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Splunkがデータ活用の成熟度調査、日本は「データイノベーター0%」で7カ国中最下位

データ活用で高いビジネス成果を獲得する“データイノベーター”は11%

2020年03月23日 07時00分更新

文● 五味明子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Splunk日本法人は2020年3月17日、米Splunkと調査会社のESG(Enterprise Strategy Group)が先進7カ国の企業を対象に実施した共同調査「What Is Your Data Really Worth?(データの真の価値とは)」の結果を発表した。企業においてデータがもたらす経済的な影響と価値を数値化することで、「データ利用」と「ビジネスの成功」との相関関係を明らかにすることを目的としている。

 本調査結果について説明を行ったSplunk日本法人 代表/エリアバイスプレジデントの福島徹氏は、「Splunkでは企業に使われないまま眠っている“ダークデータ”の活用をサポートしてきたが、今回の調査ではダークデータを積極的に活用している企業、いわゆる“データイノベーター”ほどビジネスで大きな成果を獲得できていることがわかった。だが残念なことに、データイノベーターの中に日本企業の名前はゼロだった」と語り、データ活用の成熟度がビジネスの成功を左右する事実と、日本企業のデータ活用における遅れを指摘している。

調査結果より。データ活用の成熟度が高い「データイノベーター」企業は、高い収益など大きなビジネスメリットを得ていることがわかった

Splunk日本法人 代表/エリアバイスプレジデントの福島徹氏(写真は昨年の「SplunkLive! TOKYO」での登壇風景)

積極的なデータ活用を妨げる『ダークデータ』の問題

 本調査は2019年7月から8月にかけて、オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、日本、英国、米国の7カ国で、企業の経営幹部/IT意思決定者1350人を対象に実施された。対象企業は従業員500人以上の規模で、業種は金融、IT、製造/資源、通信/メディア、ヘルスケア/ライフサイエンス、小売、公共機関、大学/研究期間の8業種。回答した1350人のうち、75%がIT部門、20%が事業部門におけるマネージャ以上の役職者となっている。なお、日本からはおよそ120名が回答に参加している。

調査対象の業種、国、企業規模など

 Splunkがデータ活用に関する調査を行うのは、今回が2回目となる。前回は2018年10月から2019年1月にかけて、ほぼ同じ規模(世界7カ国/約1300名のビジネスリーダー)で調査を実施した。その結果は「80%近い回答者が『データを活用する会社は成功する』という認識だったが、その一方で約60%が『社内のデータの半分がダークデータの状態』と回答した」(福島氏)。つまり、データ活用が成熟すればするほどビジネスに大きな価値がもたらされることは理解しているが、実際にはさまざまな理由により、せっかくの価値あるデータもダークデータのまま、活用されない状態で眠っている状況にあった。

 ではなぜ企業はデータをダークデータのままにしているのか。福島氏は企業のデータ活用を妨げる要因として以下の3点を挙げる。

 1. データ量の驚異的な増大についていけない
 2. データを扱うために必要なスキルが不足している
 3. データを扱う人材が不足している

 この傾向はグローバルも日本も同様で、福島氏は「(調査対象のうち)75%の日本企業が『データ活用は企業の成功に欠かせない』と回答していたが、実際にデータ活用をデプロイメントするスキルがなく、そのギャップの大きさに悩んでいる」と指摘している。

データイノベーターは大きなビジネスメリットを得ている

 前回の調査結果を踏まえ、今回の調査においてSplunkは、企業におけるデータ活用の成熟度を以下の3段階に分類、それぞれのステージにおけるビジネス上のメリットを分析した結果を発表している。

 ・データデリバレーター … データ活用にはまだ慎重な態度だが活用は検討している
 ・データアダプター … データ戦略に重点を置き始め、実際にデータ活用に取り組んでいる
 ・データイノベーター … 先駆的でリアルタイムなデータ活用を行い、収益面とビジネス面で成果を挙げている

Splunkが定義するデータ成熟度における3つのカテゴリ。データイノベーターは全世界でも11%に過ぎず、日本はゼロという結果だった

 なお、調査対象企業を上記の3段階に振り分けるにあたっては、ダークデータの調査と活用に対する関係者の「意欲」、データ調査のために最適化された最新のツールやスキルセットの「普及度」、組織全体でのデータ運用の「有効性」という3つの評価基準を用いている。

