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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第515回

詳細が判明したRDNAの内部構造 AMD GPUロードマップ

2019年06月17日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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メモリーはGDDR6をサポート
ただし片面実装で容量は8GB

 メモリーはGDDR6をサポートしており、今のところ転送速度は14Gbps品となっている。

 これは、ラインナップ上はSamsungなどがすでに16Gbps品を用意しているとしつつも、現実問題としては14Gbps/8Gbit品のみが広く流通しており、その意味では構成としてはRadeon RX 5700シリーズの容量8GB、帯域448GB/秒(14Gbps×256bit)しか存在しないためだ。

 ただ、GDDR6はGDDR5までと同様に16bitモードと32bitモードの両対応であり、基板側で16bit幅×16個という構成にすれば容量16GBも可能ではあるのだが、AMDによれば「あくまでも現在の製品仕様では容量は8GB」ということで、基板の裏面実装が可能なレイアウトにはなっていない模様だ(このあたりは製品を分解してみないと断言はできないが)。

現在のRadeon RX 5700シリーズが容量8GBだとしても、基板のデザインを変えれば16GB対応とすることそのものは難しくない。少なくともGPUチップそのものは当然対応していると思われる

 さらに速度についても「現在の製品仕様では(以下略)」ということで、より高速なSKUが用意されるかどうかは不明である。ただマージン的にはGDDR6 16Gbpsはそれほど難しくないと思われる。むしろこれに耐えられるGDDR6チップを安定して入手できるのがいつになるかという方が問題だろう。

MCMは考慮していないが
不可能ではない

 もう1つ余談を。前ページ最後の画像で2次キャッシュからSoC Fabricにつながり、ここからGDDR6とディスプレーエンジンに接続されているわけだが、このSoC FabricにはほかにPCIeのI/Fもつながっている。

 それにもかかわらずあえてSoC Fabricというボカした書き方になっているのは、1つは将来のAPU向けである。Zen 2コア+Navi GPUが将来の(型番的に言えばRyzen 4000シリーズ相当の)APUになるが、この際にはSoC FabricとはInfinity Fabricのことで、これは別に不思議でもなんでもない。

 それでもInfinity Fabricと書かないのは、6月3日に発表されたSamsungとのIPライセンスを念頭に置いているためだろう。

 この契約で、AMDはSamsungに対してRDNAベースのカスタムグラフィックスIPを提供する形だが、この場合のSoC FabricはAXI(Advanced eXtensible Interface)ということになる。このあたりを自由に変更できるようにしているというのもRDNAの特徴と言えるだろう。

 さらに余談を積み重ねるが、RDNAも内部のブロック同士はInfinity Fabricベースである。記事冒頭の画像で、一番下にInfinity Fabricとあることからもこれはわかる。

 ただ、外部に対して(Radeon Instinct MI50/60のように)Infinity Fabricを出す必要はなく、そうしたI/Fは持っておらず、またPCI Express Gen4のI/Fはあるが、これにはCCIX(Cache Coherent Interconnect for Accelerators)の機能は搭載されていないという話であった。

 AMDはRyzen 3000世代でChipletアーキテクチャーを取ったが、少なくとも現行のNAVIでは、MCM(Multi-Chip Module)タイプのソリューションは考慮していないと考えられる。

 ただ将来的には、このSoC Fabricの部分を拡張すれば、Ryzen 3000シリーズのようにCUと2次キャッシュを搭載したGPU Chipletと、PCIe/メモリー/ディスプレーエンジンなどを搭載したI/O Chipletを分離して、MCM構成とすることは不可能ではないだろう。

 というか、SoC Fabricという呼び方は、そうした展開まで念頭に置いている気がする。このあたりは今後の展開をお楽しみというところだろうか。

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