないが、どうしてもある程度の開発工数が必要だ。そうなると、必ずしも、今Chromeに対応することがベストな解法でないこともある。IEも今すぐ使えなくなるわけじゃないし、どんなシステムもいつかは置き換えられる、だったら、それまで使ってようかと考えるところもあるだろう。そういうわけで、IE11はもうしばらくは需要がありそうだ。

 IEの元になったNCSA Mosaicは、Unix用としてはソースコードが流通していて、筆者も当時ソニーのNEWS-OSでコンパイルして動かした記憶がある。そういう意味では、IEも一周回ってオープンソースのChromiumベースのEdgeに戻ってきた。

 ブラウザのシェアという点からみると、EdgeはChromeに対して何らかの差別化を行う必要があるが、現時点で魅力的なのは、サイトによって自動的にIEに切り替わるIEモードぐらい。ここで、昔みたいな「MARQUEE」タグ(文字や画像をスクロールして表示させられる)みたいなのを入れるのは勘弁して欲しいところだが「Chromeじゃできないよね」みたいな機能がないと、わざわざEdgeを使う気にもならない。さて、どうします?

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