悲惨な事故を増やさないために

踏み間違え防止に加えてアクセルワーク上達も? 「ペダルの見張り番」を使った

文●栗原祥光 撮影●栗原祥光

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 社会問題化している高齢者の事故。中でも「ペダルの踏み間違え」は、とても大きく扱われているのは周知の通り。平成30年警察白書によると、2017年の死亡事故の人的要因のうち、75歳未満のペダルの踏み間違えは0.8%であるのに対して、75歳以上では6.2%と大幅に上昇する。高齢者によるペダルの踏み間違えが多いのは事実だが、いっぽうで75歳以下でも踏み間違えの事故は起きている。

 このような踏み間違え事故に対して、メーカーはもちろん対策をしている。現行車種の場合、トヨタは「踏み間違い時サポートブレーキ(インテリジェントクリアランスソナー)」、日産は「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」、ホンダは「Honda SENSINGの誤発進抑制機能」といったように、国内各社の新型車の多くは、踏み間違え防止機能を標準搭載、またはオプションとして用意されている。

 新車はそれで問題はないが、このような機能を搭載していない自動車に対して後付けという形で対応できないのだろうか。

トヨタから純正アクセサリーが登場していた!

 トヨタは販売店装着の純正部品として、2018年12月5日から「踏み間違い加速抑制システム」を5万5080円(税込・工賃含まず)で販売している。

 機能としては、車両前後に取り付けた超音波センサーにより、前方または後方約3m以内にある壁などの障害物を検知、ブザー音で注意喚起を行なう。それでもブレーキと間違えてアクセルを強く踏み込んでしまった際には加速を抑制し、衝突被害を軽減。また、後退時は、障害物を検知していない状態でも、約5km/h以上でアクセルを踏んだ場合、速度が出過ぎないよう加速を抑制するというものだ。

 取り付けが可能なモデルは2009年5月18日から2015年12月8日に販売された「プリウス」(G's、ウェルキャブ全車を除く)と、2011年12月26日から2018年4月2日に販売された「アクア」(G's、GR-SPORT、X-URBAN、Crossover、ウェルキャブ全車を除く)。今後、対象車種を拡大していく予定だという。

汎用性が高い「ペダルの見張り番」

 ではトヨタの上記車種以外はどうすればいいのだろう。実は、オートバックスから同社の専売商品として、アクセルペダルの開度を抑制する後付けの商品「ペダルの見張り番」を販売している。

 ペダルの見張り番は、アクセル、ブレーキ、車速といった信号を監視しアクセル開度を制御するというもの。具体的には低速時において急激なアクセル操作を検出した際、その信号を車両に伝えないというものだ。また、ブレーキとアクセルを同時に踏み込んだ場合は、ブレーキを優先し、アクセルの信号をカットする。

 ペダルの見張り番は、機能と対応車種によって2種類が用意されている。いずれも見た目は黒い箱。新型の方がわずかに値段が上がるものの、コンパクトでありながら対応車種が200車種以上と幅広く機能が充実している。対応車種は電子スロットルを採用する国産車なら、ほぼすべてに取り付け可能。いっぽう、その機構上スロットルバルブとアクセルがワイヤーでつながる昔ながらの車種には対応できない。

 監視レベルはプッシュスイッチで行ない、旧型が3段階、新型が5段階に設定可能だ。新型の場合はさらに、レベル設定スイッチのほか、坂道発進時など強くアクセルを踏み込まならない状況用として、一時的に機能をキャンセルするスイッチも付属する。

 オートバックスでは、本体および接続ケーブル、取り付け工賃込みで、旧型が税抜3万円、新型が税抜4万円。作業時間は取り付けが約2時間半に加え、使い方の説明に30分程度の約3時間で作業が完了する。

 東雲駅すぐにある「A PIT オートバックス東雲」では、ペダル見張り番のコーナーが設けられ、人々の注目を集めていた。

 広報に話を伺うと「オートバックスの社用車に取り付けているものがある」というので特別に試乗させてもらった。車種はミニバンで、旧型タイプが取り付けられていた。

 監視レベルがもっとも弱い状態でも、その効果はもちろん発揮されていた。停止状態から普段の感覚でアクセルを踏めば普通に加速、つまり介入しない。続いて停止状態から一気に踏み込むと猛加速、ではなく警告音が鳴ってクリープ状態で進むだけ。信号がカットされたのだ。これならブレーキが間に合うし、不幸に物損事故となった場合でも、大きな被害にはならない。

 監視レベルを最大にすると、さらに介入は強くなり、ハーフスロットル状態でもクリープとなる。普通にアクセルを踏んでも警告音が鳴りクリープ状態に。しかしじわっと踏み込めば車はゆっくりと走りだす。つまり「今までが踏みすぎだった」というわけだ。

 ペダル見張り番を試しながら、電気モーターを搭載したハイブリッド車のことを思い出した。電気モーターはエンジンと異なり、特性的にトルクが急激に立ち上がるため急加速しやすい。筆者も何度か怖い思いをしたことがある。それゆえに急発進防止にも「ペダル見張り番」の効果は期待できそうだ。

 残念ながら、トヨタが販売する「踏み間違い加速抑制システム」も、オートバックスが販売する「ペダル見張り番」も、発進時のペダル踏み間違えを監視するものであり、巡行中は動作しない。というのも、たとえば高速道路の合流でアクセルを踏み込んだ時、加速しなかったら逆に危ないからだ。巡行中に関しては、新型車の多くが搭載する衝突低減(自動)ブレーキの出番となる。

 ふと思ったのは、この「ペダル見張り番」は繊細なアクセルコントロールの養成にも効果を発揮しそうだということ。警告音が鳴らないように、ゆっくり踏めば車や同乗者はもちろんのこと、燃費軽減にも効果的だし地球にも優しい。その意味では、高齢者だけでなく、運転を覚えたてのビギナーなど、多くの方にも取り付けるメリットがありそうだ。丁寧な運転とかもしれない運転に勝る交通安全はないのだから。

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