Coffee LakeとComet Lakeは同一のダイ
ただし10コアは例外
8コアComet Lakeのダイ写真と、2018年の発表時に公開された8コアCoffee Lakeのダイ写真を並べてみたのが下の画像だ。

8コアComet Lake(下)と8コアCoffee Lake(上)のダイ写真。Coffee Lakeの方も1600ピクセルにリサイズして(オリジナルは1935ピクセル)、さらに180度回転させている
Coffee Lakeの方はM3かM4あたり、Comet Lakeの方はM1かM2あたりと思われるので、パッと見比較が難しく、これで同一かどうかを判断するのは無理ではあるが、基本的に大きなブロックの変化は見当たらない。
あったとしても、小さなブロックの修正程度というところだろう。このように、基本的にはCoffee LakeとComet Lakeは同一のダイと思われる。
唯一の例外が、Comet Lakeで投入される10コアのダイである。これはこれまでにない製品なので、当然新規のダイとなるだろう。では、これがどんな構造になるかを8コアのダイ写真をベースに作ってみたのが下の画像だ。上が手を加えていない8コア、下が10コアのものとなる。
連載537回でも少し触れたが、既存の8コアCoffee Lake(つまり上側)のダイサイズが176mm2とされており、ここから推定すると10コアComet Lakeのダイサイズは202mm2ほどに肥大することになる。それもあってGPUを省くのではないかと筆者は推定した。
上の画像の青枠がGPUを省いた場合のダイレイアウトで、これならダイサイズは152mm2ほどに収まる計算になるからだ。
しかし、インテルはこうした方策を取らず、引き続きGPU付きで10コアComet Lakeを製造する方向の模様だ。ただ、やはりGPU無しのFモデルもComet Lake世代で引き続き提供されることになるようだ。
余談になるが、8コアのComet Lakeが、この10コアのComet Lakeから2コア無効化した形で提供されるのか、それともComet Lake-Hと同じく8コアComet Lake専用のダイになるのかは現状不明である。
モバイル向けのComet Lake-Hが8コアの形ですでに出荷されている以上、おそらく8コアのComet Lakeのダイと10コアのComet Lakeのダイの両方が製造されていると考えている。ただそうなると当然10コアのComet Lakeのダイはそもそもウェハーから取れる量がさらに少ない。過去の数字で言うとウェハー一枚あたりから取れるダイの数は以下の通り。
ウェハーから取れるダイの量 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
プロセッサー | 個数 | |||||
Kaby Lake(4コア) | 509個 | |||||
Coffee Lake(6コア) | 411個 | |||||
Coffee Lake(8コア) | 344個 |
ここから類推すると10コアのComet Lakeは300個を切ると予想される。いまだに14nmをメインとして使い続けざるを得ないインテルとしては、さすがにこれは厳しいだろう。それもあってか、10コアのComet Lakeの流通量は8コア以下に比べると絞られるという話が出ている。

この連載の記事
-
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