Splunkがデータ活用の成熟度調査、日本は「データイノベーター0%」で7カ国中最下位
データ活用で高いビジネス成果を獲得する“データイノベーター”は11%
2020年03月23日 07時00分更新
データイノベーターが「ゼロ」、日本のデータ活用における問題点は
続いて福島氏は、データ活用の成熟度における国別の傾向を説明した。本調査によれば、データイノベーターの条件を満たした企業の割合が世界平均の11%を上回った国は米国とドイツ(いずれも16%)であり、日本に至ってはゼロ(0%)という残念な結果となっている。
日本の調査結果をもう少し掘り下げると、データデリバレーターが74%、データアダプターが26%と、データ活用の初期段階にとどまっている企業の割合が圧倒的に多く、7カ国中で最下位の成熟度となっている。福島氏は「日本企業は決してデータ活用をおろそかにしているわけではない。たとえば経営上のあらゆる意思決定にデータと分析を活用していると回答した企業は33%で、7カ国中トップ」と評したものの、やはり“データイノベーターがゼロ”という衝撃的な事実が示すとおり、他国と比較して足りない部分が目立つ。
「日本のデータ活用における問題点は、テクノロジの導入、スキル開発、組織体制への投資などが他国から遅れているところ。たとえばCDO(最高データ責任者)を置いている企業の割合(世界平均56%、日本38%)や、IT予算の中からデータ分析に割り当てられる比率などは最下位となっている」(福島氏)
また、業界別のデータを見ていくと、データイノベーターの割合が平均値の11%を超えた業界はテクノロジ(21%)と金融(15%)のみだった。逆に、データイノベーターの割合が少ないのは公共機関(3%)と大学/研究機関(1%)で、これらの業界ではデータの必要性は認めるものの、プロアクティブな活用にはなかなかつながっていかないことが大きなハードルとなっている。
データ活用で成功するために企業が取り組むべき「5つのポイント」
「企業のデータ成熟度は企業の収益力に直結している。そして、データ成熟度の高いデータイノベーターは競争優位を勝ち取れる」――これが、今回の調査でSplunkが導き出した結果である。福島氏は説明の最後で、データ活用で成功し、データイノベーターとなるために企業が取り組むべきポイントを5つ紹介している。
1. 成功に向けて投資する … データ分析のためのすぐれたツールを導入する、データ分析スキルをもつ人材を採用する、従業員を教育する、など
2. リーダーシップを確率および支援する … CDOまたはデータ戦略のリーダーを置いて社内イニシアチブを推進し、データ予算を確保して、データを重視する文化を育てていく
3. 分析ツールを「民主化」する … 包括的で正確なデータと適切な分析ツールを用意し、それらを従業員に幅広く提供する
4. あらゆることを自動化する … セキュリティや運用などあらゆる分野で、部分最適化ではなく全体最適化で自動化を進め、人的ミスを減らし、データ活用による価値実現を拡大する
5. 価値と機会を計測する … 計測できないものは管理できない。データ活用の成熟度において自社がどの位置にいるかを正確に把握し、定量化と計測を習慣化して、データジャーニーのゴールに向けて何をすべきかを理解する
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Splunkは活用されないまま社内に眠るデータを“ダークデータ”と呼び、ダークデータの削減こそが、データ活用の成熟に向けて欠かせないプロセスだと位置づけている。
ダークデータを削減するには、ダークデータを価値あるデータに変えるプロセス(データ人材を揃える、ツールを採用するなど)とともに、ダークデータを新たに生み出さない、つまりレガシーシステム、部門間の壁、一貫性のないデータ分類など、ダークデータを生み出す要因を除外していく努力が求められる。そしてこの既存の“ダークデータ製造環境”のリプレースが進まないことが、日本にデータイノベーターがあらわれにくい理由のひとつでもある。
福島氏は、会見の最後に「世界のビジネスの競争で優位に立てるデータイノベーターが日本から1社でも2社でも生まれるよう、Splunkとしてサポートしていきたい」と述べていたが、データ活用に習熟した日本企業が増えていくまでには、まだ超えるべきハードルが数多く残されている。