業務を変えるkintoneユーザー事例 第46回
ユーザーに活用してもらえるよう、使いやすさを考慮すべし!
短期集中ダイエットジムがkintoneで実現したロス改善と失敗例
2019年05月20日 10時30分更新
2019年4月18日に開催された「kintone hive hukuoka vol.4」でのプレゼンで、トップバッターを務めたのがRITA-STYLEの山口雄大氏。「短期集中ダイエット事務 kintoneの活用 ~導入の際の成功と失敗~」というテーマで、自社の事例を紹介してくれた。
RITA-STYLE マーケティング部の山口雄大氏
失注の情報が取れていないので管理アプリをkintoneで開発
RITA-STYLEは短期集中の完全個室ダイエットジムを運営している。専属トレーナーによるマンツーマンの短期集中ダイエットサポートをして、ダイエットの成功を支えてくれるサービスを提供している。
山口氏はもともと音楽で食べていこうとしていたが、紆余曲折あって、現在はRITA-STYLEで働いているという。実際、宮崎県のローカルの教育番組から食中毒に関する1分間の曲の作曲依頼が来たこともあるそう。会場がライブハウスのZepp Fukuokaだったので、「欲を言えば、音楽でこのステージに立ちたかった」と山口氏。
RITA-STYLEの本部は熊本。2015年5月に設立され、現在は5県に8店舗を展開している。通常の業務フローとしては、まず電話やウェブサイトから無料カウンセリングの申し込みがある。その客が来店し、トレーナーが実際にカウンセリングすることになるが、ここが実質的な商談となる。通うことになれば成約。2ヵ月間のコースが実施される。コース終了時に満足度が高ければ、継続コースも用意している。継続コースに行かない場合は、「卒業」となる。
「こういった流れの中で、課題が見えてきました。どの企業も同じだと思いますが、それぞれの段階でロスが出てきます。たとえば、無料カウンセリングの申し込みがあったのに来店しなかったとか、カウンセリングをしたのに成約できなかったとか、成約したのに途中退会したとかです。どこを改善すれば効率よく売上を上げられるのかというところが課題でした」(山口氏)
RITA-STYLEは比較的新しい会社なので、ロスを把握し、効率的にどんどん改善を回していかなければならないと山口氏。そのためには、しっかりと顧客管理を行なうことが必要になるが、どう管理していけばいいのかと頭を抱えてしまったそう。
そんな時に、山口氏はkintoneを見つけた。早速導入し、まずはリード管理アプリを立ち上げる。無料カウンセリングの申し込みから来店までの顧客管理を行なうツールだ。顧客の情報や対応履歴をすべて記録するので、無料カウンセリングを申し込んだ人に対して、どこまで追ったかなども管理できるようになった。
ステータスを変えられるようになっており、予約調整中や事前・無断キャンセルであれば電話やメールで追いかける。予約確定したら来店をチェックし、来店がなければリード失注にするというふうに管理している。続けて、商談管理アプリも作成。そのままカウンセリングで成約もしくは失注、その理由などを管理する簡単なものだ。
「各店の会員管理スペースは、結構作り込みました。成約以降、会員になった人を管理するためのものです。弊社は2ヵ月コースがメインで全16回のトレーニングがあり、それぞれのトレーニングのアプリを立ち上げました。そこに情報を入れていくと、会員管理スペースの顧客情報が更新されていくという仕組みにしました。これで、お客さんが初回の体重測定からどのくらい落ちているか、目標体重まであとどのくらいか、というのを管理できるようになりました」(山口氏)
このアプリは、トレーナーに利用してもらうトレーニングのキモとなるもの。そのため、単なる情報の記録だけでなく、トレーナーへのナレッジ共有も行なっていたという。たとえば、初回トレーニングアプリなら、初めて来店した客の心理状況や注意すべきポイントなどが記載されているのだ。
