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最新グローバル調査「世界のAI導入状況」で明らかになった課題を解消する

IBM、AI本格活用を「データファブリック」「信頼性」「自動化」の3つで支援

2022年07月14日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは2022年7月12日、世界の企業におけるAI活用レポート「世界のAI導入状況 2022年(IBM Global AI Adoption Index 2022 日本語版)」を発表するとともに、企業におけるAIの本格活用に向けて「データファブリック」「信頼できるAI」「AIを活用した自動化」の3点から支援する取り組みを開始した。

 日本IBM 執行役員 テクノロジー事業本部データ・AI・オートメーション事業部長の塩塚英己氏は、「日本の企業は、AIの本格活用が一気に進むのか、検証段階を脱せずに足踏みをしてしまうのかの岐路にあるといえる。こうした状況の変化を捉えて、日本IBMではAIの本格活用を支援するテクノロジーの提供に注力していく」と説明した。

AIの本格活用に向けた3つの課題とIBMのアプローチ

日本IBM 執行役員 テクノロジー事業本部 データ・AI・オートメーション事業部長の塩塚英己氏

データファブリック実現に必要な「4つの技術要素」

 「データファブリック」「信頼できるAI」「AIを活用した自動化」の3点は、同社が実施した世界のAI導入状況調査のなかで浮き彫りとなった課題でもある。今年で3回目となる同調査は、2022年3月30日~4月12日までの期間、世界各国の企業経営者など7502人を対象に実施された。同レポートによると、AIを業務に利用しているとした回答企業の割合は35%に達し、前年調査から13ポイントも増加している。

 1つめのポイントである「データファブリック」は、すでに61%の回答企業が「利用している」または「検討している」と答えている。塩塚氏は、データファブリックを実現するために重要な技術要素として「マルチクラウドデータ統合」「ガバナンスとプライバシー」「カスタマー360」「MLOpsとモデルの信頼性」の4つを挙げる。

 IBMでは、データファブリックを「あらゆるデータを価値に変えるデータ管理のアーキテクチャー」、そして「データウェアハウスやデータレイクといったこれまでのデータ活用の考え方をさらに発展させた包括的なデータ活用アプローチ」と定義する。さまざまな環境に分散したデータを物理的、仮想的に統合し、データ保護やデータ品質といったガバナンスを利かせたうえで、ビジネスに適したデータを提供するという。

 「(データファブリックで重要な)4つの技術要素は相互に関連し、いずれも不可欠な要素。必要なところから選択的に取り組むこともできる。IBMでは段階的に取り組み範囲を広げ、全社的なAI活用の推進と、それを通じたビジネス成果の実現につなげる」

データファブリック実現のために取り組むべき4つの技術要素

 ひろぎんホールディングス(広島県)では、データ利活用の高度化に取り組む際に、内製化によるAI分析モデルの業務応用に本格着手した。当初はスタンドアロン環境でAIモデルの構築を進めたが、「IBM Cloud Pak for Data as a Service」を採用。MLOpsから開始し、マルチクラウドデータ統合、ガハナンスとプライバシーの領域へと段階的に拡大し、データファブリックの実現を目指しているという。

 なおIBMは2022年7月6日に、データオブザーバビリティのソフトウェアベンダーであるDataband.aiを買収したことを発表している。塩塚氏は「これにより、信頼できるデータの領域を強化し、データファブリックソリューションの拡充を図り、AIOps領域での事業拡大にもつなげることができる」と語る。

データ、モデル、プロセスのすべてで「信頼できるAI」目指す

 2つめの「信頼できるAI」については、AI倫理やAIの信頼性についての意識が高まるなかで「今後、重要なテーマになる」と指摘したうえで、実現のためには「データ、モデル、プロセスの3つの信頼が重要である」と述べた。今回の調査においても、「AIがどのように決定に到達したかを説明できることが重要」だとする回答は約8割に達しているう。

 「IBMではAIの倫理に早期から着目し、さまざまな手を打ってきた。原則やガイドラインの発表を通じてAI倫理に対する立場を明確にしてきたほか、顧客におけるAI倫理の実践も製品やサービスを通じて支援してきた。AIモデルの制度だけでなく、倫理面も考慮したうえで、ビジネスにおける最適な判断を支援できるかが重要だ」

