5つの基本的な価値観と
7つの会社の目的
ちなみにThe HP Wayの方はいつそれが明確に示されたのかははっきりしないが、こちらは5つの基本的な価値観と7つの会社の目的、それと4つの行動指針から構成されるものだ。まず5つの基本的な価値観とは以下のとおり。
- 1. 我々は、従業員一人一人を信頼し、尊敬する
- 2. 我々は、高いレベルの成果と貢献を重視する
- 3. 我々は、誠実をモットーとするビジネスを行なう
- 4. 我々はチームワークを大切にして、共通の目標を達成する
- 5. 我々は柔軟性と革新性を奨励する
7つの会社の目標(*)は、以下のようになっている。
- 1. Profit(適正な利益)
- 2. Customer loyalty(顧客からの尊敬と信頼の獲得)
- 3. Market leadership(市場でのリーダーシップ)
- 4. Growth(成長)
- 5. Employee commitment(従業員へのコミットメント)
- 6. Leadership capability(リーダーシップの発揮)
- 7. Global chitizenship(良き市民)
(*) The HP wayによれば、当初Customer loyaltyはField of Interest(事業分野)だったし、Leadership capabilityはOrganization(組織)と表現されているが、途中でかわかりやすい言葉に変えたのかもしれない。いずれにしても意味は変わらない。
F.L. Moseley Companyを買収
後のプリンター部門に
ただこうした価値観や指針は、中央集権的な組織とはなじまないのも明白である。それもあって1958年にHPは早くも事業部制度を導入し、事業部への権限委任を図る。
1957年の新規上場株式の後で、HPはサンディエゴにあるF.L. Moseley Companyの買収を決める。同社は1935年創業の、高品位なグラフィックレコーダーを製造販売しているベンダーであった。
画像の出典は、Computer History Museum
当時HPの測定器には、連続的に記録する機能がなかったため、長時間記録を取りたいような場合にはこうしたレコーダーを連携させる必要があり、この買収は理にかなったものだった。のみならず、ここからHPのプリンター部門が生まれることになるわけで、その点でも重要な買収だったと言える。
ちなみに買収金額は150万ドルで打診され、これを200万ドルに増額して買収している。当初は、同社の株の80%を買収して子会社化している(残り20%は創業者のFrank Moseleyが保有していたが、1964年にこの20%も買収、Moseley部門としてHPに吸収された)。
このMoseley部門は1968年にサンディエゴ部門に改称され、プロッターからスタートして熱転写プリンターやインクジェットプリンターなどを手掛けることになる。
この連載の記事
-
第768回
PC
AIアクセラレーター「Gaudi 3」の性能は前世代の2~4倍 インテル CPUロードマップ -
第767回
PC
Lunar LakeはWindows 12の要件である40TOPSを超えるNPU性能 インテル CPUロードマップ -
第766回
デジタル
Instinct MI300のI/OダイはXCDとCCDのどちらにも搭載できる驚きの構造 AMD GPUロードマップ -
第765回
PC
GB200 Grace Blackwell SuperchipのTDPは1200W NVIDIA GPUロードマップ -
第764回
PC
B100は1ダイあたりの性能がH100を下回るがAI性能はH100の5倍 NVIDIA GPUロードマップ -
第763回
PC
FDD/HDDをつなぐため急速に普及したSASI 消え去ったI/F史 -
第762回
PC
測定器やFDDなどどんな機器も接続できたGPIB 消え去ったI/F史 -
第761回
PC
Intel 14Aの量産は2年遅れの2028年? 半導体生産2位を目指すインテル インテル CPUロードマップ -
第760回
PC
14nmを再構築したIntel 12が2027年に登場すればおもしろいことになりそう インテル CPUロードマップ -
第759回
PC
プリンター接続で業界標準になったセントロニクスI/F 消え去ったI/F史 -
第758回
PC
モデムをつなぐのに必要だったRS-232-CというシリアルI/F 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