青春とRPGを組み合わせたゲームシステム、シナリオ、自由度の高さが魅力

PC版「ペルソナ 4 ザ・ゴールデン」で青春ドラマとJRPGの醍醐味を味わってみませんか?

2020年06月20日 13時00分更新

文● 市川 ●編集 ASCII

もう1人の自分と向き合う、ということ

負の存在として具現化された「もう1人の自分」と対峙することになる

怒り、憎しみ、嫉妬など、ネガティブな感情が露わになり、本人の精神を激しく狂わせていく

 もう1人の自分とはいったい何者なのか。善人なのか、それとも悪人なのか。その答えは当の本人しかわからない。これはゲームだけの話ではなく、人間が抱える普遍的な問題のひとつではないだろうか。

 ペルソナ 4に登場するメインキャラクターたちはそれぞれ複雑な事情を抱えており、怪異の力により負の存在として姿を現す。怒り、憎しみ、嫉妬など、ネガティブな感情が露わになり、メインキャラクターの精神を激しく狂わせていく。そのとき、打ちひしがれた本人は必ずこう口にする、「こんなの自分ではない」と。もう1人の自分ともいえる負の存在を、完全に否定してしまうのだ。

もう1人の自分を否定すると、獰猛なシャドウに変貌。自分自身と向き合うボス戦がスタートする

 結果、獰猛なシャドウと化したもう1人の自分と戦うことに。ほかのシャドウとくらべるとかなり手強く、下手をしたらパーティーが全滅しかねない。だが、真の武器は自身と向き合う勇気と、信頼できる仲間との絆。見事戦いに勝利すると、本人はもう1人の自分を受け入れる決意を固め、その恩恵としてペルソナという屈強な鎧を手にする。

 私が本作を愛する1番の理由は、心の葛藤をボス戦という形でうまく表現されている点にある。ネガティブな存在であるもう1人の自分と「戦う=向き合う」コンセプトが人間ドラマ的であると考えている。

 どちらかが勝てば本物の自分になり、どちらかが負ければ存在が抹消されるといった醜い争いではなく、そんな自分を認め、享受するための試練として描いている点が実に巧い。いや、巧すぎるのだ。これぞドラマだと思うほどだ。

 人間の光と闇をあぶりだし、苦悩させ、最終的には純粋無垢な答えを見つける――自身の勇気と、信頼できる仲間たちの存在のおかげで。自分とその仲間たちが絆を結び、ともに次なる困難へ挑んでいく姿に感動を覚えたものだ。ペルソナ 4が提示する人間賛歌的テーマこそ、今日もなお名作として愛される理由なのかもしれない。

自分自身を向き合う勇気を見出した瞬間、もう1人の自分はペルソナという屈強な鎧に姿を変える

 人生における喜怒哀楽を盛り込んだ本作のシナリオは、多くのプレイヤーにプラスの影響をもたらす。本作のプレイ経験者は懐かしさを、初見の人は人間愛の温もりを味わうことになるだろう。もちろん殺人事件の真相やコミカルなサブストーリーなども目が離せないほど面白いが、キャラクターたちがみせる奥深い人間ドラマにも注目してほしい。

 自由度の高いゲーム性、戦略性豊かなバトル、そして人間賛歌をテーマにしたストーリーが魅力のペルソナ 4 ザ・ゴールデン。価格も1980円とかなりリーズナブルなので、名作をPCでプレイしたい人はぜひ購入を検討してもらいたいものだ。

ゲーム情報

・タイトル:ペルソナ 4 ザ・ゴールデン
・開発:アトラス
・販売:セガ
・ジャンル:RPG
・プラットフォーム:PC(Steam)
・販売日:2020年6月14日
・価格:1980円

ペルソナ 4 ザ・ゴールデンの主なスペック
要件 最低 推奨
CPU Core 2 Duo E8400/Phenom II X2 550 Core i5-650/Phenom X4 940
グラフィックス GeForce GTS 450/Radeon HD 5770 GeForce GTX 450/Radeon HD 6870
メモリー 2GB 4GB
DirectX Version 11
ストレージ 14GB 利用可能
OS Windows 8.1 Windows 10

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