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レッドハット日本法人が新年度戦略発表、「国内でのコンテナ導入企業を倍増させる」目標掲げる

「企業のコンテナニーズは1年前と様変わり」レッドハット望月社長

2020年07月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 レッドハット日本法人は2020年6月23日、新年度(2020年3月~12月期)の国内事業戦略説明会を開催した。同社社長の望月弘一氏は、顧客企業におけるハイブリッド/マルチクラウド採用が進むなかで、これまでレッドハットが実現してきた「オープンハイブリッドクラウド」の必然性が増しており、特にコンテナテクノロジーへの注目が強まっていると説明。「国内コンテナ導入企業を倍増させる」ことを目標に、コンテナプラットフォーム製品「Red Hat OpenShift」を主軸とした事業展開を加速させる今年度の取り組みを説明した。

オープンハイブリッドクラウド戦略。昨年度は「実践」がキーワードだったが、今年はさらに「融合」へと歩を進めることを説明した

レッドハット 代表取締役社長の望月弘一氏

OpenShiftの導入社数は日本国内でも高い伸びを示し「3ケタ」に

 レッドハットでは、2003年以降「毎四半期2ケタ成長」を維持継続してきた。前四半期(2020年1~3月期)の決算(グローバル全体)も非常に堅調であり、売上高はで24%(対前年同期比、以下同様)の増加を記録している。

 「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」を中心とするインフラ分野も再び2ケタ成長と堅調だったが、OpenShiftや「Red Hat Ansible Automation Platform」などを擁するアプリケーション開発/先進テクノロジーが40%以上の伸びを示したという。また「IBM Cloud Platform」「IBM Cloud Paks」といった、OpenShiftベースで構築されたIBMとの共同コンテナソリューションも好調であり、グローバルでは2200社以上で採用されているという。日本単独での業績は公開していないが、「日本もグローバルとほぼ同等で、堅調な推移を示している」と望月氏は説明する。

 昨年度、戦略段階から「実践」段階への動きを促すと述べていたのがオープンハイブリッドクラウドだ。具体的には「ハイブリッドクラウド基盤」「クラウドネイティブアプリケーション開発」「オートメーションと管理」という3分野の製品と、「DevOps人材育成」支援の取り組みで構成される。

レッドハットの「オープンハイブリッドクラウド戦略」を構成する3つの柱+1

 まずハイブリッドクラウド基盤においては、パブリック/プライベートクラウドをまたぐ「一貫性」を実現する共通基盤としてOpenShiftを展開してきた。国内の導入企業数は対前年比3倍超の伸びを見せ「(導入社数が)3ケタに入った」と望月氏は語る。さらに導入/利用形態に対する多様な企業ニーズに応えるため、昨年12月には「Red Hat OpenShift Managed Practice Program(OMPP)」を発表し、複数の国内SIerがそれぞれの強みを生かしたOpenShiftのマネージドサービスを展開している。

 2つめのクラウドネイティブアプリ開発では、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を成功に導く鍵となる「デリバリのスピード化」を支援している。ここについては昨年、レッドハットの提供するミドルウェアとOpenShiftの組み合わせで導入し、DevOpsを展開する顧客が「かなり増えた」という。加えて、コンテナベースでのメインフレームのモダナイズ、「Red Hat Fuse」によるデータ統合ハブの実現などの国内事例も出てきたと報告した。

 オートメーションと管理については、Ansibleなどを軸に、部分最適の自動化/管理から全体最適のそれへの進化という“自動化2.0”ビジョンを掲げている。昨年度には1万ノード超という大規模な自動化事例が生まれたほか、ISVパートナーのソフトウェアとAnsibleを組み合わせた共同ソリューションの展開もスタートした。

 もうひとつが、企業文化の変革も含めたDevOps人材育成を図る取り組みだ。2018年4月に国内提供を開始した参加型ワークショップ「Red Hat Open Innovation Labs」については「利用社数がどんどん増えて」(望月氏)おり、さらに昨年11月には野村総合研究所(NRI)とDX人材育成の取り組みを、日立システムズとはコンテナ技術者育成の取り組みを、それぞれ発表している。

