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遠隔授業も増え「4カ月間で30倍」の需要拡大、OCIへの迅速展開で数百万人規模の同時参加に対応

ビデオ会議ツールZoom、利用急拡大への対応で「Oracle Cloud」採用

2020年04月30日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 米オラクルは2020年4月28日(現地時間)、オンラインビデオコミュニケーションサービス「Zoom」を提供する米ズーム ビデオ コミュニケーションズが、サービス提供基盤としてオラクルのIaaS「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」を採用したと発表した。Zoomにおける急激なサービス需要増加に対応するためで、すでにOCIのサーバーを通じて「毎日7ペタバイト(HDビデオ換算で約93年分)」のデータを転送していると述べている。

ZoomのWebサイト(zoom.us)。先週にはセキュリティを大幅に改善したZoom 5.0をリリースした

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴って、世界中でビデオ会議サービスの利用が急拡大している。Zoomでも、昨年(2019年)12月は1日あたり約1000万ユーザーだった会議参加者数が、今年2月には約2億ユーザーに、そして3月には1日あたり約3億ユーザーと、4カ月間で30倍に急拡大した。オラクルのブログ記事によると、こうした急拡大は、企業におけるビデオ会議の需要増加に加えて、教育機関に対する無料サービス枠の拡大によって遠隔授業に利用されるケースが増えたことが要因だという。

 これに伴って、Zoomは追加のクラウドキャパシティを迅速に用意する必要に迫られた。オラクルではこれに応じ、OCIへのZoom展開を数時間で完了して、数十万ユーザーが同時に会議参加できるクラウドキャパシティを確保。さらにその後、遠隔授業での利用が増加した際にもキャパシティを拡張して、フル運用が実現した現在では数百万ユーザーの同時参加にも対応できるという。

 Zoom CEOのエリック・S・ユアン(Eric S. Yuan)氏は、オラクル発表の中で「複数のプラットフォームを調査した結果、キャパシティを迅速に拡張し、新規ユーザーのニーズを満たすうえで『Oracle Cloud Infrastructure』が有益だと判断した」と述べたうえで、選定理由として高いセキュリティ、パフォーマンス、サポートレベルという3点を挙げている。

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 なお今回のオラクル発表は触れていないが、4月28日付のロイター記事によると、これまでZoomのサービスは、自社設備のデータセンターと、Amazon Web Service(AWS)やMicrosoft Azureのクラウドインフラを併用する形で運用されてきた。同記事では、今回のOCI採用は他社クラウドからの乗り換え(全面移行)ではなく、AWSやAzureとの併用だとしている。

※追記:Zoomが4月29日(現地時間)に開催した公開ビデオカンファレンスにおいて、Zoom CEOのエリック・ユアン氏は「当社独自のデータセンター、主にはAmazon(AWS)、そしてオラクルのクラウド、これら3つを組み合わせて、前例のないトラフィックに対応している」と発言している。(2020年4月30日 15時30分追記)

Zoomでは世界9地域(リージョン)のデータセンターを選択できるが(左)、このうち中国にはOCIのデータセンターが存在しない(右)。ここからも他社クラウドとの併用が推定される

 ただし上述のロイター記事は、現在では「Zoomトラフィックの大部分」をOCIが処理しているというZoom、オラクル幹部のコメントも取り上げている。従来からオラクルではAWSと比較した場合のOCIのネットワークコストの優位性(アウトバウンドトラフィック料金の安さ)を強調しており、大容量のビデオトラフィックを伝送しなければならないZoomサービスの中核部分をOCIに移行したことも考えられる。

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