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ERP SaaSなども含む50以上の全サービスを提供、「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」

Oracle Cloudを顧客DCに配置する“顧客専有リージョン”提供開始

2020年07月14日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは2020年7月13日、顧客企業のデータセンター内でオラクルが運用する“顧客専有リージョン”を使い、Oracle Cloudの全サービスを提供する「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」と、同じく顧客データセンターから提供する「Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」の2サービスを提供開始した。前者のDedicated Regionサービスでは、パブリッククラウドと同等の価格性能比やSLAを実現するとしている。

 またDedicated Regionサービスについては、野村総合研究所(NRI)が世界で初めて採用したことも発表されている。同日の記者説明会にはNRI 常務執行役員の竹本具城氏もゲスト出席し、NRIが考える導入の狙いやメリットについて語った。

今回は「Oracle Dedicated Region Cloud@Customer」と「Oracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customer」という2つの新サービスが提供開始された

日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏

ゲスト出席した野村総合研究所(NRI)常務執行役員の竹本具城氏

ガバナンス、レイテンシなどの厳しい要件を満たす“自社DC内リージョン”

 Oracle Dedicated Region Cloud@Customer(以下、Dedicated Region)は、顧客企業のデータセンター内に第2世代Oracle Cloudの専有リージョンを設置し、オラクルが運用管理を行うフルマネージドサービス。パブリッククラウド環境では実現が困難な、ガバナンスやセキュリティ、通信レイテンシの要件を満たすクラウドサービスを提供する。

 IaaSだけでなく「Oracle Autonomous Database」のようなPaaS、「Oracle ERP Cloud などのSaaSも含む50以上のOracle Cloudサービスすべてを提供することが可能で、ユーザーはパブリッククラウド上のOracle Cloudと同じ管理コンソールから統合運用できる(顧客企業側からは多数あるリージョンの1つとして見える)。また顧客のワークロードに対する要望に応じて、導入されるインフラ構成はカスタマイズされる。

顧客データセンター内のケージ隔離されたエリアにオラクルがハードウェアを設置し、運用管理もすべてオラクル側が実施する。運用管理はオンサイト、リモートのどちらにも対応

 Dedicated Regionでは「パブリッククラウドと同等の機能」を提供することがうたわれている。前述した50以上のサービスを提供するほかにも、たとえばSLA(サービスレベル契約)は通常のOracle Cloudと同じく「可用性」「パフォーマンス(IOPS、ネットワーク)」「管理性(APIエラー割合)」の3つを保証している。そのほかAPI、セキュリティ、コンプライアンスについても同一のレベルで提供される。

 Dedicated Regionサービスの利用価格は月額50万ドル(年額600万ドル)からで、最低契約期間は3年間。この価格には、インフラのハードウェアコストや設置、運用管理などのサービスコストも含まれる。従量課金制で、ユーザーのサービス利用に応じて月額分のクラウドクレジットを消費していくモデルとなっている。なお、導入前にOracle Cloudのデータセンター担当チームが、顧客データセンター設備のアセスメントや調整を行う。「標準では、データセンター環境が整ってから3~6カ月」(日本オラクル 竹爪氏)でサービス提供を開始できるとしている。

Dedicated Regionサービスの特徴と、提供可能なOracle Cloudのサービス

 もう1つのOracle Autonomous Database on Exadata Cloud@Customerは、3年前から提供している顧客データセンター設置型のフルマネージドExadataサービス「Exadata Cloud@Customer」を用いて、Autonomous Databaseをクラウドモデルで提供するサービス。発表によると「通常の導入期間は1週間以内」と迅速に導入でき、Oracle Databaseを利用する既存のアプリケーションは変更なしで接続できる。

野村総合研究所が世界初採用、金融業界向けサービス基盤として活用

 日本オラクル 常務執行役員 テクノロジー事業戦略統括の竹爪慎治氏は、今回提供を開始した2つのサービスでは「大きく3つのユースケース」が考えられると説明した。

今回発表した2サービスの主なユースケース

 1つめは、従来のオンプレミスシステムと同等の要件が求められるクラウド環境だ。たとえば金融や公共、さらに大規模エンタープライズの基幹システムなど、厳しい法規制への対応が求められる領域のシステムが該当する。2つめは、既存オンプレミスシステムとの密な連携が求められるハイブリッドクラウド環境だ。特に、通信のレイテンシ要求が厳しいシステムをクラウド移行することができる。そして最後が、SIerやISVのパートナーが自社データセンターに導入し、独自クラウドサービスを展開するための基盤として活用するケースだ。

 今回、Dedicated Regionサービスの世界初導入を発表したNRIは、上述したうち3つめのユースケースとなる。NRI 竹本氏が同サービス導入の背景と狙いを説明した。

 金融業界に多くの顧客を持つNRIでは、金融マーケットに対し、長年にわたってさまざまなITソリューションやASPサービスを提供してきた。こうしたサービスは現在、3つのNRIデータセンターをまたいで展開するプライベートクラウド環境「NRI金融クラウド」を使って提供している。

 「(NRI金融クラウドは)3万物理コア、ストレージは10PB規模に至る国内屈指の規模のプライベートクラウド。400名近いエンジニア体制で運営している。過去数年だけでも数百億円規模の投資を行ってきた」(NRI 竹本氏)

NRIでは大規模なプライベートクラウド「NRI金融クラウド」を基盤として、金融業向けの各種サービスを提供している

 一方で、NRIはAWSなどのパブリッククラウドにも早期から積極的に取り組んできた。ただし、金融ソリューションへのパブリッククラウド適用については、やはり乗り越えるべき課題が多くあったと語る。主には「金融統制(ガバナンス)の確保」「高可用性と低レイテンシの保証」「移行コストの抑制」の3つだ。

 この課題に対し、オラクルからソリューションとして提示されたのがDedicated Regionだったという。昨年2月に紹介を受け、半年間の検討を経て12月に契約、その後3カ月ほどかけて自社データセンターを整備し、1カ月程度でDedicated Regionを構築した。すでに導入と設置は完了しており、現在はオラクルと共同で稼働検証を進めているという。

 竹本氏は、Dedicated Regionの採用に至ったポイントは大きく3つ、「高可用性とアジリティ」「金融サービサーとしての統制確保」「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進への効果」だと語る。

 「自社データセンター内に設置されるため、ネットワークセキュリティも含めた物理統制を確保できる。また、この環境はオラクルに運用していただくが、その運用に対してNRIの統制ルールを適用できる。また、IaaSだけでなくOracle Cloudのさまざまなクラウドネイティブサービスが利用できるほか、これまで運用に携わっていた自社エンジニアが、戦略領域であるDXの案件へとシフトできる」(竹本氏)

NRI 竹本氏が挙げたDedicated Regionサービス採用のポイント

 まとめとして竹本氏は、今回のDedicated Region採用を通じ、今後もオラクルと共に金融マーケットへの貢献を進めていきたいと述べた。

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