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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第559回

Comet Lake-SとCoffee Lakeは同一のダイ インテル CPUロードマップ

2020年04月20日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Coffee LakeとComet Lakeは同一のダイ
ただし10コアは例外

 8コアComet Lakeのダイ写真と、2018年の発表時に公開された8コアCoffee Lakeのダイ写真を並べてみたのが下の画像だ。

8コアComet Lake(下)と8コアCoffee Lake(上)のダイ写真。Coffee Lakeの方も1600ピクセルにリサイズして(オリジナルは1935ピクセル)、さらに180度回転させている

 Coffee Lakeの方はM3かM4あたり、Comet Lakeの方はM1かM2あたりと思われるので、パッと見比較が難しく、これで同一かどうかを判断するのは無理ではあるが、基本的に大きなブロックの変化は見当たらない。

 あったとしても、小さなブロックの修正程度というところだろう。このように、基本的にはCoffee LakeとComet Lakeは同一のダイと思われる。

 唯一の例外が、Comet Lakeで投入される10コアのダイである。これはこれまでにない製品なので、当然新規のダイとなるだろう。では、これがどんな構造になるかを8コアのダイ写真をベースに作ってみたのが下の画像だ。上が手を加えていない8コア、下が10コアのものとなる。

単に2コア分追加しただけの10コアComet Lake。これは筆者が作ったもので、インテル公式のものではないので、ご注意いただきたい

 連載537回でも少し触れたが、既存の8コアCoffee Lake(つまり上側)のダイサイズが176mm2とされており、ここから推定すると10コアComet Lakeのダイサイズは202mm2ほどに肥大することになる。それもあってGPUを省くのではないかと筆者は推定した。

 上の画像の青枠がGPUを省いた場合のダイレイアウトで、これならダイサイズは152mm2ほどに収まる計算になるからだ。

 しかし、インテルはこうした方策を取らず、引き続きGPU付きで10コアComet Lakeを製造する方向の模様だ。ただ、やはりGPU無しのFモデルもComet Lake世代で引き続き提供されることになるようだ。

 余談になるが、8コアのComet Lakeが、この10コアのComet Lakeから2コア無効化した形で提供されるのか、それともComet Lake-Hと同じく8コアComet Lake専用のダイになるのかは現状不明である。

 モバイル向けのComet Lake-Hが8コアの形ですでに出荷されている以上、おそらく8コアのComet Lakeのダイと10コアのComet Lakeのダイの両方が製造されていると考えている。ただそうなると当然10コアのComet Lakeのダイはそもそもウェハーから取れる量がさらに少ない。過去の数字で言うとウェハー一枚あたりから取れるダイの数は以下の通り。

ウェハーから取れるダイの量
プロセッサー 個数
Kaby Lake(4コア) 509個
Coffee Lake(6コア) 411個
Coffee Lake(8コア) 344個

 ここから類推すると10コアのComet Lakeは300個を切ると予想される。いまだに14nmをメインとして使い続けざるを得ないインテルとしては、さすがにこれは厳しいだろう。それもあってか、10コアのComet Lakeの流通量は8コア以下に比べると絞られるという話が出ている。

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