このページの本文へ

レッドハットのジム・ホワイトハースト氏が記者会見

「IBMのお金でもっとKubernetesに投資できる」――レッドハットCEO

2018年11月12日 07時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2018年11月8日、レッドハットの年次イベント「Red Hat Forum Tokyo 2018」に合わせて来日した米Red Hat 社長 兼 CEOのジム・ホワイトハースト氏が記者会見を開き、IBMによる買収について質疑応答した。米国時間10月28日に発表されたIBMによるRed Hatの買収は、まだ規制当局の承認を得ていない段階にあり、ホワイトハースト氏は「詳細はまだ話せない」としながらも、会見では本件についてRed Hatの見解を丁寧に語ってくれた。

米Red Hat 社長 兼 CEOのジム・ホワイトハースト氏

Red Hatの業績は好調、OpenShiftのユーザー数は年率91%増

 質疑応答に先立ち、ホワイトハースト氏はRed Hatの直近の業績を紹介。2019会計年度第2四半期(6~8月)の売上高は8億2300万ドルで前年同期比14%増、これで66四半期連続の売上増加を達成した。

 製品別のユーザー数の年平均伸び率をみると、Kubernetesベースのコンテナアプリケーションプラットフォーム製品「Red Hat OpenShift」は91%、IaaS構成ソフトウェアのOpenStackディストリビューション「Red Hat OpenStack Platform」は34%、構成管理ツール「Red Hat Ansible Tower」は81%となっている。「KubernetesによるインフラのモダナイズのニーズでOpenShiftは引き続き好調。OpenStackも顧客数が500社を超え、特にエンタープライズの顧客に使われるようになった。また、Ansibleもエンタープライズの様々なシステムの自動化に使われるようになり、特にセキュリティの自動化、ネットワークの自動化に関心が高まっている」(ホワイトハースト氏)。

製品別のユーザー数の年平均伸び率

 新製品として、米国時間10月30日にLinuxディストリビューションの新版「Red Hat Enterprise Linux 7.6」の提供を開始した。デプロイメントやリモート管理を自動化するAnsibleモジュールをまとめた「Red Hat Enterprise Linux System Roles」をサポートしたほか、RHELに含まれる軽量コンテナツールキットを拡張。コンテナツールキットは、Open Container Initiative(OCI)フォーマットに準拠するBuildah、Skopeo、CRI-O、および今回新たに追加されたPodmanで構成される。Podmanの導入により、ユーザーはデーモンを介在させる必要なしに使い慣れたコマンドインタフェースからコンテナやPodを実行できるようになる。

 また、米国時間10月23日に、NVIDIAのGPU搭載ディープラーニング用スパコン「NVIDIA DGX-1」上で動作するシステSとしてRHELが認定された。RHELが認定システムとなったことで、Red Hat OpenShiftを含むRed Hat製品をNVIDIA-DGX-1にデプロイし、2社で共同サポートすることが可能になった。

IBMマネーでKubernetesの課題解決にもっと投資できる

 以下は、IBMによる買収に関するホワイトハースト氏の主な質疑応答の内容。

  • Red Hatの今があるのは、IBMが初期のLinuxに10億ドルを投資したからだ。IBMはオープンソースへの大きな貢献者であり、Red Hatを買収したのが投資会社などではなくIBMでよかったと思っている(なぜIBMだったのかという質問に対して)。
  • この先、多くの企業のアプリケーションがクラウドへ行く。その中で、Red Hatのオープンハイブリッドクラウドを広めるためには、どのくらい多くのユーザーにデフォルトのアーキテクチャとして選ばれるかが重要になる。Red Hatの営業リソースは1000人ほどで影響できる範囲は限られるが、IBMは何万人規模の営業リソースを持っている。IBMと統合することで、Red Hatが今やっていることを拡大できる(業績好調なのになぜ買収に合意したのかとの質問に対して)。
  • オープンハイブリッドクラウドを実現するために、我々はもっとKubernetesに投資をしたかった。Kubernetesの、ネットワーク、セキュリティ、アプリケーションのパフォーマンスにはまだ課題があり、この課題を解決していきたかった。信頼性、拡張性、安定性の向上にも投資をしたかった。IBMに買収されることで、そのようなオープンソースプロジェクトに投資できる資金を得た。我々はリーダーとしてオープンソースを守る。
  • 今後、IBMはRed Hatの製品を販売することになるが、逆はない(Red HatがIBMの製品を売ることはない)。IBMは、Red HatがIBMのソフトウェア、ハードウェアを売ることに興味がないのを知っている。オープンハイブリッドクラウドで重要なのは、IBMのアプリケーションがハードウェアの種類、AWS、Alibaba Cloud、Azureなどクラウドの種類によらずどのプラットフォームでも動くことであり、そのためにRed Hatは独立した組織として、中立であり続ける。

国内でもクラウドパートナー各社との協業が加速

レッドハット 望月弘一 代表取締役社長

 Red Hatのいう「オープンハイブリッドクラウド」とは、Linuxと、Linux上で稼働するOpenStackやKubernetesなどのオープンソースを使って、物理サーバー、仮想サーバー、プライベートクラウド、パブリッククラウドのどのプラットフォームでもアプリケーションが一貫して動くアーキテクチャのこと。ハードウェアベンダーやパブリッククラウドベンダーとのパートナーシップを前提とした構想であり、Red HatはIBM傘下になったのちも、これまでのパートナーシップを強化していくとしている。

 国内でも、「クラウドパートナー(日本法人)各社との協業は順調に進んでいる」とレッドハット 望月弘一 代表取締役社長。また、国内企業がRed HatのOpenStackを基盤にOpenShiftのコンテナアプリケーション稼働環境を構築する事例が増えているという。富士通は、2019年3月にOpenShift on OpenStackの環境をマネージドでサービス提供することも発表している。

国内でもクラウドパートナーとの協業が進んでいる

■関連サイト

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    ITトピック

    情シス人材不足でも「採用予定なし」中小企業の意見/“従業員発のSNS炎上”6割の企業が懸念/「SNS疲れ」利用を減らす効果的方法、ほか

  2. 2位

    ビジネス・開発

    「Gemini Enterprise」に大規模導入の波 ― SOMPO・NTTデータ・Skyが描く“エージェント企業”への進化

  3. 3位

    sponsored

    キャッシュレス決済の利用シーンを広げる 三井住友カードの「stera terminal light」とソフトバンクのIoT回線

  4. 4位

    sponsored

    60年の時を超え「COBOL」がGitHub Copilotでよみがえる 勘定系アプリの“超難関”モダナイに7社が挑戦

  5. 5位

    sponsored

    “120TB消失危機”を救ったBox。ゼネラルが挑むグローバルデータ統合の舞台裏

  6. 6位

    データセンター

    「関東・関西に次ぐDC集積地」目指す 北海道・石狩でデータセンター連合 さくら、NTT東らが参画

  7. 7位

    TECH

    パンや酒、チョコづくりにも関わる微生物「酵母」の進化を追求

  8. 8位

    YouTube

    ぶっちゃけ、あのSaaSってどう!? 情シスがガチ格付け! 本当に使えるツールを決める最強SaaSティア決定戦!!

  9. 9位

    デジタル

    異常検知からロボット走行、車両制御まで —— 現場を遠隔化・自動化するSORACOM活用のIoTソリューション

  10. 10位

    TECH

    プロアクティブDNSでDNSをセキュリティ基盤へ 福岡大学でも「運用課題なし」の実績

集計期間:
2026年07月29日~2026年08月04日
  • 角川アスキー総合研究所