柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第87回
年額9900円で、スタンダードコースを300人利用可能に
300人までのNPO法人でお徳にkintoneを活用する方法
2019年11月18日 09時00分更新
サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。 本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第87回では、300人までのNPO法人でお徳にkintoneを活用してみる。
NPO法人などに特別価格で提供する「チーム応援ライセンス」
サイボウズは、チーム応援ライセンスというサービスを用意している。これは、NPO法人や特定の要件を満たす団体に、手ごろな価格でサービスを提供してくれるというものだ。
筆者は、ネット詐欺の被害を減らすためのNPO法人DLIS(デジタルリテラシー向上機構)という組織にも属しており、現在は賛助会員を集めるべく活動している。当然、理事やメンバーといろいろなコミュニケーションを取ったり、さまざまな情報を管理していかなければならない。
もちろんkintoneを使いたいとは考えたが、最初はNPO法人の収入がないので全員が手弁当で作業している。そこから1人当たり月額1500円を負担してくれとは言いづらい。
チーム応援ライセンスでは、このような団体のために、なんと1サービス年額9900円でkintoneを利用させてくれるというのだ。1ユーザーあたりではない。300ユーザーあたりだ。kintoneのライトコース(月額780円)の1ユーザーくらいの金額で、スタンダードコースを300人で利用できる。これはありがたい。
NPO以外の任意団体や非営利型一般社団・財団法人の場合は、活動目的が非営利で、特定の法人の管理下になく、財務状態が管理されているといった条件をクリアする必要がある。たとえば、学校のPTAやボランティア団体、マンション管理組合、自治会などが考えられる。さらに、申し込みの後、サイボウズの審査を経て、利用の可否が判断される。
まずは、30日間の無料試用を申し込む。審査に通った場合、この時に作ったアカウントにライセンスが発行されるので、適当に作らないこと。また、格安とはいえコストは発生するのだから、30日間の間に想定している使い方ができるかどうかを確認しよう。
使用アカウントを作成したら、サイボウズのホームページ上にある専用フォームからチーム応援ライセンスを申し込む。NPO法人と非営利型一般社団・財団法人、任意団体のそれぞれにフォームがあるので注意すること。法人番号やチーム名、担当者の情報などを入力したら、10日間くらい待つ。
DLISの場合は1週間ほどで審査の結果が送られてきた。無事クリアしたので、サイボウズドットコムストアから発注すればいい。今回、kintoneに加えて、多数の賛助会員とメールで連絡を取り合うことが予想されているためメールワイズも申し込んだ。そのため、価格は9900円×2+消費税となった。ちなみに、サイボウズドットコムストアの明細は、1ユーザー当たり年額33円となっていた。ちなみに、サイボウズOfficeやGaroonも選ぶことができる。価格は同じく、300ユーザーで年額9900円だ。
実は、この夏ですでに設立1年を経過し、先日チーム応援ライセンスを更新した。もちろん、1年で1サービス年額9900円という同じ条件で更新できた。
チーム応援ライセンスをサポートするプラグインもあり
サイボウズだけでなく、kintoneのプラグインを作っていたり、カスタマイズ開発を請け負っている企業がチーム応援ライセンスをサポートしていることもある。
たとえば、仙台にある株式会社アーセスもチーム応援ライセンスを利用しているユーザーを支援している。同社のクラウドサービスブランド「smart balloon」の「KANBAN」や「KOYOMI」といったプラグインを本来は年額9万8000円(もしくは月額1万円)のところ、無料で利用させてくれるというもの。
「KANBAN」はカンバン方式でタスクを管理できるプラグインだ。ドラッグ&ドロップでタスクを進められるので、デジタルリテラシーが低いユーザーでも簡単に使えるのが特徴だ。「第71回 kintoneアプリでカンバン方式のタスク管理を行なえる「KANBAN」」でも紹介している。
こちらも、ホームページから申し込み、審査に10日間ほどかかった。後は、プラグインをダウンロードして、普通に使い始められた。
サイボウズ製品に対するコンサルティング・システム開発を手がける株式会社ジョイゾーは、39万円でシステムのスピード開発ができる「システム39」というサービスを提供しているが、NPO法人向けの特別キャンペーンとして、チーム応援ライセンスを適用したkintoneを契約しているNPO法人には19万円で提供している。2016年のリリースでは5社限定、となっているが現在(2019年10月21日)でも受け付けているそうだ。
kintoneでNPOを運営したいが、最初のアプリ開発が難しそう、という初心者の場合は相談した方がスムーズだし、圧倒的に使えるシステムが構築できるのでオススメだ。
NPO法人も、活動が軌道に乗れば資金繰りが上手く回るようになる。そうすれば、無理に安価で使おうとしなくても、適正対価を支払いつつ社会のために活動できる。ただ、これは一般企業も同じだが、とにかく最初が厳しい。さらには、メンバーはお金を稼ごうとして活動しているわけではないため、動きが緩やかになりがちで、チーム応援ライセンスや無料のプラグイン、安価な開発サービスはとても助かる。しっかり活用して、恩返しをしていきたいと思う。
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