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転身へのキーワードは“クラウド”と“オブザーバビリティ”、「Splunk .conf20」基調講演レポート

クラウド売上が5割を超えたSplunk CEO、「再構築」の新戦略を語る

2020年11月12日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 Splunkが2020年10月にオンライン開催した年次イベント「Splunk .conf20」は、ログ収集/分析で成長してきた同社がクラウド時代に向けた転身を進めていることを印象付けた。キーワードは「クラウド」そして「オブザーバビリティ(可観測性)」。「2年前のSplunkとは違う」と、同社 CEOのダグ・メリット氏は強調する。

Splunk CEOのダグ・メリット(Doug Merritt)氏

「データをアクションに変える」ことの支援がミッション

 基調講演に登壇したメリット氏はまず、「データの時代」の到来を告げた。新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中で仕事、生活とさまざまな活動がオンラインに移行した。メリット氏は、インターネット利用は70%増、EC利用は76%増、米国労働者に占める在宅勤務の比率は2019年の5%から42%に増加といった数値を示しながら、「インターネットはダウンしなかったし、クラウドも持ちこたえた。これは奇跡だ」と語る。

 そして、その背後にあるのが「データ」だと続ける。「データからは洞察を得ること、ニュアンスを得ること、真実を得ることができる。“データヒーロー”は、データを利用して魔法を起こした」。Splunkの導入顧客としてZoomを紹介し、「ZoomはSplunkを使ってデータをアクションに変え、(利用が爆発的に増加したなかでも)接続性と幸せを安全に届けた」と紹介する。

 データの時代におけるSplunkのミッションは、まさにこのデータをアクションに変えるプロセスにある「障害を取り除くこと」だと、メリット氏は語った。それを実現することで、顧客企業はデータからすぐに成果を得られ、あるいは生産性を改善し、社会全体により健康で豊かな生活をもたらすことができる。

創業17年を迎え「Splunk自身を“破壊”し、再構築していく」

 このミッションを実現するために、Splunk自身も再構築を図っていく。「この基調講演の最大のメッセージは『Splunkは10年前、5年前、2年前ともまったく違う』ということだ」。そう語ったメリット氏は、顧客を成功に導くべく、Splunkとして具体的に次の3点にフォーカスしていくと述べた。

(1)世界最大級のクラウド事業者への転身
(2)世界初の「Data to Everything」プラットフォームの実現
(3)ビジネスの抜本的改革

 まず(1)については、パブリッククラウド上で提供している「Splunk Cloud」の受け入れが順調であることをアピールした。年間経常収益(AAR)は7四半期連続で50%以上の成長を続けており、直近の四半期(会計年2021年第2四半期)は、売上高が20億ドルに近づくレベルに達したと報告する。

 こうした成長により、現在ではクラウドの売上比率がオンプレミスを上回っているという。さまざまな業界がクラウド企業の新規参入でディスラプト(破壊)されていることに触れて、「Splunkのクラウドディスラプターは、われわれ自身だ」と語る。

クラウド事業の成長をアピール。AARは7四半期連続で50%以上の成長を遂げている

 「Data to Everything」を実現する製品戦略の(2)では、オブザーバビリティ、セキュリティ、ITの3分野に注力する。中でも大きなフォーカスはオブザーバビリティだ。.conf会期中いは、2019年に買収したSignalFxを土台とした「Splunk Observability Suite」を発表し、モニタリングのPlumbrとRigorの2社を買収してこれを補完することも発表した。

Splunkの新戦略「Data to Everything」

 「ハイブリッド/マルチクラウドの複雑な環境下で、ユーザーはシステムのモニタリングと管理という課題に直面している。同時に分散型の新たなアーキテクチャへとアプリケーションのモダン化も進んでおり、コンテナ、Kubernetes、マイクロサービス、サーバーレスなどを使って、新しいアプリケーションの展開にかかる時間を短縮している」(メリット氏)

 複雑かつ常に変動を続けるIT環境のリアルタイムなモニタリングと確実な管理――そうしたニーズに応えるのが、アウトプットから内部で起きていることを把握する手法である“オブザーバビリティ”となる。

 具体的には、クラウドインフラモニタリング、アプリケーションパフォーマンスモニタリング、インシデントレスポンス、デジタルエクスペリエンス(デジタル体験)モニタリングと、事前構築したログ調査機能を密に統合したスイートとして提供するという。機械学習技術の適用などの特徴を備えるほか、データ収集においてはCNCF(Cloud Native Computing Foundation)で仕様策定が進む「OpenTelemetry」の策定メンバーとして参加している点もアピールした。

 (3)は、Splunk自身のビジネスを抜本的に見直すというものだ。たとえば今回は、これまでの取り込みデータ量に基づく課金体系がデータ活用の障害になっているという顧客からの意見を受け止め、ワークロードをベースとした課金体系に変更することを発表している。

 また、新たにカスタマーサクセスチームを組成することも発表した。顧客を成功に導くべく、Splunkのツールからベストプラクティスまでの集合知を提供するチームで、リアルタイムの製品ガイダンスとヘルプ「Splunk Lantern」も用意する。

 なお、Splunk Cloudのインフラとして、これまではAmazon Web Services(AWS)を利用してきたが、これに加えてGoogle Cloudとも提携したことを報告している。

 Splunkは創業17年目を迎えた。メリット氏は「今日の課題解決を支援しつつ、将来のツールと技術の構築を進める」と述べ、自らクラウド、コンテナ時代に向けた変革を技術とビジネス面で進めて、市場におけるリードを維持する姿勢を示した。

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