●10億ドルで買ったのは「交渉の切り札」か
そう考えると、仮にアップルでも、自社でモデムチップを開発できても、クアルコムに対抗できるだけの省電力設計や安定した通信品質を確保できるかは、かなり怪しいと言わざるを得ない。
ただ、一方で、アップルが自社で開発し、製品化できなくても、何ら問題はないのかもしれないという考え方もできる。
クアルコムに対して「うちは自社で開発できる体制がありますよ」とアピールするだけで、クアルコムとの交渉において、少なくとも一方的に高価な金額をふっかけられることはないはずだ。
製品化の可否には関係なく、交渉の切り札があるとないとでは大違いなはずだ。
そう考えれば、アップルとしては5Gモデムチップの内製化を焦る必要はない。クアルコムを調子に乗せず、交渉を対等に持っていくための「10億ドル」と割り切れるのではないだろうか。
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