SREチーム同士が交流する新しいパートナーシップの価値
レッドハット、OpenShiftのマネージドサービスを支援するパートナープログラム発表
2019年12月12日 16時45分更新
2019年12月12日、レッドハットはエンタープライズ向けのKubernetesプラットフォームである「Red Hat OpenShift Container Platform」の新しいパートナープログラム「Red Hat OpenShift Managed Practice Program」を発表した。発表会にはパートナーとなった8社のほか、同日に「Azure Red Hat OpenShift」の一般提供を発表した日本マイクロソフトも参加し、OpenShiftの推進に向けた意気込みを披露した。
レッドハットとパートナーのSREチームが直接つながる
発表会に登壇したレッドハット 常務執行役員 パートナー・アライアンス営業統括本部長 金古毅氏は、まず同社が推進するオープンハイブリッドクラウド戦略について説明した。オープン・ハイブリッドクラウド戦略では、物理と仮想、プライベートとパブリックのクラウドの垣根をなくす「ハイブリッドクラウド基盤での一貫性の追求」、変化の速いビジネスに追従できる「クラウドネイティブアプリケーション開発でのスピードへの貢献」、オートメーションと管理を実現する「自動化2.0の促進」という3つがポイントとなる。2020年度はこの戦略を実践に移すフェーズとなっており、開発基盤として重要となるのが「Red Hat OpenShift Container Platform」になる。
コンテナ市場はグローバル・国内ともに成長を続けており、OpenShiftも高いシェアを誇っている。しかし、これまでのサービスをコンテナ化するにあたってエンタープライズグレードの可用性や信頼性が担保できるのかという品質・安定性への懸念のほか、とかく俗人化しがちなコンテナの人材/スキルへの懸念があるという。これに対してパートナーがマネージドサービスを拡充することで、ユーザー企業は人材リソースをよりコアビジネスに集中させることができる。
今回発表されたRed Hat OpenShift Managed Practice Programは、OpenShiftのフルマネージドサービスである「Red Hat OpenShift Dedicated」を支えるレッドハットのSRE(Site Reliability Engineering)チームが、パートナーを直接支援するプログラムになる。これにより、品質・安定性や人材・スキルに向けた懸念を解消するためのパートナーのマネージドサービス化を推進するという。「レッドハットとパートナーのSREチームが直接つながるのが大きな価値」と金古氏は語る。
プログラムには国内8社が参加 ハイブリッドクラウドを推進
レッドハットが提供するRed Hat OpenShift Dedicatedでは、OpenShiftのシステム運用にともなう作業の多くを開発によって効率化・自動化してきたエンジニアがSREチームとして保守・運用を担当してきた。開発者と運用者のマインドセットを持つこうしたSREチームが、Red Hat OpenShift Managed Practice Programで技術的なワークショップを半年に1度の頻度で実施し、アーキテクチャや運用プロセス、技術TIPSなどを提供する。また、情報シェアやディスカッション、スペシャリストによる勉強会を行なうほか、Webサイトや小冊子、ハンズオントレーニングなどのマーケティング施策もあわせて展開されるという。
今回、Red Hat OpenShift Managed Practice Programプログラムに参加したパートナーは、伊藤忠テクノソリューションズ、NTTコムウェア、NTTデータ、NEC、日本IBM、野村総合研究所、日立製作所、富士通の8社になる。金古氏は、「レッドハットが今まで培ってきたグローバルの標準SREノウハウと、日本のお客様を熟知したパートナーの経験をあわせ、コンテナ管理を効率化し、お客様のハイブリッドクラウド戦略を推進。DXを支援していきたい」と抱負を語る。
レッドハット代表取締役社長の望月弘一氏は、「現在はオープンハイブリッドクラウド戦略でIT業界を変えていくという戦略を進めている。この中核をなすOpenShiftも成長を遂げており、パートナーとのエコシステムを拡大することでなにより重要」とアピールする。今後はISV向け、インテグレーター向けのパートナープログラムを投入し、エコシステムをますます強化していくという。
Azure Red Hat OpenShiftも国内での一般提供が開始
パートナーが列席した発表会には、日本マイクロソフト パートナー事業本部 パートナー技術統括本部 業務執行役員 佐藤久氏が登壇し、同日発表された「Azure Red Hat OpenShift」の国内での一般提供についてコメントした。
「パブリッククラウド初のマネージドOpenShift」を謳うAzure Red Hat OpenShiftではマスターやインフラ、アプリケーションノードまで備えたOpenShiftクラスターを提供するほか、他のAzureサービスと同じく、セキュリティやコンプライアンスの要件を満たす。「マイクロソフトとレッドハットが共同開発・共同サポートするという点がメリット」(佐藤氏)とのことで、両者の知見を統合した点が大きな売りになる。
最大の特徴はパブリッククラウドであるAzureとオンプレミスとの間で、シームレスにアプリケーションを動かせる柔軟性だ。佐藤氏は「オンプレミスとクラウドをコンシステンシー(一貫性)を持って提供できるのが大きな特徴」とアピールした。