GRといえばボディー補強とサスペンション
トヨタのGRブランドでの共通部分はボディー補強。マークX GRMNでは車体のねじれなどでサスペンションの動きが阻害されないように、スポット溶接の箇所を増やして車体剛性を格段にアップした専用ボディーとしています。コペンGRスポーツもGRブランドを名乗る以上、ボディー剛性を大幅にアップしています。
ボディーの下にもぐると、その補強の様子がすぐにわかります。フロントの下にはサスペンションの下部周辺からボディー中央のクロスブレースにいたる「くの字」型のフロントブレースが取り付けられています。これによりボディー前部のねじれや歪みを是正します。
そして燃料タンク前をセンターブレースで補強することでボディーの横方向のたわみを是正。標準車のコペンでもボディー中央にあるクロス状のブレース等の剛性パーツでボディー剛性を高めていますが、そこにフロントとセンターの専用ブレースを追加してより一層の強固なボディーを作り上げているのです。
また、センターブレースにスパッツを取り付けることで、フロントバンパー形状による整流効果と相まってダウンフォースを生み出しています。
この補強されたボディーはハンドリングに影響を与えます。ステアリングを切ってもボディーのたわみが少ないので、反応が早いのが特徴的。そしてボディー全体ががっちりしているので、ガチガチに堅いサスペンションで反応を早くする必要がないため、コペンGRスポーツではストロークを生かしたスプリングとショックアブソーバーに設定されており、乗り心地とハンドリングが高次元でバランスしています。
これは軽自動車なのか? と驚く乗り味
今回の試乗拠点であるGR GARAGE東京深川から、コペンGRスポーツのCVTモデルに乗ってを出発し新木場方面へ向かいます。この周辺はオリンピックに向けた工事のためなのか、路面のアスファルトがつぎはぎだらけ。細かな段差が多く必ずしも良好な路面とは言えません。
このような路面では普通の乗用車でもボディーからミシミシと音がしますが、ハードトップを閉じた状態のコペンGRスポーツではそんな音はまったく聞こえません。オーディオのボリュームをゼロにして走ってみても、窓を開けてみてもそんな音は皆無なのです。ここまでで、すでにボディー補強の恩恵を感じてしまいます。
また荒れた路面でも体が揺さぶられるような振動を感じません。これはボディー補強に合わせてチューニングされたサスペンションのおかげと言えるでしょう。街乗りでも解るコペンGRスポーツの素晴らしさと言えます。
新木場の周辺のゲートブリッジが見えるあたりで道が空いて来ます。やっと道路交通法上の制限速度いっぱいまで速度を上げることができますが、路面は相変わらず荒れています。荒れた路面でホイールベースの短い軽自動車、特にフロントの重いFF車の場合はリアが跳ねて乗り心地が悪いと感じます。しかし、コペンGRスポーツは1.5リッタークラスのコンパクトカーよりもリアが跳ねない、というよりもむしろどっしりとした印象を与えます。アクセルを踏み込んだりコーナーを攻め込んだりすれば軽快そのもの。これはまさに専用ブレースがもたらすボディー剛性向上のおかげです。
「よくできたスポーツカーは乗り心地もいい」とはよく言われることですが、まさにコペンGRスポーツは「よくできたスポーツカー」であることは間違いありません。たった1時間の市街地走行で、すでにその一面を見せてくれます。
この連載の記事
-
第432回
自動車
EVなのにドリフト!? 変速ショックもあるヒョンデ「IONIQ 5N」に新 唯も興奮! -
第431回
自動車
エコもなんのその! V8エンジンで525馬力のSUV「ディフェンダー」は趣味車として最高の選択肢 -
第430回
自動車
燃費良し走り良し! スズキ「ソリオ バンデッド」のハイブリッドが売れてる5つの理由 -
第429回
自動車
Honda「オデッセイ」は2列目シートの使い勝手と座り心地が最高すぎた! -
第428回
自動車
砂漠も山道も走れるJeep「WRANGLER SAHARA」は東京砂漠も楽勝だ! -
第427回
自動車
ホイールで走りが変わる!? ホンダ「VEZEL」の専用ホイールを新 唯がテスト! -
第426回
自動車
SUV+BEV=最高! メルセデス・ベンツの電動SUV「EQB」はアイドルも納得の乗り心地 -
第425回
自動車
雪道も砂漠もドンと来い! ポルシェ「911 ダカール」は悪路を得意とするスーパースポーツ -
第424回
自動車
今買うならMAZDA2の前モデルがお買い得な5つの理由 -
第423回
自動車
ホンダの新型アコード試乗! ハイブリッドなのにエンジン車のようなユニークな走り -
第422回
自動車
マツダ「MX-30 Rotary-EV」はロータリーエンジンのみならず! 新 唯がマツダ好き目線でジャッジ! - この連載の一覧へ