東アジアから世界のインターネットを構成する
出澤社長が持つ危機感が今回の統合のトリガーになっているのは確かである。日本のなかでだけの戦いを見ていれば、今回の統合は疑問が多いが、世界での戦いを視野に入れると、この統合の意味が理解しやすいだろう。
川邊社長も「オールジャパンとしてさまざまな協業を呼び掛け、日本の課題にフォーカスした他社ではできないサービスを提供したい。私は、東アジアから、世界のインターネットを構成する、もう一極を作ることが、経営者として、いまなすべきことであると考えている。
ソフトバンク、NAVER、ZHD、LINEは、いずれも東アジアに位置する会社である。最強のOne Teamとして、グループシナジーを利かせ、米国のGAFA、中国のBATに続く、第3局として、世界に羽ばたきたい」と述べる。
統合は約1年後である。
時価総額で1兆円以上を誇るプラットフォーマーの統合は日本では例がなく、独占禁止法の観点から、統合には想定以上に時間がかかるとの見方もある。市場の範囲をどう捉えるのか、データの取り扱いをどうするのかといった観点からも、関連当局の動きが気になる。
川邊社長は「審査を受ける我々がとやかく言う立場にはない」としながら、「著しくシェアが上がる分野はないのではないか」と補完関係の方を強調してみせる。
だが、1年という期間はやはり長い。
この連載の記事
-
第587回
ビジネス
メーカー自身が認定し、工場検査後に販売するパナソニックの中古家電 -
第586回
ビジネス
マイクロソフト、日本への4400億円のAI/データセンター投資の実際 -
第585回
ビジネス
日本市場の重要性を改めて認識する米国企業、変革期にある製造業がカギ -
第584回
ビジネス
NTT版の大規模言語モデル(LLM)、tsuzumiの商用化スタート、勝算は? -
第583回
ビジネス
エコ投資に取り組むエプソン、見方によっては10年で1兆円の投資も -
第582回
ビジネス
パナソニックコネクトの現在地点、柱に据えるBlue Yonder、ロボットとは? -
第581回
ビジネス
スタートして半年の日本NCRコマース、軸はAIとプラットフォームの2つ -
第580回
ビジネス
コンカーの第2章は始まるのか、SAPの生成AIを使って効率的な経費精算を -
第579回
ビジネス
AIの筋トレはいまから始めるべし、マイクロソフト津坂社長がCopilotの議論から得たもの -
第578回
ビジネス
大赤字からの再起はかるバルミューダ、その足掛かりは? -
第577回
ビジネス
日本の強さは量子力学におけるトンネル効果があるため、量子と出会い、広げよう - この連載の一覧へ