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Cybozu Days 2019にアスキーチームで登壇してきました

記者とライターがkintoneを選ぶ理由を改めて分析してみた

2020年01月06日 09時00分更新

文● 重森大 編集●大谷イビサ

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 デジタルトランスフォーメーション、クラウド化、様々なキーワードが飛び交うIT界隈。様々なテクノロジー、製品がある中からkintoneを選ぶ理由とは一体何なのか。kintoneばかりのWebメディア「kintone三昧」を運営するアスキーの大谷 イビサと柳谷 智宣が記者、ライターの目線でお気楽に、でもマジメに語り合った。

アスキーは実はkintone使いこなし情報の宝庫なんだぜ

 Cybozu Days Tokyo 2019の参加者投票で人気1位を獲得した、「IT記者とライターがkintoneに行き着く理由をちゃんと分析する」のテーマは、「kintoneの期待値コントロール」だった。kintoneは操作自体は本当に簡単で、kintone hiveなどで活用事例を見ると「うちもあんなことやこんなことができるようになるのでは」と高い期待を抱きがちだ。しかしkintoneに限らず、あらゆるツールには使いこなすためのポイントというものがある。数多くの事例を見て、記事にしてきたふたりがフラットな目線で、どういう風に考えてツールを選び、どういう理由でkintoneに行き着くのか、7つのお題に分解して対談形式で紹介したのがこのセッションだ。

 なお、セッション内で大谷が言っていた通り、この対談には裏テーマ、というかちょっとした下心があった。関連する事例記事を紹介し、kintone三昧にもアクセスして欲しい、というもの。そういった大谷の下心に忠実に、本記事でも過去記事へのリンクをどんどん貼りまくっていくので、ぜひこれを機に掘り返し、読み返してほしい。

 さて対談の最初のお題は、kintoneのエコシステムについて。数多くのプラグインや連携サービスなど、kintoneを取り巻くエコシステムは広く深い。そのエコシステムには、他のクラウドにない特徴があると大谷は説明した。

「クラウドでよくあるのは、最初は機能が少なくて、それを補うために連携機能やサービスが生まれてエコシステムが形成されるというパターン。でも本家が進化して高機能、多機能になっていくと、周辺サービスで実現していた機能も本家で実現できるようになってしまうことが多いんです。それに対してkintoneは標準機能はシンプルに使いやすくと割り切っていて、多機能化、複雑化しない方向で成長しています。そうすると、エコシステムの方も成長していくんです」(大谷)

 これには筆者も大賛同。サイボウズはkintoneという製品とともに、その周囲のエコシステムの成長を大切にしているように思える。その結果、kintoneのエコシステムを担うパートナーが成長するだけではなく、パートナー同士が結びついてより有機的に、包括的にkintoneを支える環境ができあがっている。ただし、逆に言えばkintoneを深く使いこなそうとすればするほど、プラグインや連携サービスを活用する必要が出てくるということでもある。

kintoneの成長はエコシステムを担うパートナー企業の成長とセットになっている

「kintoneは1アカウント当たり1500円と安価です。そのため導入の際に稟議を通しやすいという利点があります。ただし注意しなければならないのは、プラグインや連携サービスなど新たな予算を次々追加で申請すると逆に反感を買う恐れがあるという点です。最初から使い方をよく考え、必要なプラグインなどもコストに含めたうえで、導入提案することをお勧めします」(柳谷)

 安いですよと言われて導入しても、次から次に追加の申請が来れば、きちんと成果が出たとしても経営者からの評価は低くなる恐れがある。エコシステムが充実しているからこそ、気をつけたいポイントだ。価格、期待値のコントロールが必要で、それに関しては京都リハビリテーション病院や星野リゾートでの導入記事が参考になる。

 なお、このお題についての大谷からの〆の言葉は次の通りだ。

アスキーの大谷 イビサは「標kin族を卒業しよう」と提案

「kintoneの標準機能だけではなくエコシステムを活用できるようになって、標kin族を卒業しよう! すみません、今回はこれくらいしかネタはありません」(大谷)

 オーディエンスの熱気にあふれていたはずの会場が少し寒くなったのは、筆者の気のせいだろうか。

kintoneへの移行時の課題、使い始めてからの保守は目的を明確にして対応すべし

 続くお題は、保守。kintoneのようにユーザー自身がアプリを作れるプラットフォームを導入すると、現場がアプリを作れるようになって仕事が捗る反面、アプリの保守という新しい仕事が増えてしまう。このお題に対する大谷、柳谷両名の意見はとても簡潔だった。

「開発パートナーがたくさんいるので、パートナーの力を借りるべきです。現場の人がアプリのメンテナンスで疲弊したり、担当者が異動してアプリの仕様がわからなくなったりしたら、kintoneの魅力が活かせません」(柳谷)

数多くのクラウドサービスを使いこなすライターの柳谷 智宣

 大谷も同意見で、「作らない価値を追求するくらいがいい」と述べた。自分で簡単にアプリを作れるからついつい手を動かしたくなってしまうが、本来業務で成果を上げるためにはどうすべきかを念頭において保守していかなければならない。現場での開発事例記事が、参考になるだろう。

 3つ目のお題は、kintoneの競合について。脱Excelの文脈で語られることが多いが、実はそればかりではない。

「そもそも本当にExcelがダメなのかということも考えないといけません。単なるリストなら、Excelで十分ですし。履歴など蓄積されたレコードを使うときにkintoneの価値が発揮されます。データ活用という点で、Accessからの移行も散見されます。Accessでは同時に多拠点からアクセスできないので。かといってSalesforceとも用途が違う。それで行き着いたのがkintoneという事例もありましたね」(柳谷)

「単純なクラウド化ではなく、クラウド移行+αを考えたいですね。紆余曲折を経てkintoneに辿り着いた元気でんきさんの事例が、ここでは参考になると思います」(大谷)

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