 塩塚氏は、データファブリックでデータの品質やセキュリティを担保する「データに対する信頼」に加えて、モデルの公平性や説明性、包括性も含む多角的な「モデルに対する信頼」、AIライフサイクル全体の一貫性と効率性、透明性に基づく「プロセスに対する信頼」も重要だと語る。

 IBMが提供する「Watson Studio」「Watson Machine Leaning」「Watson OpenScale」が、それぞれAIモデルの開発、実行、運用におけるAIの信頼を担うことになるほか、AIモデルの運用を再実行可能なプロセスとして再定義する「Watson Studio Pipeline」、AIライフサイクルを通じて生じる情報の収集とトラッキングを行う「AI Factsheets」、AIモデルの運用の統制とリスク管理を行う「IBM OpenPages」といったツール群を活用することで、上述したモデルとプロセスの信頼性を実現できるという。

 日本IBMではNTTデータとAIの公平性についての共同研究を実施しており、公平性の監視およびバイアス緩和について、OpenScaleを用いた実現方法について検証。公平性モニター機能を用いた公正性スコア評価、不利なバイアスの検知と、バイアス緩和の検証を進め、今後、実際のプロジェクト現場で活用できるように具体化を進めていくという。

「モデルに対する信頼」「プロセスに対する信頼」を実現するIBMのツール群

「ビジネスの自動化」と「ITの自動化」の両面で推進

 3つめの「AIを活用した自動化」では、AI活用のユースケースとして自動化領域が急拡大していることを指摘する。今回の調査でも「AIを活用したITプロセスの自動化(AIOps)を実施している」企業は33%に達した。

 塩塚氏は、IBMでは「ビジネスの自動化」と「ITの自動化」の両方を進めることを重要視しており、自然言語処理や機械学習、アプリケーションとデータの接続などに注力していると語る。「ビジネスとITの両面に自動化を組み込むことで、生産性向上や意思決定の迅速化を実現できる」。

「ビジネスの自動化」と「ITの自動化」

 IBMでは高度に自動化されたプロセスを「インテリジェントワークフロー」と呼び、業務プロセスにおいては「IBM Cloud Pak for Business Automation」によって、ハイパーオートメーションに必要な7つの技術(プロセスマイニング、モデリング、RPA、ワークフロー、ルールエンジン、OCR、コンテンツ管理、ビジネスダッシュボード)を、複数業務や複数の組織に渡って適用することができることを示した。

 森トラストでは、業務プロセスの改革と自動化を推進。不動産関連の事務処理業務のプロセス改革にIBMの自動化ソリューションを採用。IBM Blueworks LiveとIBM Business Automation Workflowを活用することで、業務プロセスの可視化、デジタル化、自動化により業務の効率化を実現したという。

 またITの自動化では、AIOpsにより、複雑なITシステムを自動的に見える化する「可観測性」、データを継続的に分析し、リソースやパフォーマンスを「最適化」とするとともに、蓄積したデータを多角的にリアルタイム分析することで障害への事前対応を行う「予見的対応」が必要であるとした。

 「IBMはここ数年に渡り、AIOpsの領域において技術を製品に組み込むことと、積極的な買収を進めてきた。それにより、可観測性、最適化、予見的対応をカバーできるAIOpsソリューション群を提供できるようになった」

 GMOあおぞら銀行では、ITシステム管理をAIで効率化する取り組みを開始。「IBM Instana」の導入により、アプリケーションの可観測性を高め、運用の効率化を実現したという。この結果、運用工数の大幅削減と、AIによる自動分析機能による意思決定の精度と速度の向上につながっている。

 AIをはじめとするテクノロジー活用について、塩塚氏は「日本IBMではパートナーとの『共創アプローチ』を推進している」と述べた。共創環境としては5つの共創センターを活用するほか、30以上のデモシナリオによる「IBMテクノロジーショーケース」活用による共創体験、また共創の専任部隊であるクライアントエンジニアリングおよびカスタマーサクセスを100人以上増員した共創体制があるという。

 「共創環境、共創体験、共創体制の観点から、顧客とともに共創活動を加速していく。また、共創活動を推進するには、日本IBMだけでは顧客の期待に応えられない。日本IBMは、適材適所でパートナーとの協業を拡大しており、テクノロジー製品領域でも国内外の大手SIerとのエコシステムを強化している。AIの本格活用を推進するテクノロジー製品を強化する上で、多くのパートナーのサービスを活用し、提供価値を高める」

IBMではAIを含むテクノロジー活用推進において「共創パートナーシップ」を実践、強化している

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