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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第525回

Comet Lakeは事実上Coffee Lake Refresh インテル CPUロードマップ

2019年08月26日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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 普段このロードマップ連載ではあまりモバイル系プロセッサーは取り上げないのだが、インテルが8月に入っていろいろ新製品を投入してきたので、まとめてご紹介することにしたい。

 まず8月1日、Ice Lakeベースの11製品が発表された。ジサトライッペイ氏の記事にもあるように、このIce LakeはUシリーズが6製品、Yシリーズが5製品であるのだが、ark.intek.comで“Ice Lake”を検索すると10製品しか出てこないという不思議なことに。なぜかハイエンドであるCore i7-1068G7がまだark.intel.comのデータベースに登録されていないらしい。

 この発表から20日経過した8月21日、今度は14nmのComet Lakeベースの8製品が新たに発表された。もっともこちらもark.intel.comで検索すると、Uシリーズ4製品のみが登録されており、Yシリーズはまだ未登録となっている。いろいろ準備が間に合っていないのかもしれない。

2019年8月28日追記

 先にComet Lake-Yがark.intel.comに掲載されていないと書いたが、なぜかAmber Lake-Yとして掲載されていることがわかった。ただ、2コアのCore i3-10110Yはともかくとして4コア製品までAmber Lake扱いなのはやや「?」ではあるが、要するに「Comet Lake-Y」=「Amber Lake-Y Refresh」というのが実情なのかもしれない。

消費電力が下がらない
Ice Lake

 まずIce Lakeについて説明しよう。連載514回で書いた内容から、ほとんどアップデートはない。ポイントとしては、予想通り動作周波数はかなり抑えられている。下表はUシリーズについてWhiskey Lake/Ice Lake/Comet Lakeの3世代製品をまとめてみたものだ。

Whiskey Lakeの比較表
モデルナンバー i3-8145U i5-8265U i5-8365U i7-8565U i7-8665U
コア数 2 4 4 4 4
スレッド数 4 8 8 8 8
キャッシュ(MB) 4 6 6 8 8
動作周波数 Base(GHz) 2.1 1.6 1.6 1.8 1.9
Max Turbo(GHz) 3.9 3.9 4.1 4.6 4.8
cTDP-up(GHz) 2.3 1.8 1.9 2.0 2.1
cTDP down(GHz) 0.80
TDP 定格(W) 15 15 15 15 15
cTDP-up(W) 25 25 25 25 25
cTDP-down(W) 10 10 10 10 10
メモリータイプ DDR4-2400/LPDDR3-2133
GPU 種別 UHD Graphics 620
Base周波数(GHz) 0.30
最大周波数(GHz) 1.00 1.10 1.10 1.15 1.15
推奨小売価格($) 281 297 297 409 409
Ice Lakeの比較表
モデルナンバー i3-1005G1 i5-1035G1 i5-1035G7 i5-1035G4 i7-1065G7 i7-1068G7
コア数 2 4 4 4 4 4
スレッド数 4 8 8 8 8 8
キャッシュ(MB) 4 6 6 6 8 8
動作周波数 Base(GHz) 1.2 1.0 1.2 1.1 1.3 2.3
Max Turbo(GHz) 3.4 3.6 3.7 3.7 3.9 3.6
cTDP-up(GHz)   1.2 1.5 1.5 1.5  
cTDP down(GHz) 0.9 0.7 0.8 0.8 1.0  
TDP 定格(W) 15 15 15 15 15 28
cTDP-up(W)   25 25 25 25  
cTDP-down(W) 13 13 12 12 12  
メモリータイプ DDR4-3200/LPDDR3-3733
GPU 種別 UHD Graphics Iris Plus
Base周波数(GHz) 0.3
最大周波数(GHz) 0.90 1.05 1.05 1.05 1.10 1.10
推奨小売価格($) 281 297 320 309 426  
各CPUの比較表
プロセッサーファミリー Comet Lake
モデルナンバー i3-10110U i5-10210U i7-10510U i7-10710U
コア数 2 4 4 6
スレッド数 4 8 8 12
キャッシュ(MB) 4 6 8 12
動作周波数 Base(GHz) 2.1 1.6 1.8 1.1
Max Turbo(GHz) 4.1 4.2 4.9 4.7
cTDP-up(GHz) 2.6 2.1 2.3 1.6
cTDP down(GHz) 0.8
TDP 定格(W) 15 15 15 15
cTDP-up(W) 25 25 25 25
cTDP-down(W) 10 10 10 12.5
メモリータイプ DDR4-2666/LPDDR3-2133
GPU 種別 UHD Graphics
Base周波数(GHz) 0.30
最大周波数(GHz) 1.00 1.10 1.15 1.15
推奨小売価格($) 281 297 409 443

 このなかで比較的消費電力にゆとりがあると思われる2コア/4スレッドのCore i3製品を比較してみると以下のようになる。

2コア/4スレッドのCore i3製品比較表
モデルナンバー Base(GHz) Turbo(GHz) cTDPdwn(GHz) cTDPdwn(W)
Core i3-8145U 2.1 3.9 0.8 10
Core i3-1005G1 1.2 3.4 0.9 13
Core i3-10110U 2.1 4.1 0.8 10

 まずは定格の15Wでどこまで行けるかというと、14nm++を利用するWhiskey LakeとComet LakeはBaseで2.1GHz、Max Turboで3.9/4.1GHzなのに対し、Ice LakeはBaseが1.2GHz、Max Turboでも3.40GHzでしかない。

 もう1つ、cTDP Downで定格周波数を下げられるが、Whiskey Lake/Comet Lakeは0.8GHzで10Wなのに対し、Ice Lakeは0.9GHzなものの13Wと、「消費電力が下がらない」特徴を示している。

 実はこれがもっと顕著なのが、Core i5-1035G1で、cTDP Downで0.7GHzまで動作周波数を下げているにも関わらず、TDPは13Wに設定されているあたりからも、この「下がらない」特徴がはっきりわかる。

 もっとも現状では、これが「10nmプロセスのせいで」と断言しきれないのは、Ice LakeがSunny Coveコアを搭載しており、このコアが消費電力増加の元凶という可能性もゼロではない(その可能性は薄いと筆者は考えているが)からだ。

 Sunny Coveの特長は連載506回で説明しているが、バックエンド部を整理するとともに強化したのがSkylake世代からの大きな特徴となる。

 回路規模そのものは確実に大きくなっていると考えられるため、回路設計上の問題があって消費電力が大きくなったという可能性も皆無ではない。

 とは言え、普通に考えれば10nmプロセス、それもCannon Lakeの10nmではなく改良された10nm+が、依然として消費電力が14nm世代より大きいと見なすのが妥当なところだろう。

 ちなみにIce Lakeが10nm+に相当するという話、連載511回のスライドからすれば、Cannon Lakeはなかったことになって、Ice Lakeが10nm相当という表現だと理解していたのだが、インテルのResource & Design Centerのページによれば、Ice Lake U/Yは「インテルの10nm+プロセスを利用して製造されている」と明言されている。ということは、来年にはさらに改良された10nm++プロセスは出てくるが、改良はここで打ち止めで後は7nm任せになる形だ。

Cannon Lakeはなかったことになって、Ice Lakeが10nm相当と読み取れる

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