初のアジアの拠点
横河ヒューレット・パッカードを設立
翌1963年には横河製作所と共同で横河ヒューレット・パッカード(YHP)を設立する。
画像の出典は、Timeline of our history
YHPはHPにとって初のアジアの拠点であり、まずは計測機器の輸入販売(完成品だと関税が高いため、部品で輸入して国内で組み立てる、いわゆるノックダウン生産)を始めるが、1964年にはYHP自身が開発したUniversal Bridge(インピーダンス測定用の機器)がHP4260AとしてHPの製品として販売されるようになるなど、単なるアジアの販売サポート拠点という以上の働きをするようになっていく。
画像の出典は、Computer Asylum
Data Systems, Incを買収
HP初のコンピューターを開発
1965年には科学分析装置を手がけていたF&M Scientific Corporation(ここはもともとデュポンの従業員が始めた副業が起源である)を買収、1966年にはData Systems, Incを買収する。
このData Systems, Incは少し話が複雑である。もともと1956年に、特にデジタル機器に特化した製品を開発のためにHPから分社化したDynac companyという子会社が設立された。
ただこのDynacという名前はウェスティングハウスのDynacという製品名と被っているとして、1958年にDymec Inc.に改称される。
このDymec Inc.であるが、分社化していてもあまり意味がないと思われたのか、1959年に再びHP本社に買収され、Dymec部門に改編される。
さて、この当時すでにHPはコンピューターによるデータ収集や処理のシステムを提供していた。ただしそれはDECのPDPを購入して、これをベースに処理システムを提供する形であったが、これを自前でまかないたいという要望が出てきた。
そこでDymec部門がその開発に携わるわけだが、いろいろ難航していたらしい。そんな折、Data Systems, IncはDSI 1000という16bitマシンを開発しており、これがちょうどHPのニーズに合うと判断された。
かくしてHPはData Systems, IncとDSI 1000の権利をまとめて買収、Data Systems, Incの5人の従業員のうち4人はそのままDymec部門に移動。HP初のコンピューター開発に携わることになる。こうして1966年に開発されたのが、HP2116Aである。
画像の出典は、Computer History Museum
この写真では内部構造などがわからないが、2016年にHP2116Aの生誕50周年を記念してHP Computer Museumが動画を公開しているので、こちらをご覧になったほうがわかりやすい。この1966年が、HPがコンピューター産業に参入した年となる。
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