 これらの評価基準に則って調査参加企業を分類した結果、データ活用の初期段階にいる「データデリバレーター」は49%、発展途上にあるもののデータ活用に重きを置き始めた「データアダプター」は40%、そしてデータ活用におけるもっとも高い成熟度を達成している「データイノベーター」は11%となった。

 そして、約1割しか存在しないデータイノベーターが、残りの9割(データデリバレーター+データアダプター)に比べて「ビジネスのあらゆる側面で大きなメリットを得ている」ことが、調査結果から明らかになったという。

 福島氏は、本調査から割り出されたデータイノベーターに共通する特性として、

 ・データを重視する文化が社内に根づいている
 ・IT運用、セキュリティ、財務、マーケティングなどあらゆる部門において積極的にデータを活用している
 ・AIを業務に効率よく活用し、スピーディにデータから価値を引き出している

という3つの要素を挙げた。そして、こうした“データネイティブ”な体質を備えたデータイノベーターは、「成果/業績」「収益」「コスト」といった分野で、データデリバレーター/データアダプターに対して大きな差をつけていることが判明したという。その詳細は以下のとおりだ。

・データの有効活用による「成果」
 データイノベーターの5社に1社(19%)が、過去24カ月間に開発した製品やサービスから年間収益の20%以上を得ている。これは、データイノベーターが「イノベーションをビジネスに直結させている」(福島氏)ことを如実に示しており、データデリバレーター/データアダプターにはあまり見られない傾向である(データデリバレーターではわずか2%)。

 また、データイノベーターの顧客維持率(リテンション)に関するデータを見ると、顧客維持率の目標を上回ったと回答したデータイノベーターは60%に上り、この割合はデータデリバレーターの2.1倍に当たる。逆に、顧客維持率の目標を達成できていない企業の割合はデータイノベーターの場合わずか3%、データデリバレーターは13%となっており、データ活用の成熟度が顧客ロイヤルティに大きな影響を及ぼしていることがわかる。

 もう一点、データの有効活用を進めることで生まれる無視できない効果が「自信」である。データイノベーターの条件を満たす50%の企業が「競合他社や同業者よりも的確で迅速な意思決定がほぼ常にできている」と回答しているが、データデリバレーターでは16%にとどまる。つまりデータ活用の成熟度が高いほど、データにもとづく効果的な意思決定を行っているという体感と自信につながっており、さらにその蓄積が、実際にビジネス上の成果となってデータイノベーターへともたらされていく。

・データの有効活用による「収益増加」
 「データを有効活用することで過去12カ月間で収益がどのくらい増加したか」という設問に対し、データイノベーターの回答は平均で5.32%だった。これはデータデリバレーターの2.84%、データアダプターの3.97%と比較して明らかに高い伸び率である。回答企業の収益の中央値を考慮し、想定される平均利益率を適用して金額を割り出すと、データイノベーターは平均で年間1540万ドル(約17億円)も純収益が増加している計算になる。

・データの有効活用による「コスト削減」
 成熟したデータ活用は収益増加だけでなく、コスト削減にも同様の効果をもたらす。Splunkはダークデータの削減をデータの有効活用とほぼ同義としているが、「未活用、ダークデータの削減効果として、過去12カ月間でコストがどのくらい削減されたか」という設問に対し、データイノベーターの平均値は4.85%であり、データデリバレーターの3.03%、データアダプターの3.94%を上回る。金額にして平均約2280万ドル(約25億円)ものコスト削減効果が明らかになっており、前述の純収益増加効果とあわせると、データの有効活用が総合的な収益力強化(年間平均平均3820万ドルの価値)を促進していることは疑いない。

データイノベーターは大きなビジネスメリットを得ていることが明らかになった

 これらの効果を総合すると、データイノベーターは年間総売上高の約12.5%をデータ活用によって獲得していることになる。これを企業規模ごとに金額換算すると、中小企業(従業員500~999人)のデータイノベーターであれば2230万ドル(約24億3000万円)、中堅企業(従業員1000~4999人)のデータイノベーターは4280万ドル(約46億7000万円)、そして大企業(従業員5000人以上)のデータイノベーターは2億770万ドル(約226億円)となる。つまり企業規模が大きくなるほど、それに比例してデータの有効活用によって得られる経済的機会は大きくなることがわかる。

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