
グーグルが7日、エンジニア向けのスタートアップイベント「Startup Tech Night 」を開催。注目のスタートアップ企業が集まり、自社のビジネスツール活用術やチームづくりなどを披露した。とりわけカブク社・足立昌彦CTOの講演が聴衆の関心を集めていた。
カブクは昨年創業のスタートアップだ。3Dモデリングデータをアップロードするだけで該当製品がオンデマンド販売できるようになる、3Dプリントのショッピングプラットホーム「リンカク」を展開する。エンジニアならずとも通用するビジネスノウハウを共有する。
チャットは「Slack」 タスク管理は「Wrike」
まずカブクでコミュニケーションに使っているのはLINEではなく、Facebookのチャットとチャットアプリ「Slack」。チャットをするのはすぐレスポンスが欲しいとき。Slackは常に開きっぱなし、話し合いが必要なときはすぐSlackに集まるそうだ。
プロジェクトの進行管理、タスク管理には、ガントチャートとToDo管理を融合させたツールである「Wrike」を使用している。競合サービス「Trello」なども試したが、Wrikeがカブクではもっとも使いやすかったという。
プロジェクトオーナーは徹底して現場の支援にあたる奉仕者「サーバントリーダー」となり、「時間」「目標」「コスト」というプロジェクトの三要件を成功(達成)させることに責任を持つ。
カスタマーサポートは「デスクドットコム」 情報共有は「グーグルドキュメント」
カスタマーサポートはセールスフォースの「デスクドットコム」を使い「全員で、全力で、速攻で」(足立CTO)サポートしている。何よりユーザー優先を第一に掲げ、ユーザーの声を聞いて、サービス改善のきっかけにしているそうだ。
社内では共有至上主義を徹底している。どんな小さな案件でもドキュメントをとにかく書き、グーグルドキュメントに大量の書類を共有している。「できない」といわれる案件をみんなで「できる」に変えるために知識を共有するのが大事という。
スケジュール共有はグーグルカレンダー、情報共有はグーグルプラスの非公開コミュニティーで共有している。グーグルプラスのコミュニティーは、ニュースにタグ付けをできたり、URLの自動展開など便利な機能が多いため使っているとのこと。
面接した人の昔の上司に電話をかけなさい
エンジニアの獲得が命綱となるカブクのようなIT系スタートアップにおいて「採用は命がけ」(足立CTO)。メンバー全員で面接するが、一番最初に面接をするのは社長だ。社長がダメといったら努力がムダになってしまうからだ。
採用面接のあとにはリファレンスを必ず取っている。面接した人の昔の上司、同僚、部下に電話をかけ、3〜4個の質問をして、面接でごまかされてないかチェックする。「あの人は……(苦笑)」といった声が電話口から聞こえてきたら考えなおす。
週1回の勉強会も大事だという。エンジニアはアウトプットするのが仕事のため、「アウトプットしきったら憔悴しきって何も出てこない」(足立CTO)。ロジカルシンキングやプロジェクトマネジメント手法、論文紹介など勉強会を欠かさない。
「スタートアップはマラソンなので(新しい知識を)食べながら走る」が足立CTOのモットー。成長企業のビジネスアイデアが、あなたの会社を変える一助になれば幸いだ。
