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T教授の「戦略的衝動買い」 第586回

チェキフィルムを使う手動式インスタントカメラ「escura」を衝動買い

2020年06月18日 12時00分更新

文● T教授 撮影●T教授 編集●ASCII

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オリジナルのポラロイドの撮影結果から、チェキフィルムを使うさまざまなインスタントカメラで撮影してきたが、初代Polaroid SX-70の完成度の高さとLOMOのトーン、キヤノン Mini LiPlayのディティール感が筆者的には好みだ

 すべてが手動のインスタントカメラで撮影するのは、人生初。そもそも人生の95%くらいはデジタルカメラしか触ったことのない筆者には、きわめて驚きの連続だ。そして、今まで使ったほかのチェキフィルムを使用するインスタントカメラとの違いにも驚いてしまった。

慣れない初撮影とは言え、escuraでの撮影はフラッシュを使っても使わなくてもなかなか難しい。大失敗の連続だった。それゆえ、チャレンジし甲斐があるのも事実だ

 escuraは、お天気的には快晴の屋外で撮影する場合でも、絞りの設定は現在の場所の明るさを十分考慮してこまめに設定変更することがきわめて重要だと分かった。あと、屋内ではバブル撮影以外ではオプションのフラッシュ装置は必須だ。そういう意味では、楽しいかどうかは別にして、Pixtossのフラッシュ標準装備は大人の対応モデルと言えるだろう。

筆者個人的には、バブルシャッター設定で、フラッシュを使わず、迷わずシャッターを押して、岩のように動かず、心でカウントダウンしてシャッターを上げるのが良さそうな感じだ

本体のescura同様、60'sを彷彿させるパッケージに入った専用フラッシュ装置

 escura本体は100%手動のアナログカメラだが、当然のことながらフラッシュは単三乾電池が2本必要だ。フラッシュ装置とは付属専用ケーブルでescura底面の外部フラッシュコネクタジャックと接続する。これで、本体のシャッターとフラッシュの発光が同期する。

さすがにフラッシュはバッテリーが必要で、単3乾電池2個で駆動する

フラッシュ装置と本体を付属のケーブルで接続することで連動する

背面には電源オンオフスイッチ、フラッシュテストボタン、チャージ完了を知らせるインディケーターLEDが配置されている。本体に比べてやけにテクノロジーしてる

 実際のフラッシュ撮影では、この手の製品では一般的だが、近景には強烈に効き、遠景にはまずフラッシュ光は届かない。背景が無限に広がる世界ではなく、被写体のすぐ後ろが壁面などの方が撮影結果はナチュラルだ。

オールディーズなこういう両手持ちで撮影する。ドッキングせず、片手ホールドで、本体のシャッターが重いのでescura本体のブレが心配だ

 escureはこだわりとギミックの面白いToyカメラだが、実際に手で触ってみると、写真で見るよりはるかに玩具感覚だ。残念ながら写真としてのクオリティを求める商品ではなさそうだ。多少上のクオリティを求めるのであれば、同じチェキ用のインスタックス ミニ フィルムを使うライカのゾフォート、低価格版ならPixtossの方が良いだろう。

昔のアナログカメラのフラッシュの雰囲気だ

 表現は微妙だが、アクティブな人物動画の一部を静止画として切り取ったような写真が向いている。元々動きのないブツや風景を撮影しても残念な結果に終わることが多い。

筆者愛用の初代SX-70と、昔、オリジナルポラロイドフィルムで撮影した写真。未だにインスタントカメラで、この組み合わせによる感性を抜いた製品は知らない

 世界初のインスタントカメラが登場して今年で72年、ほぼ初代機ながらState of The Artsの域に達したPolaroid SX-70の登場から半世紀。世界中にはすでに多くのポラロイドフィルムやチェキフィルムを利用するカメラが登場してきているが、残念ながらいまだに半世紀前に登場したPolaroid SX-70と当時のフィルムの創りだす色気と味を超えるモノがないのは残念だ。

 
T教授

今回の衝動買い

アイテム:escura
・購入:ヨドバシ.com
・価格:8770円

T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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