「これは、トレーナーが喜ぶだろう、と思っていざ社内リリースをしたわけです」と山口氏。しかし、予想に反して「ややこい(ややこしい)」と言われてしまった。結局、段々使われなくなってしまったという。
ユーザーに活用してもらえるように使いやすさを考慮すべし
唯一生き残ったリード管理アプリは、最終的なステータスが成約もしくはカウンセリング失注、リード失注のいずれかに落ち着くように徹底的に管理しているという。きちんとデータが入れば、グラフが簡単に作れるので、歩留まり率とカウンセリング成約率を見える化することができる。
「グラフを見るとリード失注が多いから、ここを改善しよう、という形になります。アプリ導入時の課題は、使っていただくトレーナーのPCリテラシーに差があったことです。あと大きかったのは、アプリを作り込み過ぎたことです。複雑化して、作業が煩雑化してしまったのです。現場の使いやすさを考慮しきれていなかったと反省しています」(山口氏)
とはいえ勿論、kintoneをまだまだ活用する予定で、今後の展望を紹介してくれた。
「日報をkintoneで管理しようと思っています。現在の日報は、顧客の体重変動やカウンセリングの結果、その理由などを入力していますが、社内のSNSでテキストベースで提出しています。データは溜まらないですし、見逃してしまうこともあり、すごく非効率的です。これをkintoneに入力するようになれば、何キロ痩せたとか、この口説き文句でカウンセリングしたら成約したといったことをナレッジ化できます。あとは、数字を管理できるようになると、成績ののいい店舗やトレーナーの可視化ができます」(山口氏)
本部は熊本だが、岡山、福岡、長崎、鹿児島にも展開しているので、現在はどのくらい客が痩せているかという平均値が取れていないという。もちろん、kintoneに日報を入力するようになれば、一目瞭然になる。
最終的にはkintoneで、無料カウンセリングからコース終了の段階までの顧客管理を全部できるようになればいい、と山口氏。そのためには、コールセンターやトレーナー、本部、エリアマネージャー、上層部など、部署を超えたチームの仕組み作りが必要だと感じているそうだ。
現在、唯一トレーナーにも使われているリード管理アプリだが、意外とうまく運用できているそう。ミニマムから始めることで、トレーナー側からニーズを引き出すことができ、そのニーズに応えていくことが大事だという。
「トレーナーから引き出したニーズに応えられるのがkintoneだと思います。そういったところを社内に浸透させていきたいと思っています」と山口氏は締めた。

この連載の記事
-
第300回
デジタル
業務改善とは「人の弱さと向き合う」こと だからkintoneの利用は“あきらめた” -
第299回
デジタル
悪夢のExcel多重入力と決裁スタンプラリー システム刷新の反発は“ライブ改善”で乗り越えた -
第298回
デジタル
PCに行列ができる、旧態依然な業務にサヨナラを kintoneで年2546時間の残業を削った日本海ガス -
第297回
デジタル
モンスターExcelもそのままkintoneアプリ化 老舗企業を整トーン(頓)した「小田トーン」の実力 -
第296回
デジタル
わずか3名で5万6000人へのkintone展開 「作る」から「変える」マインド変革が突破口に -
第295回
デジタル
全職員の6割がkintoneを利用する関西外国語大学 背景に待ったなしの大学DX -
第294回
デジタル
シェア100%の重圧を跳ね除けろ 味の素ファインテクノの業務改善は、kintoneで加速した -
第293回
デジタル
業務改善はクライミング kintoneで壁を登った元気女子の感情ジェットコースター -
第292回
デジタル
“なんとなく”の現場改善、もうやめません? kintone運用6年で辿りついた自動化と可視化 -
第291回
デジタル
kintone導入、失敗しませんでした 先駆者がいたので、kintone留学や伴走支援まで用意され、至れり尽くせり -
第290回
デジタル
kintoneを使ってもらうことはあきらめた でも、年間1500時間も業務時間は減った - この連載の一覧へ




