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最新パーツ性能チェック 第268回

NVIDIAのLow Latency Modeをハイスピード撮影で分析

SFVと鉄拳7でGeForceの超低遅延モードを地獄の100本ノック検証

2019年10月27日 20時15分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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鉄拳7でも統計的に有意な差があるのかどうか調べてみる

 次に各条件ごとに、インプットラグのヒストグラムをチェックしてみる。

鉄拳7のデフォルト時(V-Syncオフ)のインプットラグをヒストグラム化したもの。97.92msより上の値は出ておらず、91.67msを示した頻度が最も高くなっている

鉄拳7、V-Syncオン時のインプットラグ。V-Syncオフ時に比べ、明らかにグラフの山が右側(インプットラグ増大)に寄っている

鉄拳7、G-SYNCオン時のヒストグラムはデフォルト時と似た山になったが、91.67~95.83msあたりの頻度が高くなっている

鉄拳7、NULL“On”時のインプットラグをヒストグラム化したもの。ピーク値はデフォルト時と似ているが、今度は83.33~87.50msあたりの頻度が高くなり、全体に左側に重心が移ったような印象を受ける

鉄拳7、NULL“Ultra”時のインプットラグをヒストグラム化したもの。NULL“On”時の山に比べ、明らかに右側に寄ってしまった

 ヒストグラムを眺める段階ですでにV-Syncオンは明らかに結果が悪化し、NULL“Ultra”設定は“On”に比べて明らかに筋の良くない結果が得られたことがわかる。では、こちらも統計的に検証してみよう。SFVと同じt検定を行ない、有意水準pは5%(0.05)の両側検定を実施する。

鉄拳7のインプットラグのt検定結果。Excel内蔵の分析ツール「等分散を家庭した2標本における検定」を利用して出力

 p(T<=t)両側の値が0.025より小さければ、デフォルト時のインプットラグを基準とした場合、偶然差が出てしまったとは言い難い差が出た、ということになる。鉄拳7ではデフォルト時と有意差がついたと断言できるのはV-Syncオン時のみで、他の条件ではデフォルト値とそう大きな差が付いているとは言えない、という結果が出た。平均値の比較ではSFVよりも差がついているように見えたものの、統計的にはいまひとつ弱いようだ。

鉄拳7のインプットラグのデータを箱ひげ図にしたもの。V-Syncオンジはデフォルト時に比べ、明らかに上側(インプットラグ増大方向)に箱が偏っている。また、Null“On”時はNull“Ultra”時に比べ、狭い範囲に固まっていることもわかる。

まとめ:格ゲーではNULLはあまり効果なし

 SFVと鉄拳7でインプットラグを比較してみたが、統計的に歯切れ良く違いがあると言えるようなデータは得られなかった。t検定で有意な差はあると判定されたものでも、平均値の違いはわずか1/480~2/480フレーム程度で、実時間では0.2~0.4秒もない時間だった。

 この理由は格ゲーというゲームの設計にあると考える。一般的なPC用FPSタイトルやアクションゲームと異なり、今回とりあげた格ゲー2本は60fpsプレイを安定して楽しむように設計されている。SFVではG-SYNCも無効化されるなど、ハードの影響を極力排除し、プレイヤー間の平等性を重視するように作ってあるようだ

 現時点においてSFVと鉄拳7という格ゲーではNULLは無力な存在だ、ということがわかったが、次回はFPSゲームで検証してみたい。格ゲーでの雪辱を晴らすことができるのだろうか?

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