重厚感あるステンレス製の筐体がベリリウムの力を引き出す
A8000では、このベリリウム振動板を、テトラチャンバー構造と名付けた形状のステンレス削り出し筐体に収めている。もともとダイナミック型ドライバーは、振動板の前の空間(前室)と後ろの空間(後室)の容積や形状が、音質に大きな影響を与えるが、ベリリウムドライバーの動きは非常に繊細で、その影響はさらに強いという。
テトラチャンバー構造では、その動きを最適化するために筐体を「ドライバー前室」「ドライバー後室(二重構造)」「MMCXコネクター部分」の4つに分割。この形状は、シミュレーションだけでなく、試作と試聴を通じた細かな調整の繰り返しによって決められた。さらにドライバーは前室にダイレクトに取り付け、ステンレス筐体で支えて無駄な振動を抑制する手法を取っている。ここで接着剤を使用すると、ゴムを使っているのと同じ効果が出て、音の収束が悪くなるといったデメリットが生じるため、避けたそうだ。