2019年5月22日、クラウド型プロジェクト管理ツールを手がける米Wrike(ライク)は、日本市場進出とパートナー戦略に関する記者発表会を行なった。創業者兼CEOのアンドリュー・ファイレヴ(Andrew Filev)氏は、「働き方改革を進める日本企業にとって、最高のパートナーになれると思う」とアピールした。
タスクとプロジェクトの管理を統合したサービス
2006年に設立された米Wrikeはプロジェクト管理やチームコラボレーションを実現するSaaSを提供しており、現在はグローバルで1万9000社、200万人以上のユーザーが利用している。昨年、日本語対応したことで、国内でも700社以上が導入しており、昨年度からの成長率は150%となっているという。
Wrikeではまず「仕事の最小単位」であるタスクを設定し、担当者、内容、日付などを登録するところからスタートする。この仕事の最小単位はメールで言うところの「件名」にあたる内容で、さらに粒度の細かいサブタスクを設けることもできる。担当者をアサインすると、タスク単位でチャットが可能になり、ファイルなどもアタッチできる。
これら複数のタスクをまとめた概念がチーム全体の「プロジェクト」で、ガントチャート化することも可能。また、ルーティングのタスクをテンプレート化したり、各プロジェクトをカンバン型ボードで管理できるほか、さらにリアルタイムでのレポートでパフォーマンスやボトルネックをチェックすることも可能だ。デモを見た限り、Trelloのようなタスク管理ツールや、Backlogのようなプロジェクト管理ツールのいいとこ取りをしたような印象を受ける。
現時点で8つの言語に対応しており、スマホアプリはもちろん、WindowsやMac向けのアプリも用意されている。また、400を超えるアプリやシステムとの連携も可能になっている。
「自分で仕事を管理しないと、仕事に管理されてしまう」
発表会の冒頭に登壇した米Wrike 創立者兼CEOのアンドリュー・ファイレヴ氏は、2000年代の初頭にこうしたツールの必要性に気がついたという。「経済がデジタル化し、リモートワーカーも登場しはじめ、分散型で仕事するという流れが見えてきた。しかし、働いていた会社では、社員一同の労働時間が伸びていた。なすべき仕事をやるには、必要な情報にたどり着くまで時間がかかっていた」(ファイレヴ氏)と課題を語る。
日本では働き方改革に対する注目度も高いが、これはグローバルでも同じ傾向だという。ファイレヴ氏は、「やるべき優先度を付け、うまくコラボレーションしないと仕事に溺れてしまう。周りにも『自分で仕事を管理しないと、仕事に管理されてしまう』と説明している」と警鐘を鳴らす。こうした課題感から生まれたWrikeは、プロジェクトやタスク、コラボレーション、進捗などを見える化し、働き方改革に寄与するという。
日本法人であるWrike Japanにはすでに10名の社員がおり、今後3年間で50名にまで増やす予定。また、ISID(電通国際情報サービス)とNECネッツエスアイの2社がパートナーシップになり、日本市場を開拓していく。ISIDはWrike導入のコンサルティングや支援、IT基盤の構築支援を展開する。パートナーとして登壇したISIDの田中潤一氏は、Wrikeを日本展開する背景について、「ずばり働き型改革。すべての仕事はプロジェクト。デジタルワークプレイスに有機的に統合していく必要がある」と語る。
ファイレヴ氏は、「非常にコンフィグしやすいツールで、優れたデジタルワークプレイスとして提供している。チームや部門、全社、どの単位でも使いやすくなっている。働き方改革を進める日本企業にとって、最高のパートナーになれると思う。日本におけるDXの一端を担わせてもらいたい」とアピール。なお、料金は小規模向けの「Professional」が1人9.8ドル/月、200ユーザーまで対応した「Business」が1人24.8ドル/月、セキュリティ機能を強化した「Enterprise」は個別見積もりになる。