顧客企業におけるコンテナ技術への注目が急速に高まる

 新年度の事業方針および戦略について、望月氏は包括的なテーマとして「オープンハイブリッドクラウドでお客様DXの成功に貢献する」という言葉を掲げた。「オープンソースウェイで日本のビジネスを元気にする」という従来からのビジョン、「DXを加速するための革新的パートナーになる」という従来からのミッションに変わりはなく、それらをベースとしてオープンハイブリッドクラウド戦略をさらに進める方針だ。

今年度の包括的なテーマは「オープンハイブリッドクラウドでお客様DXの成功に貢献する」

 望月氏は具体的な施策を説明する前に、同社が国内顧客企業を対象に実施している年次サーベイの結果と、そこから読み取れる企業の意識変化について紹介した。

 まずハイブリッド/マルチクラウドについて、複数のクラウド環境が必要だとする回答社は62%に上った。望月氏は「マルチクラウド時代の本格展開が始まった」とする一方で、「クラウド間の互換性はまだまだ乏しいのが現実」だと指摘する。「このまま進むと、非常に効率が悪いクラウド環境になる、あるいは特定クラウドへのロックインが発生してしまう」(望月氏)。

 もうひとつ、顧客企業において重要なテーマになっているのが「既存IT環境のモダナイズ」だと述べる。これについても74%が既存のIT基盤/アプリケーション/システム連携のモダナイズが必要だと回答している。経産省が提起した“2025年の崖”では技術負債が大きな問題となっているが、レッドハットとしてこの解決を支援していくと望月氏は語る。「モダナイズに向けて、大きく注目されるのがコンテナの技術だ」(望月氏)。

レッドハット顧客企業サーベイより、ハイブリッド/マルチクラウドニーズ、IT基盤/アプリ/システム連携のモダナイズや自動化ニーズ

 コンテナ技術の導入に対する企業意識のサーベイ結果については、「1年前と比べると様変わりした」と望月氏は強調する。「2年後にコンテナを利用しているシステムの割合は」を尋ねる設問において、1年前の調査では75%が「コンテナを使う予定なし」あるいは「10%未満」と回答していたが、今年はその割合が20%に急減している。「50%以上」と回答した企業も28%と4分の1以上に及ぶ。

 さらに、望月氏がもう一点指摘したのが「コンテナの配備先」の変化だ。2019年現在はパブリッククラウドへのコンテナ配備数がプライベートクラウドを上回っているが、2022年には逆転し、プライベートクラウドへの配置比率が上回る予定だという。

 「それだけ、これからミッションクリティカルなアプリケーションのコンテナ化が進むということになる。さらに、今後はコンテナ環境がパブリックとプライベートをまたがることになるため、双方を一元管理することが大きな命題になることも間違いない。ここでもオープンハイブリッドクラウドが必然のものであるとご理解いただけるのではないか」(望月氏)

顧客企業における、2年後にコンテナを利用しているシステムの割合、およびコンテナの配置先(プライベート/パブリッククラウド)の予想

 最後に、顧客サーベイからは企業文化の変革についても変化が見られると指摘した。DevOpsの実践に関して、テクノロジーだけでなく企業文化の変革も伴うDevOpsを実践している企業が55%となった。「レッドハットではこうした企業文化の変革も支援していく。同時に、テクノロジー中心で考えている企業や変革の方法がわからない企業に対しても、DXの成功に向けて企業文化を変革することの大切さを伝えていくミッションがあると考えている」(望月氏)

包括的なOSSソリューション、企業文化の変革までを提供できるのはレッドハットだけと強調

 望月氏は、注力する製品分野や取り組む施策の領域は昨年と変わらないものの、昨年の「戦略から実践へ」に続いて、今年度は「実践から融合へ」の動きになると語る。

 「『ハイブリッドクラウド基盤』『クラウドネイティブ開発』『自動化と管理』の3領域でそれぞれベストな提案ができる体制が整っているが、今年はこの3つをさらに融合させ、3つを合わせた“AND”をとっていく。ここまで幅広いオープンソーステクノロジーを提供し、さらには企業文化の変革まで提案できるのはレッドハットだけであるということを、顧客企業やマーケットに伝えていきたい」(望月氏)

