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ヘッドホンのfinalが音響講座を開講、エージングの効果は本当にある? 数値化できない音の印象をどう伝える? 

2019年06月11日 12時15分更新

文● ASCII

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会場に展示されていた耳の模型

 「周波数特性はフラットなほうがいい」
 「低域を聞こえやすくすると、ボーカルが聞こえにくくなる」
 「聴き比べれば、24bitの音源は16bitの音源より明らかに音がいい」
 「エージングで音が変わる」

 イヤホンやヘッドホンに興味を持っている人なら、こういった言葉を一度は耳にした機会があるだろう。しかし、これはどこまで正しいのか。そして、どのような仕組みでそう感じるのか。

 音響学を学べば、そんな疑問に対する手がかりが得られるかもしれない。6月8日に開催された「イヤホン・ヘッドホンを楽しむための音響講座」に参加した。主催は、finalブランドを展開するS'NEXT。会場には、約100名の一般参加者に報道関係者や招待客を加えた、合計120名が集まった。

理屈が分かると、オーディオがより楽しくなる

 内容はもともと、社内研修用に用意していたもの。「ふだんfinalのイヤホンを使っている一般のユーザーにも、関心を持ってもらえるのでは」と考えて企画された。finalでは、以前から自社のショールームを使い、少人数制の「音響工学講座」を実施してきたが、6名×2回の枠に100名を超える応募があり、毎回抽選になっていた。そこで、100人規模に拡大する計画を立てた。参加には1500円のチケットが必要な有料イベントだが、今回も一般向けの100席がほぼ3日で完売するほどの反響があったという。

 講座を担当したのは、finalのシニアサイエンティスト(技術主幹)、濱崎公男氏だ。音響工学講座は全5回の構成で、内容もより専門的だが、今回は、2時間の枠で、11のテーマ(チップス)+1つのトピックスに触れ、イヤホン・ヘッドホンを楽しむための基礎知識を得ることを狙いにした。

 空気の振動である音の正体や、ヒトの耳がその振動をどう感じ取り、スピーカーとイヤホンでは知覚のされ方にどのような違いが出るかなどが初心者でも分かるようにかみ砕いて解説された。例えば、人の耳が感じられる音圧レベルは0~120dB SPL(音圧では20~2000万μPa)。映画館や録音スタジオでスピーカー調整の基準レベルとして使われているのは、大きさ85dBCのピンクノイズ(実際に聴くと結構大きい)。日本の家庭では平均74dBと比較的大きな音でテレビが視聴されている。年齢による可聴領域の変化を実際に聴いて確認する……といったもの。


耳で音を知覚する仕組みを動画で解説した「Auditory Transductions」(Brandon Plersch)も引用された動画のひとつ

 音響工学の分野における過去の研究成果に基づいた、アカデミックな視点で語られてはいるが、数式などは用いず、限られた時間の中で、音響工学の初歩を効率よく理解できる内容になっていた。

 動画や実際に音を聴いて感じられるデモも豊富で、映像のように直接並べて比較できず、短期記憶に頼らざるを得ない「音の比較の難しさ」や、エージングやイヤーピースの変更によって「音が違って感じる理由」など、ポータブルオーディオファンが持つ素朴な疑問にも答えてくれる内容となっていた。密度の高さを感じた参加者が多かったようだ。

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