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柳谷智宣がAdobe Acrobatを使い倒してみた 第105回

アドビのビジネスカンファレンス「BEYOND」働き方パネル

平成生まれ×昭和生まれの経営者が語り合う令和の働き方

2019年11月21日 09時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●大谷イビサ

提供: アドビ

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人生を構成するいろいろな要素をバランスよく楽しみたいと考えるミレニアル世代

 続いて、平成生まれの代表として、ハピキラFACTORY 代表取締役 正能茉優氏の自己紹介が行なわれた。慶應義塾大学総合政策学部の在学中にハピキラFACTORYを創業し、現在は大手電機メーカーの会社員でもあるパラレルキャリア女子として活躍している。さらに、慶應義塾大学院の特任助教として、地域事業をテーマに活動しており、内閣官房「まち・ひと・しごと創生会議」の有識者委員も務めている。

「私は今、大学時代に立ち上げたハピキラFACTORYという会社をやりながら、企業でも働きながら、大学の先生もしているという働き方をしています。大学の先生と自分の会社は地域で働くことが多いので、月の3分の1くらいは地域にいながら、残りの3分の2は東京で働いています。今日は、私たちの世代が、どういう風な考え方を持って、日々働いているのかをお話しできればと思います」(正能氏)

ハピキラFACTORY 代表取締役 正能茉優氏

 日本生産性本部と日本経済青年協議会が昭和46年から調査している「新入社員働くことの意識調査」のグラフが表示された。近年、「楽しい生活をしたい」や「経済的に豊かになる」という目的が増加しており、楽しい生活はしたいけれど、経済的に豊かでありたいと考える人が増えている。反面「自分の能力をためす」というのは減少の一途をたどっている。「社会に役立つ」という目的は東日本大震災をきっかけに増えたのだが、直近ではやはり減少している。

平成31年度の「新入社員働くことの意識調査」のグラフ

「ミレニアル世代の価値観は、仕事や趣味、友達、家族、恋愛という、人生を構成するいろいろな要素をバランスよく楽しみたいと考えています。私の父はバブル世代なので、24時間戦えますかという感じでしたが、私たちは「いつか」というよりは、毎日毎日を大事にしていきたいのです。それぞれの項目は100点満点でなくても、70点とか65点でもいいから、すべてを楽しむことで人生全体を豊かにしたい、と考えています」(正能氏)

 この考え方には2つの背景があるという。1つは東日本大震災。震災の被害に直面し、いつか、という時が本当に来るのかな、と考えたそうだ。もうひとつは、リーマンショックだという。正能氏は当時中学生だったが、エリートサラリーマンが大変なことになっているのを見て、仕事だけにすべてを費やすことのリスクを子供ながらに感じたそうだ。

 単に、ばりばり働きたくないのに経済的に豊かになりたいと言っても難しい。そこで重要になるのが、生産性だという。自分の1時間当たりの価値を最大化する方法を考えなければいけない。

 正能氏は、ナンバーワンになるのか、ファーストワンになるのかを考え、どちらも難しいと判断。しかし、オンリーワンの存在として働くことができたら、ミレニアル世代が考えているような、経済的に豊かになるための仕事と楽しい生活をするための仕事のバランスを両立しうると考えた。

「どうしたら、オンリーワンの存在になれるか、と考えました。その時に思いついたのが、●●なのに社長。つまり、何かをしているのに、社長でもある。というキャリアの掛け算をすることで、オンリーワンの存在になれるのではないかと考え、今の働き方をはじめました」(正能氏)

 正能氏が「なのにキャリア」と呼ぶ働き方だ。ただ、この「なのにキャリア」を、社会人になってから実現するのはなかなか難しい。そこで慶応義塾大学大学院の特任助教として学生たちと始めたのが、長野県小布施町での新事業創出プログラム「まろん大学」だ。まろん大学では、長野県小布施町を1つの舞台、プロトタイプシティと捉えて、自分がやってみたい事業で起業してみませんか、という新規事業創出プログラムだ。

 「誰かが困っていることをそれをできる人がやってあげて、対価としてお金をもらうというのが仕事づくりの基本だと思います。若者向けの商品を作りたいけど、どうデザインすればいいのかわからないとか、SNSアカウントを運営してと言われたけどやり方がわからない、といった学生たちが力になれそうなまちの困りごとに、一緒に取り組んだり、議論することで、お仕事にさせていただいています」(正能氏)

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