今年度は3つの領域を「融合」させた提案を加速させる

 エッジからコア、プライベートクラウドまでを網羅するハイブリッドクラウド基盤については、「国内でのコンテナ導入企業を倍増させる」と同時に、各企業内でのユーザー数も増加させ、コンテナの本格展開に取り組むとの目標を掲げた。

 製品施策としては特に、OpenShiftを利用するうえでの“選択肢”を広げるサービスとして各種マネージドサービスのさらなる拡充を図ると述べた。現在すでに、顧客企業専有型の「Red Hat OpenShift Dedicated」をはじめ、パブリッククラウドベンダー(AWS、Microsoft、IBM)との提携によるオンデマンドマネージドサービス、さらに前述したOMPPによる国内SIパートナーのOpenShiftマネージドサービスが提供されている。

OpenShiftについて、従来のセルフマネージド型導入(右端)だけでなく、マネージドサービス型での導入をより拡充していく方針

 クラウドネイティブ開発については、ミドルウェアとコンテナ基盤の両方を提供できるレッドハットの強みを生かし、DXの成否を分けるアプリケーションのデリバリスピードをさらに強化していくと述べた。製品としては「Knative」を実装したサーバーレス環境「OpenShift Serverless」、Javaアプリケーションを高速起動可能にする新しいランタイム「Quarkus(クアーカス)」などを紹介し、「マイクロサービスの本格展開につなげたい」と語る。

 また、OpenShiftベースでアプリケーションコンテナや業種別ソリューションを提供するISVパートナーとの協業も拡充していく。望月氏は、昨年から無償配布を開始した再配布可能なコンテナ用のOS(RHEL)イメージ「Red Hat Universal Base Image」が高い評価を受けており、グローバルでISVパートナーの拡大につながっている要因だと説明。今年度は日本のパートナーにもこれを紹介していく方針だと述べた。

グローバルで強化しているパートナー連携を国内でも強化していく

 自動化と管理においては、“自動化2.0”ビジョンのもと全体標準化が図られた自動化環境の事例を増やしていきたいとし、特に1万ノードとった大規模事例を拡大していく方針を示した。製品面では、今年発表した「Red Hat Advanced Cluster Management(ACM) for Kubernetes」により、マルチクラウドをまたぐコンテナクラスタの一元的な構築/管理/運用を支援していく。

 顧客企業の文化変革に向けた取り組みでは、すでにコンサルティングメニューを拡大しており、今年は「コンサルタントの大幅な増員を計画している」と説明する。企業文化の変革だけでなく、DX人材の育成、さらにコンテナや自動化、モダナイズといったテクノロジー導入の支援サービスといったメニューがあるという。加えて、これらをアドホックな取り組みではなく、長期的目標に向けた“ジャーニー”を顧客と共に伴走していくスタンスで取り組みたいと話している。

* * *

 最後に望月氏は「レッドハットならでは」の価値、他のソフトウェアベンダーとの違いについて強調した。レッドハットが掲げる“オープンソースウェイ”と、他社オープンソース活用との違いだ。レッドハットでは1993年からの27年間、オープンソースのソフトウェア(OSS)とコミュニティの中で事業活動を続けてきており、一方でエンタープライズにOSSを展開するうえで必要なサポートについても熟知していると語る。

 「ここに来て(近頃では)各社からもオープンハイブリッドクラウドと同様のコンセプトや戦略、メッセージが出ている。しかし、ここでご理解いただきたいのは“プロプライエタリな会社がOSSを活用する”ことと“真のOSSの会社がOSSを活用する”ことは、根本的に異なるという点だ。これまでも、さまざまな会社がOSSと称してプロモーションしてきたが、そこにおいて自社独自の機能を付け加えるなどし、結局はロックインすることになり、必ずしも成功しているわけではない。レッドハットは真のOSSカンパニーとして、常にコミュニティと歩み、アップストリームファーストで独自機能を付け加えない方針をとっている。ここがユニークな点だ」(望月氏)

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