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ハイブリッドクラウドとAIが“コロナ以後”時代の重要技術に、「IBM Think 2020」基調講演

「コロナ禍は企業や社会のDXにとって『重大な転換点』」IBM CEO

2020年05月11日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、今年はオンラインで開催されたIBMの年次イベント「IBM Think Digital 2020」(米国時間 2020年5月5日、6日)。今年4月からCEOを務めるアービンド・クリシュナ氏の基調講演では、現在の危機的な状況を乗り越え、“コロナ以後”の不確実性が高い時代に対応していくための企業ITに求められるもの、そうした課題に対するIBMのスタンスとソリューションが語られた。

 クリシュナ氏いわく、鍵を握るテクノロジーは「ハイブリッドクラウド」と「AI」であり、いくつかの新発表も行われた。

IBM CEOのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)氏。「The New Essential Technologies for Business」というタイトルで基調講演を行った

基調講演の中では「IBM Watson AIOps」などの新ソリューションも発表された

現在のこのときは「企業と社会のDXが急加速した瞬間」として歴史に刻まれる

 基調講演冒頭、クリシュナ氏は新型コロナウイルスの世界的なパンデミックという危機的状況は、これからの時代における新しい企業活動のあり方を深く考えるべき「転換点」でもあると語る。

 「今回のパンデミックは、強大な破壊力によって先例のない悲劇を引き起こしている。しかし、同時にこれは『重大な転換点』でもある。将来にわたって皆さんの会社や顧客に恩恵をもたらす新たなソリューション、新たな働き方、新たなパートナーシップを創出する機会にもなっている」

 ITの観点から見れば、ここで創出される新たな企業像や社会像は、これまで“デジタルトランスフォーメーション(DX)の先にある未来像”として語られてきたものとほとんど同じだろう。ただし、これまでは近未来の話として語られていたものが、急に“明日(もしくは今すぐ)必要なもの”になった。したがってこれを契機に、企業や社会におけるDXのペースが急加速することは間違いない。

 「現在のこのときを、やがては歴史上の『ビジネスと社会のデジタルトランスフォーメーションが急加速した瞬間』、さらには『“ポストCOVID(コロナ以後)”の世界に向かうための基盤が形成された時代』として振り返るときが来ると確信している」

 あらゆる国で人の移動や対面が大きく制限されることになったことで、たとえばグローバルなサプライチェーンの寸断、人手に依存してきたビジネスプロセスの破綻、さらには経済環境の急変に対応できる柔軟さやスピード、インサイト(洞察)、イノベーションの欠如といった、企業における課題があらためて浮き彫りとなった。そしてこうした課題を解決するためには、ITのさらなる高度化が欠かせない。

 「このパンデミックから教訓として得られるのは、スピード、フレキシビリティ、インサイト、イノベーションを実現するテクノロジーソリューションが極めて重要であること、皆さんの企業を強化するテクノロジープラットフォームの選択が非常に重大な決定であるということだ。テクノロジープラットフォームは、21世紀における競争優位性の源泉にほかならない」

 たとえば新たな市場機会に即応するビジネス転換、顧客サービスの改善、ビジネススケールの拡大、そして今日われわれが直面しているような危機的状況への対応も、すべてそうしたテクノロジープラットフォームにより実現するからだと、クリシュナ氏は説明する。

Red Hatとの協業で「オープンハイブリッドクラウド」を強く後押し

 “コロナ以後”の世界における重要なテクノロジーとして、クリシュナ氏は柔軟かつ迅速なシステムの展開やレジリエンシー(回復性)を実現する「ハイブリッドクラウド」と、あらゆるビジネスプロセスの省人化/自動化につながる「AI」を挙げる。これらのテクノロジーが、DXを強く後押しする主要な力となるからだ。

 もっとも、これらの重要性(およびその背後にある課題)は従来から認識されていたものだ。ここでの大きな変化は、それらを導入する「ペース」が加速することになった点だという。

 「今回の危機によって、ハイブリッドクラウドとAIの重要性は急加速している。ここで変化したのは導入に向かう『ペース』であり、これまで数年のスパンで考えられていた導入へのジャーニー(道のり)が、数カ月へと短縮された」

 ハイブリッドクラウドについてクリシュナ氏は、ここにはデータセンターだけでなくエッジ環境も含まれるとしながら、企業においてハイブリッドクラウドの採用が必然となる「4つの理由(imperative)」を挙げた。最新のパブリッククラウドサービスだけでなく既存のIT資産(オンプレミス)の活用も求められる「History」、ITの自由な選択肢を確保しなければならない「Choice」、レイテンシ/レスポンスタイムを小さく押さえるための物理的距離=「Physics」、そして各国/地域のプライバシー法規に準じたデータの保存場所を選ばねばならない「Law」の4つだ。

 「これら4つの“理由”が、ハイブリッドクラウドがメインストリームのテクノロジーとして普及する背景を示唆している。そして、IBMではハイブリッドクラウドに大きな投資をしてきた。とりわけ大きな動きが、開発したミッションクリティカルなアプリケーションをどこでも動かすことができる、ユニークな(唯一の)能力を提供するための、Red Hatとの協業だ」

 前週に開催されたRed Hatの年次イベント「Red Hat Summit 2020」でも強調されたとおり、買収によりIBM傘下となったRed Hatだが、引き続きベンダー中立の立場で「オープンハイブリッドクラウド」ビジョンを推進していく。

 IBMとしてもそれを後押ししつつ、たとえばコンテナプラットフォーム「Red Hat OpenShift」との統合ソリューション「IBM Cloud Paks」や、「IBM Cloud」とRed Hat製品の緊密な連携など、エンタープライズ向けに競合優位性の高いソリューションを展開していく方針だ。

 たとえば今回のIBM Thinkでは、他のパブリッククラウドプロバイダーに先駆けて、OpenShiftのマネージドサービスである「Red Hat OpenShift 4.3 on IBM Cloud」の提供を発表した。また、5G時代のテレコムプロバイダー(通信事業者)向けとして、OpenStackやOpenShiftをベースとした、データセンターからエッジまでをカバーする仮想化/コンテナ化ソリューションおよびサービスを発表している。

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